一般社団法人クオリティ・オブ・ライフ創造支援研究所 理事長 森田司氏 特別インタビュー

メンタルヘルス不調ではなく「職場不適応」問題が本質

インタビュアー横須賀 輝尚(以下、「イン」): 
採用時にどの会社でもは失敗というか、メンタルヘルス不調である社員を見抜けなかった例は多数あると思います。

面接に来て、そういった人たちを見抜くというのは、企業にとってはできれば採用時にできた方がいいですよね。

コンサルタントにしたって、企業にアドバイスをする場合に、メンタルヘルス不調はこういうポイントを見てくださいと言えた方がいいと思います。

面接で見抜くというのと実際にテストを受けてもらうところがあると思うのですが、その辺の考え方などをお聞かせいただけますか?

森田 司氏(以下、「森田」): 
まず、メンタルヘルス対策というキーワード。

これで最近すごく感じるのは、メンタルヘルスという言葉自体が随分普及されてきたので、逆にメンタルヘルスというテーマのセミナーとか、メンタルヘルスというテーマの講習会に企業さんが好んで参加しなくなってきたんです。

イン:

逆にですか?

森田

はい、逆にです。理由は、そういうところに参加している企業は何か問題があるから参加しているんだろうという受け取られ方で、それがちょっと嫌だと。

イン:

離婚問題で悩んでいる人が弁護士事務所に入るのを見られるのを嫌がるようなものでしょうか。

森田:

そうそう、そういうことだと思いますね。

なので、QOLの場合だとセミナーテーマとしては「なぜ辞める、病める」みたいなことをテーマにしています。

イン:

はい、そういうテーマでセミナーをやられていますよね。

森田:

はい。と、いうタイトルでやっているわけなので、参加しにくいんですね。

ただ、実際にはメンタルヘルスの問題を解決しないと、辞めちゃうし、具合が悪くなっちゃうし、そもそも採れないしというような結果になってしまいます。

その話をするときに、実は職場不適応問題という、
「職場不適応」というキーワードをよく使うんですよ。

イン:

職場不適応。

森田:

はい。職場不適応というのはお仕事に適応できない、職務適正の問題というものです。

職務適正というと、資格があるのか、経験があれば、その仕事ができる感じがするかもしれないんですが、実際に重要なのは、その職場の人のタイプですよね。

例えば、ものすごく神経質な人ばっかり集まっているところにどちらかというとおおらかな感じの人が入ると浮いた感じになって、仕事がしづらいなってありますよね。

実はそんなのを職場不適応と言ったりするわけです。

ベストまでいかなくても、期待するパフォーマンスを発揮できていない状況ということですね。

それ以外にメンタルのコンディションとか性格的な問題とかって、いろいろ職場に適応するためにはいろいろな要素があると思うんですね。

以前はSPIに代表されるように数学力とか国語力とか、あとは一般常識とか。そういう試験ものがありました。

イン:

就職試験とかでよく受けたりしていますね。

森田:

そうですね。企業がメンタルヘルス問題で、今一番困っているのは、どうやって問題が起きない人を採ろうということと、どうやって問題が起こっている人を採らないようにしようということなんです。

しかし、実際には今申し上げたように、職場不適応というトラブルを解決することなんですね。

だから、メンタルヘルスケアコンサルタントというふうに今、僕らがお付き合いいただいている、養成している人たちにはメンタルヘルス問題を解決するということが職場不適応問題を解決することだとお伝えしているわけです。

なぜ、マイスタイル分析が選ばれるのか?

森田:

最職場不適応問題を解決するためにはまずは人が、採用しようとしている人が一体どんな人なのかを客観的な根拠を持って見極めようと。これが大事だという話をしています。

その客観的根拠を見極めるためにこの認定コンサルタントさんにご指導しているのが個性分析検査、マイスタイル分析という検査なんです。

この検査を使うと、その人の持っている、どんな場面にはストレスを感じてしまうとか、どういう個性を持っているので言動にこんな特徴があるとか、当然、ストレスに強い、弱いとか、うつの傾向があるとかないとか、そういうのが見れる検査なので、それを使いこなせるようになってもらうというのが一つ重要な目的になっているんですね。

そこのコンサルタントは今まで、例えば、採用会社とか派遣会社とか求人の代行会社とかがやろうと思ってもやれなかった領域なので、僕らとご縁を持っていただく人たちにはそのプロになってもらえたらいいんだろうなと。

イン:

採用のときにそういう試験ってやってもらうものですか?

森田

実際にはすごく採用の実績はあります。

イン:

採用っていろいろな手順が会社によってあると思うのですが、例えば、履歴書とか職務経歴書を先に送って、面接して、役員面接があって、内定みたいな流れがあります。

この流れの中で、どこの時点で受けてもらうものなんでしょうか?

森田

まず新卒の採用の場合には、僕らの検査を使っていただくのは内定が出た後の人の方が今は多いです。

イン:

では、一応働くことが決まった人ということになりますね。

森田

そうですね。そもそも新卒をある一定の数、もしくは、1人でも2人でも毎年のように採る会社というのは、15人、20人の会社じゃないわけですよ。

最低は100人以上の会社なんですよね。そのぐらいの会社になると、大抵ですけど、筆記試験があって、当然、エントリーシートみたいなものがあって、筆記試験があって、面接試験があって。面接も集合式でやる。

イン:

グループ面接とか、いろいろありますよね。

森田

そうですよね。この人は大丈夫だろうというふうに採るわけですけど、最終的にその人に最初に与える仕事と最初に付かせる指導者は誰がいいのか、何をやらせたらいいのかというときに、職場適正がないということではなくて先ほど申し上げた性格的に何々とか、ストレスに弱いから誰かを付けておかなきゃいけないとか、そのあたりの判断をするために使ってもらっているケースが多いですね。

それは新卒の場合です。ただ、母集団がものすごく多い。本当にエントリーシートが何千通とか何万通って来るような企業さんも中には取引先にあるんですけど、そこの場合は逆に1次スクリーニングで使ってもらっているんですよ。

イン:

いわゆる、言葉は悪いですけど、振り落としみたいなところですね。

森田

そうですね。そのくらいの会社になると、自分のところで採ってはいけないというタイプとか人物像が明確になっているんですよね。

イン:

どちらかというと受かる面接よりも落とす面接という感じですよね。

森田

そうです、そうです。

特に仕事柄、どうしてもあっては困る精神的な問題。例えば、学習塾の講師であれば、幼い子供が好きだという傾向があると……。

イン:

それは大変困りますよね。

森田

ですよね。スポーツクラブであれば、性的なところでちょっと曲がった人がいればトラブルになるわけじゃないですか。

そういうのが駄目だとか。

他には、大きなお金とか重要な情報を取り扱うような仕事だと、規則性、規律性みたいなところでちょっと問題がある人は困るとか。

それが指導したらすぐに分かるというものじゃなくて、我々がメンタル面のお手伝いをしているのは、ある一定のちゃんとした精神医学的な治療とかを施されない限り治らないという人がいるということなんです。

その傾向を持っている人を見つけましょうというのが僕らの検査なので、大手の何千、何万というものに関しては1次スクリーニングとかにかけていただく。

マイスタイル分析は、2次スクリーニングで使っていただくようなケースが多い。

少ない数の場合には、この人を使おうと決めたんだけど、具合が悪くなったりとか、早期退職しないためにどんな取り組みを会社側がしたらいいのかということを知っておこうというために使うと。

このあたりが新卒の場合ですね。

べてるの家 向谷地生良先生の監修

イン:

マイスタイルアナリスト養成講座という講座がありますが、そもそもマイスタイル分析ってどういうものかって、簡単にあらためてちょっと教えていただきたいのですが。

森田:

一般的な適性検査をご存じの方は、何となくオペレーションはイメージしていただけるかなと思うんです。

CUBICとか、似たり寄ったりのもの。100問三択式になっていて、「はい」か「いいえ」か「どちらでもない」と答えていくと判定項目に対して判定結果が出るという、至ってシンプルなものなんですけど。

見ているものは主に精神特性と呼んでいるもので、米国の精神医学界の基準で示されている、精神科の医師がもしかしたらこの人は精神的な障害か病気を持っているかなという診断をするときに使っているマニュアルがあるんですね。

そのマニュアルから特にパーソナリティー障害という障害の傾向と発達障害という傾向、これに社会不安障害という障害の傾向、それとうつ病ですね。

大うつ病性障害という傾向。これらが見れるような判定項目を搭載した検査になっていて、言ってしまえば、病気か障害かの傾向があるかないかというのを主に見る検査になっていて、業種業界によってはどうしてもその傾向がある人は使わない。

逆に言うと、その傾向がある人が欲しいという場合もあるので、そのどちらかというと欲しいもの探しをするために使ってくださいというふうに提供しているのがマイスタと呼ばれる検査です。

開発、監修はべてるの家というところの向谷地生良先生という先生がやっています。

向谷地先生というのは世界中の精神保健の専門家ならば必ず知っている先生です。

何の先生かというと精神障害を持っている人の自立支援というものを30年近くやられている人。

例えば、先ほど障害や病気の傾向を持っている人をあえて探してもらって、採用してもらったらいい職場を教えたりするわけです。

例えば、パーソナリティー障害みたいなものだと、孤立性パーソナリティー障害というのがあるんですけど、一人だとストレスを感じないのに一人以上になると何をやっていてもストレスを感じちゃうという精神障害があるんですよ。

そういう人は、言ってしまえば、独りぼっちの作業をさせる環境に置いておけば具合が悪くならない人ですよね。

でも、一般的に私はコミュニケーション取るのが大好きで、お友達がたくさんいて、明るく元気なのが取りえですという人を採用して独りぼっちの仕事をさせたら、その人は独りぼっちがストレスになって具合が悪くなるわけですよ。

だから、職務によってはメンタルの偏りを持っている人をあえて採用した方がうまくいくというケースがあるんです。

イン:

研究職とかそうですよね。ずっと同じような仕事。例えば、一日中フラスコを振り続けるような。これはコミュニケーションが大好きな人は完全に向いていないですもんね。

森田:

そうですね。大手の製造メーカーさんでラインの作業をする人を明るく元気でコミュニケーションが取りえの人を作用してラインに配置すると、3年以内にうつになるというようなことが10年ぐらい前にささやかれていた時期があって、そのころどうしたかというと、そういう仕事には中国からの研修生をラインにあてがえとか、ブラジルから来ている日系何世というのをあてがって、どうせ2年でビザが切れて帰るから、3年いないので大丈夫だろうみたいな、そんな使い方をしていたことがあるぐらいなんですよ。

だから、メンタルヘルスとか精神特性というと、うつ病と全部似たり寄ったりのものかって思いがちなんですけど。

イン:

辞めた原因なんかも全部一緒みたいな感じがありますよね。

森田:

うつ病というのはちゃんと薬を飲んで、一定期間体力の回復をしてって、治療が必要なメンタル不調ですけど、そうじゃないものが圧倒的に多いんですよね。

物の考え方とかとらえ方というものが大きく偏っているから、時と場合によってそれを原因にうまくコミュニケーションが取れないとか、具合が悪くなってしまうとかっていうことがある。

だから、その偏りを把握さえしておけばいいということなんですよ。それが把握できる検査だと思っていただければ。

似たようなものというのは実はほかにはなくて、ストレスに強いか弱いかが見れますよとか、うつの傾向が今、あるかないかが見れますよという検査はいろいろ出てきてはいるんですけど、精神特性というものを中心に見れる検査というのはないので、今のところ差別化が図れているんじゃないかなと思いますね。

実施する会社も、受ける社員もストレスの少ない検査

イン:

1人がマイスタイル分析を受けるのに必要な時間というのはどのくらいなんですか。

森田:

パソコンで受検をしていただく場合には5分から10分あれば受けていただけて、結果は検査が終わりましたというボタンを押せば、瞬時に見れるようになっているので非常に手軽だとは思いますね。

イン:

企業側が採り入れて、内定者だったり、求人者ですね。求職者に対して出すときにどのような説明しているんですか?

森田:

採用試験の中の適性検査の一環としてやってもらっているので・・・特に、細かい説明はしないですね。

イン:

ただ、試験なのでこれをやってください、と。

森田:

そうです、そうです。

当然、本人向けに結果の開示というのはほぼされないものになります。ただ、最近業界によっては本人側に結果を、適正検査の結果を開示してあげているという、そういう企業も出てきているんですね。

それは、あなたたちは(この業界だと)どこに行っても受からないから、ほかの業界に行った方が良い、ということを伝えるためですね。

イン:

ある意味では広い意味での優しさみたいな感じでしょうか。

森田:

そうです、そうです。本当に適正があるところに行った方がいいよというような意味でですね。

イン:

なるほど。やっぱり適正って自分で気付いていなかったりしますよね。

私は自分のことを言えば、たぶん何かの専業でずっとこつこつ仕事するのは向いていなかったと思うので、ずっとやり続けなくてよかったのかなと思います。

結局、いろいろなところに飛び出て新しいことをしたいタイプなので、そちらが一番楽しいですからね。

森田:

そうそう。だから、やってみなければ分からないのが実態なんですけど、その部分って性格的なところが割と判断のポイントだと思い込まれている企業の担当者とか多いんですけど、性格というのは生まれ持った個性や気質がまず人間には基本的にはあって、初めて何かを経験するときは性格が反映されるのではなくて、個性とか気質が反映されて、何らかの感情が芽生えて、感情の基づいた行動が起こるわけなんです。

何回かそのパターンの感情の芽生えの行動を経験すると、経験した結果、自分はどのように見えるようにしようとかっていう考えの下に性格というのが出来上がっていくので、実は性格というのは意図的につくられたその人の見てくれでしかないっていうふうに僕らは考えているんですよ。

イン:

環境も強く影響しますよね。

森田:

はい、そうです。
だから、マイスタイル分析で見えるのは性格ではなくて、その内面にある個性や気質の偏り、それが言い方を換えると精神特性という言い方で、条件の中に病気や障害の傾向というのもある。

分かりやすく言えば、視力のすごくいい人と悪い人ではそもそも見えるものが違うし、同じいわゆる数学力とか国語力を持っていても、すごく目が悪い人に読ませるという職務をやらせたり、書かすという職務をやらすよりは、考えさせるとか計算させるというところだけを特化してやらせた方がよかったり。

あるいは、足が遅い人に速く走らなければいけないという種目にチャレンジさせるのではなくて、その人は高く跳べるかもしれないけれども、足が遅いのであれば走らせずに跳ばすという種目に導いてあげるって、そのいわゆるコーチング的な要素を担う材料が今まで性格というものだったのをもう一歩踏み込もうということで、その踏み込む上で面接とかでは見極められない要素だから検査を要したと言うことだと思ってもらえたらいいのかと。

イン:

私も小さいながらもずっと会社をやってきて、やっぱり面接ではすごくよく見えるんですよね。

だから、性格的なものもよく見えますし。でも、実際、働き出したら全然違うというのは本当によくある話で、それは自分の主観でしか見ていないんですよね。

森田:

そうですね。やはり中小企業の場合だと最終面接の判断をする人が特定の誰かに大抵決まっているので、その人が好むか好まないかというのが。

イン:

そうです。最後はそこになってしまいます。

森田:

そうすると、同じようなタイプの人ばっかり集まってしまうので、組織とするとちょっと次に成長するという上では弱いかなというのはありますね。そのあたりも含んで、面接の補助として職務のミスマッチとか環境のミスマッチを起こさないために使ってもらう検査ですね。

イン:

ちなみにテストを受けた後に、「ちょっとこの人はまずいんじゃないの?この会社に全く合っていないし、性格が適合しそうな職場もない」みたいな場合にはどういう対策とかアドバイスをされるんですか。

森田:

まず、そもそも提供する前にメンタルヘルスの問題を抱えている人を受け入れる覚悟があるかどうかというのをちゃんと問います。

それはなぜかというと、よくセミナーで話している、これは認定コンサルタントさんにもお伝えしている情報ですけど、今、働いている人の約半分ぐらいが何らかのメンタルヘルスの問題を持っている人なんですよね。

だから、うつ病という患者さんで言うと全体の5%ぐらいしかいませんけど、さっきのパーソナルティー障害とか発達障害っていうたぐいのものですね。

そういったものは3割以上の人が労働人口の割合に占めている状況なので、なので、メンタルヘルス問題を抱えている人を使いたくないっていう、そもそもの理屈が成り立たないんですよね。

ただ、うつ病の人は、今、病気だったら、それは働いちゃいけないと思うんですよ。

イン:

そうですよね。

森田:

だから、それはちゃんと見極めようって。

もしうつ病だというのが出てしまって、本人が働きたいという一心で隠していたんだとすれば、ちゃんと治してからもう一度来なさいという話にしてもらうようにしています。

そうではなくて、例えば、発達障害のようなものであれば、受け入れる覚悟があるかどうか。

受け入れた後にその人がその偏りを、発達障害って、例えば、手がないとか足がないとかとは違うので、ものすごく特化して素晴らしい能力がある代わりに、一般的に二十歳ぐらいだとできるであろうと思われていることができなかったりとか、そんなふうにイメージしてもらったらいいんですけど、そういう人が入ったときに一般論とか常識論を押し付けずに、その人の持っている特別な能力を発揮して、自分の会社の利益につなげていこうという、それが覚悟という聞き方だったりするわけですよ。

ないということであれば、それは見つかった時点で頭を下げて申し訳ないと。

今、雇用してしまうとあなたの才能を生かせずに、むしろ、それをつぶしてしまって、もしかしたらメンタルの問題を、うつ病での問題を発症させてしまうかもしれないからと言って、正しく謝って採用を見送ってくださいと。

覚悟があるのであれば、対応の仕方をこちらがアドバイスしますから、それをちゃんと身に付けてもらって採用してくださいと。そんな感じですね。

イン:

昔は会社に無理やり従業員側が合わせていたみたいな感じだったものが徐々に崩れてきて、会社も考えるようになりました。

むしろ、考えなきゃいけないようになりましたよね。

森田:

そうですね。だって、以前は終身雇用制という日本のスタイルがあったので、会社の考え方を理解して、事業計画をちゃんと理解して、そこに25年、30年籍を置いて、しっかり働き抜くんだと。

だから、自分が多少納得できないところが今あっても、10年後に納得できるように、20年後にそれが受け止められればっていう働き方だったんですけど、今はそんな人はいないでしょう。

イン:

いないですね。いい意味では転職をしてもそんなにあれこれ言われるのが減ったというのはありますよね。

森田:

そうですね。ただ、若者たちに実際にアンケート調査を採ったりすると、やっぱり転職というのは自分のキャリアに傷になるというふうに考えている人たちもまだまだ多くいるのは事実なんですね。

そういう人に限って早期退職するんですよ。

割と学校の成績が優秀で、そこそこ名前のある会社で働き始めると自分が考えていたものとの違いに打ちのめされて辞めていくと。

むしろ、そうではなくて、生き方というのはいろいろあっていいんだというような考え方の人の方が早期退職をしなかったりするんですよね。

だから、会社側とするとそのあたりの見極めもすごく重要なんでしょうし、働く側とすると自分の個性を分かった上でちゃんとキャリアデザインするというのも、どんな個性でも素晴らしい個性なので、誰かに否定される必要はないわけですから、それを前提に使ってもらう検査であり、我々が検査の結果に対して、ハウツーとして持っているものを生かしていただけると企業さんも働く人もプラスになるんじゃないかと。

イン:

今、採用っていう場面のお話をもらいましたけども、そうじゃないところもあると思うんです。

マイスタイル分析を見て面白いなと思ったのは、上司と、それから、部下の関係。例えば、上司の援助が全く受けられていないとか、そういうのがあるじゃないですか。

それによって職場の配置転換とかをしていいのをつくるというのは、これはそれなりの企業だとできると思うんですけど、実際にそういう話は多いですか?

森田:

多いですね。なので、検査は個人が直接もらえる検査結果って、判定結果のシートというものと、それから、企業の担当者が担当者用としてアウトプットされるシートと2種類。

これは自動精査されるんですけど、それ以外に組織分析というのと、それから、リクエストによっては個人分析ってもう少し掘り下げた分析というのもやってあげていて、100人ぐらいの会社になるとその組織分析をしてくれというふうに言われるんですよ。

その組織分析で見るのは、全体的に、例えば、ストレスに強い人が多いとか、逆の場合もそうですし、先ほどの上司の例で言えば、上司の支援があまり感じられないという人が100人のうち80人もいる状態だったら、上司側に何らか絶対に問題があるじゃないですか。

そういう問題点をピックアップして、上司が管理職としてのスキルを上げたらいいのか、それとも、昨今話題のハラスメントみたいなものがあるから、それがほかの職員からすると問題になっているのか。

その辺を問題が出た人に対しても面談をしたりしながら改善点を探していってって。

結局、職場改善とか個人改善の情報を客観的なもので取ったっていう、そういうことができる道具なんだと思うんですね。ほとんど組織分析付きでお願いされる感じです。

同じ法人の中でも、例えば、事業所が5カ所なら5カ所あって、全部同じ形式でやっているのに、そこの事業所の所長さんの特徴によって、検査に対してものすごくうそばっかりついて回答してしまうという事業所があったりとか。

それはあれなんですよ。結局、信頼関係が成立していないので、本音を言わないようにって隠すんですけど、マイスタイル分析の場合、うそをつくとうそをついているというのが後で分かってしまうような設問がいくつか入っているので、そこばっかり何で同じ会社の中で同じ事業をやっている5支店の中でこの支店だけみんなうそをつくんだろうって。

イン:

そこのトップの影響というか、風土というか。

森田:

そうですね。さっきの話で言えば、日本人って回避性パーソナリティー障害の傾向が強い人が多いんですよ。自らも積極的に前に出ていってというのがあまり得意じゃないという人が。

そういうのも偏って多く見られる事業所とか支店とかも出てくるんですよ。それは採用担当者がおとなしく従順でおれの言うことを聞いてくれるやつを欲しいと思うと、そういうタイプの人ばっかり採るから、なぜおとなしく従順なのかというと、自ら積極的にということができないタイプだからおとなしくて従順なんですよね。

それを2~3年頑張ると、もうお前らは慣れてきたんだから、一つや二つアイデアでも出せと。

自らやろうとしろというふうに求めたら、それはもともとできない人を採っているんだからって。

そんなことに分析として使っていけるんですね。認定コンサルの講座では時間の関係上、お伝えしきれませんが、アナリストのところでは学んでいただいているということですかね。

企業の様々なシーンで使われるマイスタイル分析

イン:

組織がしっかり動かないことには会社も動かないですし、私自身がやってきて、ここ数年より組織の中を丁寧にメンタルヘルス不調も含めてやっていくという傾向はどんどん出てきたなというか、コンサルとしてやりたい人も増えてきたなという感じはすごくしますね。

森田:

そうですね。せっかくなのでそういった意味では2~3ちょっと付け加えると、メンタルヘルスという市場もいろいろな業務があったりしますけれども、研修ってなかなか売れない時代になってきているんですよ。

それは企業が研修というものの予算を捻出するのが厳しくなっているというのがあって、やりたいものの優先順位の上にまだ経営者側がメンタルヘルスというキーワードを持ってこないんですね。

それでも年に1回か2回は技能研修だからやらなきゃと言って何らかやるんですけど、効果が出ないんですよ。

その効果が出ないというのは数字で表れてしまうので、何人メンタル問題で休んでいるとか辞めたとか、さっきの主体性が発揮できない人が多いとかって分かるわけですから、検査を研修の効果測定で使ってもらうように僕らは提案しているんです。

メンタルヘルスの研修をやったら、メンタルヘルスケアができるようになることを目的にやるので、例えば、ストレス耐性が低いという人がこの研修を受けて、3カ月、半年、メンタルヘルスのマネジメントを発揮し始めたら、少し改善されるはずなんですよ。

研修の効果があれば。だから、研修を受ける前に受けてもらう、受検してもらって、研修終了後、3カ月後ぐらいに実際に研修による効果があったかどうかを確認してもらうとか。

そういう場面で使ってもらうなんていう、そういうのもあります。

あとは、新任管理者になった瞬間に受けておいてもらって、3カ月後とか半年後とか経過を見ていって、以前と違うストレスを感じているのかいないのかって。

さっきの部下との関係で、今までは自分が部下だったのに新しく上司になると部下も上司も同僚もできるじゃないですか。

どこかにストレスを感じているとしたら、一番多いのは部下に対するストレスじゃなくて、 自分の上司に対するストレスなんですね。

おれも部下ができて大変なのに、何でそのおれを見てくれないんだみたいな。中間管理職だとそこも出てくるわけですよ。

そういうのをとらえてあげないと、早めに、じゃあ、飲みニケーションを図ろうとかいう手が打てなかったり。

だから、単に採用時とか定期的なメンタルヘルスチェックだけじゃなくて、使おうと思う場面はたくさんあるので、メンタルヘルスケアのコンサルタントだからこそそういうことに着眼できて、検査の結果を生かして、何を具体的にしなきゃいけないのかという手が提案できる。

そこまでいくと、企業側はもともと困っていた話だから、じゃあ、ぜひやりたいということになるんですよね。

メンタルヘルスという冠で何か発信するよりか、ほかの問題ですよね。人が採れない問題はもしかしたらメンタルヘルス対策をやっていないからじゃないですかとか。

それはなぜという、そのなぜをコンサルタントがしっかり解説できると。今、そんな指導をさせてもらっているところですかね。

イン:

分かりました。ありがとうございます。