【プロフィール】 大西 紀子(おおにし のりこ)
株式会社スタッフコンサルティング(東京都港区) 取締役
保有資格:特定社会保険労務士、年金アドバイザー、キャリア・コンサルタント、メンタルヘルス・マネジメントII種・III種
社労士業10年でたどり着いた「メンタルヘルス業務」
インタビュアー横須賀 輝尚(以下、「イン」): それでは、まず最初に大西さんが社労士になったきっかけから、現在までの活動などを教えてください。
大西 紀子さん(以下、「大西」): はい。京都の食品製造会社で製造現場を担当していたのですが、体力的な問題から事務職に転身しようと思い、オフィスワークに強い社労士を取ろうと思いました。それが資格を取るきっかけです。
勉強し始めてから2年目の平成14年に無事社労士試験に合格したのですが、この頃には「社労士試験に合格したら、この会社出て行くぞ!」という気持ちでしたし、社労士として独立も考えていたので、合格してから1年後に京都から東京に出てきました(笑)。
- イン:
なるほど。東京に来てからの活動はどうでしたか?
- 大西
東京に来た時は人脈もお金も仕事の当てもなく、また社労士が当時まだメジャーな資格ではなかったので派遣社員をしながら同時に社労士事務所を開きました。
それこそ派遣社員の休憩時間中に営業の電話をしたりして必死に活動をしたおかげで、徐々に社労士の仕事依頼をするお客様が増えてきました。
だんだんWワークをしなくてもやっていけそうでしたので、派遣社員を辞めようとした時に、叔父から大手コンサルの案件を繋いでもらいました。そこで森先生(現在のビジネスパートナー)とお会いして社労士業と社員研修・人材育成などのコンサルティングを一緒に携わらせて頂きました。- イン:
-
ありがとうございます。 開業されてからはどれくらい経ちますか?
- 大西:
-
今年(2012年)でちょうど10年目です。まあ、最初の頃は本当にのんびり歩いたり、時々後ろに戻ったりするなど、三歩歩いて二歩下がる状態でした。
- イン:
私もこの業界を何も知らないまま入ってしまったので、最初は全然歩みがありませんでしたよ。お気持ちはよくわかります。
大西さんがメンタルヘルスケア分野に興味を持ったきっかけは何ですか?
- 大西:
最初のきっかけは精神疾患の方の障害年金をやった時、その方とお話をしたりカルテの開示をしてみる中で、トラブルは、ボタンの掛け違いで起きることが多いということに気付きました。それが6年程前のことです。
その後に過重労働の労災案件を会社側で携わったり自殺未遂だとか、そういった案件をコンサルティングしていたのが2011年の秋くらいなんです。
こういった案件の事務処理は本当に大変なので、例えば、遺族の方から罵声を浴びせられたりすることもありました。本当に心が折れそうになって・・・そんな時、このメンタルヘルスケアコンサルタント養成講座の開催を聞いて、これぞ今最も必要なものだと思いました。それに、メンタルヘルスの労務管理を適切にやっていくためには私たち社労士の存在が1番良いと思うんです。もちろん精神科医や産業医のような医学的なスタッフも必要なのですが、まずはメンタルに不調を起こす前の未然防止を労務管理という観点でどのように事業所でやっていったらいいのか伝えるのが社労士の分野ですから。
- イン:
なるほど。ありがとうございます。
大西さんはもともと森田さんとお知り合いだとお聞きしましたが、お会いになったきっかけはどういったものでしたか?- 大西:
-
弊社代表の森が親しくしている社労士の方が某コンサル会社のセミナーに出席した際に講師をされていた森田さんのことを聞いた森がメンタルヘルスの業務にとても興味を示して、こちらから連絡をしたことがきっかけになりました。
- イン:
その時に森田さんと初めてお会いしたということですね。
- 大西:
はい。森が特に興味を持ったのが個性分析検査を行うD-PATでした。
私たちは数年前から、年代別、個人別の労務管理が必要な時代ということから適性を見て個別の労務管理に生かせるという考えでしたので、D-PATの説明を聞いて「なるほどな」と思いました。ちょうど、その頃に森田さんの認定コンサルタント養成講座が2週間後にあると聞いたので、講座を受ける前に森田さんに「この講座は採用の段階での排除ではないですよね?」と聞いたらところ、「そうではない。」とはっきり言ってくださったので、すぐに申し込みました。
また、D-PATの監修者が、べてるの家の向谷地氏ということが、受講したいという思いに拍車をかけました。
- イン:
ありがとうございます。
実際に10年程前からメンタルヘルスはこれから伸びると結構言われていたじゃないですか。でも具体的な手法については、あまり出ていませんでしたよね。- 大西:
-
そうなんですよね。本にしても堅くるしくて読みにくかったり、精神科の人などの医学書しかあまり出回ってなかったので「こういう時にはこういうふうに対処する方法があるよ。その前に日々の業務においてこれは気をつけようね。」といったものでないと、現場の総務とか人事の担当者にはそぐわないだろうだろうとずっと考えていたので、だったら実際に必要なものがわかる本をつくろうと思いました。
ですが、現場で実際に必要なもの、効果のあるものがなかなか見つからず、半年以上多くのメンバーで打ち合わせを重ね、やっと私たちの手で使える書籍を昨年(2011年)の8月に出版しました。
インプットだけなく、アウトプットまでサポートしてくれる
- イン:
今回の講座や終わった後にあるサポート契約とライセンス契約については、どう思いましたか?
- 大西:
ちゃんとしたプログラムだと思いました。
実際問題、認定講座の制度だけで儲けようとしているのではないかという危惧は誰しもが思うはずです。私の知っている中でも講座を受けさせることだけが目的のものが数多くあります。しかし、このメンタルヘルス養成講座はそうではなくて、一旦インプットしてもらった知識をいかにアウトプットできるかというところまで、手取り足取り教えていただけます。もう、逆にやり過ぎじゃないかとも思いましたね。
- イン:
そうですね。しかも、森田さんはすごくお忙しい方なのに勉強会を無料でやる発案までされて。正直、なんでまた仕事増やしてるのみたいな感じでした(笑)。
- 大西:
やっぱりパワフルですね!森田さんらしい。
ですが、社労士は手取り足取り教えていただかないと動かない人も結構いるので、本当におんぶに抱っこ過ぎるてしまわれないように気をつけた方がいいですね。- イン:
そうですね。
話が変わりますが、このメンタルヘルス講座以外にもメンタルヘルスの認定講座をやっている会社があるのですが、比べたりされましたか?- 大西:
そうですね。森は様子を見に大阪まで行きましたし、私自身も渋谷でお話を聴きに行ったことがあります。
- イン:
-
そうなんですか。 私たちもこの講座を始めるにあたって結構な数の講座を見に行きましたが、やはり講座を1日だけ受けて、資格認定、はい終わりというのが割と多い印象でしたね。
- 大西:
-
はい。検定を受けることが目的になっているような。
- イン:
今は多種多様な検定がものすごく増えているので、そういうやり方でやっていかなくてはならないのかもしれません。
D-PATでできるクライアントへの適切なアドバイス
- イン:
講座を受けられてから、どのような活動されたりしましたか?
- 大西:
そうですね。企業のニーズによってアプローチの仕方は大小異なりますが、人事採用に関してはD-PATを使って診断するようになりました。
というのも、先程も言いましたがおおよその診断方法は排除を目的としたもので、これでは誰も雇えなくなってしまいます。それに対してD-PATは個性分析検査を行うので、その人の適正や傾向を判断することで「この人はこの部下と組めば労働生産性が上がる!」や「ここだけ気を付ければ断然良くなる!」などの正確なアドバイスができるんです。
それに、これを元にした管理者研修を社員が受けることで、今問題となっている休職制度について提案し関連付けて話すことができます。- イン:
なるほど。そのような提案は既存のクライアントにするのですか?
- 大西:
そういう訳ではありません。新規の方にも営業しますし、逆にメンタル系だと駆け込み相談に来る方も少なくないですね。
- イン:
その新しいクライアントは、主に何処で知り合うのですか?
- 大西:
既存クライアントの研修先であったり、セミナーを行った事業主団体内にある会社などです。皆さんメンタルヘルスの言葉は聞いたことがあったとしても、その中身については何も知らないに等しいので、結構食いついてくるんですよ。
- イン:
-
そうなんですよ。現代社会で働く人の68%はメンタルに何かしら抱えていると前に新聞で読んだのですが、それに対応できる人が少ないのでそういう意味でマーケット的にはものすごく需要がありますね。
この講座を受ける前に活かせるかどうか不安はありましたか?
- 大西:
活かすかどうかは自分次第なので、不安などはまったくありませんでした。
- イン:
では、この講座で良かった点は何かありますか?
- 大西:
はい、こちらで学んだメンタルヘルスのセミナーや相談などをしていて、改めて自分の仕事が天職なんだと気付かせられました。あとは、具体的にどうやって行動するかヒントをたくさんもらえました。
それと森田さんと営業を同行して、その話の切り口の柔らかさに話を聞いてる相手のみならず私も本当に引き込まれちゃって。どうしたらそういう発想ができるのかなと感心します。- イン:
あれは森田さん特有の仕組みだと思います。あとは人柄ですかね(笑)。
最後にこの講座で何か改善点や要望があれば教えてください。- 大西:
そうですね、サービス無料発信し過ぎなので、有料にしたほうがいいと思いますね。
- イン:
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まあ、森田さんも最初から100人までの募集にして、その100人を今後の仲間として行動していきたいとおっしゃっていたので、今だけの特別限定と考えたほうがいいですね。
- 大西:
確かにそうですね。
- イン:
-
現在50名以上の方には既に受けていただいてるんで、残りもほんの僅かになってきました。
- 大西:
もうそんなにいるんですか!すごいですね。
- イン:
ありがとうございます。それでは、今回はこのあたりでインタビューを終わりにさせていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
- 大西:
ありがとうございました。