西本秀
2016年1月5日09時26分
おもちゃの「人生ゲーム」にヒントを得た、地域おこしの試みが注目されている。考案したのは、島根県出雲市の小さな商店街。通りをすごろくのルートに見立て、ルーレットに従って人々が店舗をめぐるリアルな「人生ゲーム」。全国各地の商店街からも視察が相次いでいる。
平田本町商店街。地元の一畑電車「雲州平田駅」の近くにあり、出雲市中心街からは約10キロ離れている。この商店街で昨年10月、「まちあそび人生ゲーム」と題した催しが開かれ、約2千人が参加した。特製のルート図とおもちゃの紙幣の束を手にした、家族連れが南北200メートルの商店街を行き交った。
ルート図には商店街が描かれ、各商店がすごろくのマス目になっている。出発時に一定額の紙幣を受け取った参加者は、店先のルーレットを回して、数字に応じて近隣の店をはしごする。少しずつ多くの店を巡れるよう、ルーレットの出目は1~3に限っている。
薬局や書店、青果店に仏壇店……、迎えた店主は試供品を配ったり、品ぞろえを紹介したりする。店によってはじゃんけんや剣玉勝負で紙幣をやりとりする。最終的に残額が多い順に賞品がもらえる。
一番人気は商店街2階のスナック「ぎんざ」。普段は訪れることのない子どもや母親は興味津々。店はカウンター席でジュースを提供した。後日「ゲームに参加して知った」という、夫婦が来店したという。
「これまで縁遠かった店でも、ゲームを通じて自然に足を運び、店の人と会話することになるのがミソ」。ギフト店を営む同商店街振興組合の平野裕二理事長(61)は狙いを語る。
残り:808文字/全文:1469文字
おすすめコンテンツ