2016.1.4

経沢香保子の「すべての女は自由である」

評価より、信念のために行動しよう。
それが女性の自由への近道。

 

六本木交差点を歩いていると、携帯電話が鳴った。耳をあてると某銀行から。「審査の結果をお伝えします。当行では、御社の口座開設はできません」。そう一方的に告げられ、頭が混乱した。街の喧噪のせいで聞き間違いかと思って「融資のお願いではなく、口座開設のお願いですが」と聞き返すと「そうです、できません」ときっぱり。2度めの起業は社会のインフラサービスを目指しているから、すべての銀行と取引しようかと進めていた矢先の出来事だった。 

1社めである程度の実績を残したとの自負心もあったから、驚きとやり場のない怒りとわずかな後悔で体中の力が抜けた。ゼロからのスタートを覚悟していたものの、私の信用までがリセットされたのか。滑り出しがこの調子では、前途多難なのではないか、と弱気が首をもたげてきた。 

もちろん、前の会社で付き合いのあった銀行と個人口座がある銀行は喜んで口座を開設してくれたから事業に問題はまったくなかった。でも、一行に断られたショックは思いのほか大きく、その銀行と取引のある知人に話をせずにはいられなかった。せめて理由を知りたかった。 

心情を察してくれた知人はすぐに一本の連絡をいれてくれた。すると、その某銀行の別支店との面会の機会を得、支店によってルールが異なるため運悪く開設できない事情のお詫びとともに、早急に口座開設をしてくれた。その上、御社のようなベンチャーを支援したいと、以前からお会いしたかった人をご紹介頂いた。電話一本をきっかけに、状況は180度変わったのだ。私のことをよく知っていて、信じてくれている知人の打診で、期待以上の展開に。