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2016年後半、米国減速で世界・日本経済に黄信号

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第411回】 2016年1月5日
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資源バブル崩壊で景色一変
今年の鍵を握るのは米国

2016年も米国は世界の牽引役を担えるのか

 2015年を一言で表現すると、中国経済に振り回された年だった気がする。その減速が鮮明化したことで、原油や鉄鋼石、銅などの資源価格が大きく下落した。“資源バブル”が弾けたことが、世界経済の景色を大きく変化させた。

 今まで資源産出に依存してきた、ブラジルやロシアなどの経済が落ち込んだ。それに加えて米国FRBが約9年ぶりに金利引き上げを実施したこともあり、新興国から多額の投資資金が流出し、主要国の経済が軒並み減速した。BRICSを中心にした新興国ブームが終焉を迎えたのである。

 おそらく、2016年の前半はそうした動きを引き継ぐことになるだろう。新興国の経済が短期的に盛り上がることは考え難い。2016年以降の世界経済を占う上で、最も重要なファクターは米国経済になるだろう。

 これまで、米国経済は堅調な展開を続け世界経済を牽引してきた。それは、わが国の大手自動車企業などの収益を見ても明らかだ。

 問題は、同国が、今後も世界の牽引役としての役割を担えるか否かだ。足元の米国経済を概括すると、川上の製造業部門には既に陰りが見え始めている一方、川下の個人消費はしっかりしており雇用状況の改善が続いている。

 ただ、そうした経済状態を長期間続けることは難しい。循環的要因を考えても、どこかで米国経済はピークを迎えて、下降トレンドに向かうことは避けられない。

 その局面が2016年内にやってくると、世界経済は徐々に厳しい状況に追い込まれる。その場合、株式が下落したり、為替市場でドルが売られるなど金融市場は不安定な展開になるはずだ。2016年以降の世界経済の鍵を握るのは米国と見る。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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