最近、僕が行く先々の道路で道端に座り込んで人通りをボーッと眺めているおっさんを見ることがちょいちょいある。
以前からそういうおっさんたちはいたのだけど、みんな決まった家の庭や玄関先でタバコを吸いながら座り込んでいるその家の主人らしき人たちばかりで、同じ場所の同じ時間帯でしか見かけなかったんだよね。
そういう人たちの中には、突然姿を見かけなくなる人もいて、「ああ、あのおっさん死んじゃったのかなあ」なんて思うこともしばしば。
でも、最近見かけるおっさんたちはそういう以前見かけたおっさんたちとは何か雰囲気が違うんだ。
座り方は定番のうんこ座り。いわゆるヤンキー座りだ。「いわゆる」とか言い換えても古臭くてわからない人にはわからないかもしれないところが悲しいところだけど。
そして全員がタバコを吸っているところにしても、いくら禁煙ブームとはいえ、おっさんたちの世代を考えれば特に不自然というほどではない。
不自然なのは、おっさんたちが座っている位置と表情なんだよね。
以前よく見かけたおっさんたちは、「自分の家の敷地でタバコを吸って何が悪いんじゃボケ!」とこちらが何も言う前から戦闘態勢を取っているかのように堂々と目立つところに座り込み、眼光も鋭く通行人を睨めわしているか、空を眺めていることが多かった。
でも最近見かけるおっさんたちは、道端は道端なんだけどよく見ないと気がつかないような塀沿いの日陰や、アパートの階段の下、薄暗い通路にいることが多いんだよね。
昨日見かけたおっさんなんて、ジュースの自動販売機とアパートの入り口の間の薄暗い通路に挟まるように座り込んでいたんだ。自転車で通り過ぎる瞬間に視界の片隅に姿が飛び込んできてドキッとした。
それに、あんなところに座り込んでいたらアパートに住んでいる人が入れないよ。
そして、みんな表情に元気というか精気がないんだよね。虚ろな表情をしてなんとなく気だるそうにタバコを吸っているんだ。
その様子は、なんとなく見てはいけないものを連想させた。
以前見かけたおっさんたちは明るい日当たりがいいところに座り込んでいることが多かったけど、最近見かけるおっさんたちはみんなジメッとした感じの薄暗いところばかり座り込んでいる。
気になるのは、そんな変な場所に座り込んでいるおっさんたちを他の通行人が誰も気にしていないことなんだ。
タバコの煙を歩道に向かって吐いているおっさんもいるのに誰も見向きもしない。まるでそこに誰もいないかのように。
もしかして、あのおっさんたちが見えているのは僕だけなのだろうか。そんな考えが頭をよぎった。
そういえば、僕が見つめてもおっさんたちはこちらを見つめ返さない。虚ろな表情のまま座り込んでボーッと通行人を見るともなく見ているようだ。
あの道端の不自然な場所でうんこ座りをしているおっさんたちは何者なのだろう。いや、一体なんなのだろう。なんであんな普通なら座り込みたくないような場所でばかり座り込んでいるのだろう。
あ、今そのおっさんたちの写真でも見せてみろや!って思ったでしょ。
僕も持っていたiPhoneでおっさんの写真を撮ろうと何度か思ったんだけど、もし生きているおっさんなら咎められてトラブルになることは必至だろうし、そうでなかったとしたら、それはそれで撮った写真を後で見るのが怖いのでいずれにしてもロクなことはないと思いやめた。
なんで最近になってそんな妙なおっさんばかり見かけるようになったのか自分でもよくわからない。
もしかしたら一度気になってしまったので、カラーバス効果でなんでもないおっさんたちがたまたま日陰でしゃがみこんで一服している姿が目に留まりやすくなっているだけなのかもしれない。うん、きっとそうだ。
そうであってほしい。...お願いします。そうだと言ってください。
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