バーレーン、スーダンも UAE大使召還
【テヘラン田中龍士、ローマ秋山信一】イスラム教スンニ派の大国サウジアラビアが3日、シーア派国家イランとの外交関係を断絶したのに続き、バーレーンやスーダンも4日、イランとの国交断絶を発表した。アラブ首長国連邦(UAE)はイランから自国大使を召還するなど、外交関係を格下げした。国営サウジ通信などが伝えた。スンニ派主導のアラブ諸国などがサウジに追随し、中東で宗派間の緊張が急速に広がる恐れが出てきた。
ロイター通信によると、サウジはイランとの商業関係も断絶、国民のイランへの渡航も禁止する。
バーレーンはペルシャ湾の王国。国民の大半はイスラム教徒でその7割はシーア派だが、指導者層はサウジを後ろ盾とする少数派のスンニ派だ。バーレーンの国営通信は4日、「イランとの外交関係を断絶し、イラン外交官の国外退去を求める」と発表した。バーレーンにはシーア派による反王制運動がくすぶり、同国政府は最近も「イランが不安定化を図っている」と批判を繰り返していた。
スーダンは人口の約7割をスンニ派中心のイスラム教徒が占める。ロイター通信によると、同国外務省はイランとの国交断絶について「テヘランのサウジ大使館などへの野蛮な攻撃」への対応と述べた。従来イランとの良好な関係が指摘されてきたが、最近はサウジとの関係強化が顕著に。昨年は親サウジと親イランの両勢力が戦うイエメンで、サウジ側にスーダン軍部隊が参加したと報じられた。
また、UAE外務省は外交関係の格下げについて、「イランによる湾岸、アラブ諸国への内政干渉に対する措置」と説明した。UAEは、イエメン紛争やエジプトのシシ政権支援でサウジと協力してきた。ただ、イランとも一定の経済関係を維持しているため、今回は外交関係の格下げにとどめたとみられる。
サウジは2日、国内で反政府デモを主導したなどとして死刑判決を受けていたシーア派指導者ニムル師の処刑を発表。イランのデモ隊が首都テヘランでサウジ大使館に放火するなどしたため、3日、イランとの断交に踏み切った。
サウジの決定について、イランは「中東を不安定にする誤った決断」と反発。中東全体での宗派対立の深刻化が必至の情勢だ。イランの外務次官は4日、「世界の目を処刑からそらすことはできない」と述べ、ニムル師の処刑を糾弾。外務省の報道担当者は「サウジは国内問題の解決のために、地域の緊張と衝突を激化させている」と批判した。