それが、2000年から11年までは、GDP4%成長に対し、貿易量が5・8%成長と、倍率が下がった。ところが、直近のデータを見ると、世界のGDP成長率2・2%に対し、貿易成長率は2%に過ぎない。
もはや、グローバルに輸出を増やすことで国民経済を成長させるという手法は、維持困難になりつつあるのだ。それにも関わらず、韓国はスロートレードに突入する以前に、あまりにも輸出依存度を高めてしまった。しかも、今回のスロートレード化の発端となった対中依存を深めてしまったのである。図の通り、韓国の対中依存度は、日本はもちろんのこと、タイやベトナムなど東南アジア諸国と比べてすら大きい。
16年の韓国経済は、急ブレーキがかかった中国経済に引きずられる形で失速し、「グローバリズムに過度に依存した国」の行く末を、われわれの前で示してくれるだろう。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国崩壊後の世界』 (小学館新書)、共著に『これからヤバイ世界経済』(ビジネス社)など多数。