現代の「グローバリズム」の柱の1つは、中国経済が永続的に成長するという「期待」であった。その「期待」が「幻想」に過ぎなかったという事実が明らかになったのが、2015年という年だったわけだ。当然ながら、資源国を中心に、経済を対中輸出に依存している国が、そろって不況に陥ってしまった。
さらに、資源国ではないにも関わらず、対中依存度を高めてしまった韓国もまた、経済失速の危機に直面している。特に、対中ビジネスが大きかった大手輸出企業は、すでに軒並みリストラクチャリング(=事業再構築)に乗り出しているありさまだ。
韓国のメディア(ChosunBiz)が11月24日、サムスン電子が業績不振で管理職の30%を解雇する見込みであると報じた。また、鉄鋼大手のポスコは、費用削減のために役員給与の返上や削減を実施した。
15年の通年の赤字額が6兆ウォン(約6304億円)に達する見込みの韓国三大造船会社、すなわち大宇(デウ)造船、サムスン重工業、現代(ヒュンダイ)重工業は、3社合計で3000人もの人員削減を計画している。
韓国経済が現在の苦境に陥ってしまったのは、対中のみならず、全体での輸出依存度が4割強(14年)と、極端にグローバル市場に依存する構造になってしまっているためだ。現在、世界は貿易の成長率が経済成長率を下回る、スロートレードという問題を抱えてしまっている。IMF(国際通貨基金)のデータによると、1990年代は世界の実質GDP(国内総生産)成長率が平均3・1%だったのに対し、貿易量は6・6%も拡大した。貿易の成長率が、実質GDPの2倍以上に達していたのである。