2016年はクラウドの優劣が明確に、ハイブリッドクラウドが普通、コンテナはメインストリームに。3つの2016年予想記事を読む

2016年1月5日

クラウドのエンタープライズへの浸透、Dockerに代表されるコンテナ型仮想化への注目、ストレージのHDDからSSDへの移行、ビッグデータ関連製品の盛り上がりなど、2015年もIT業界にはさまざまなトレンドがありました。

今年、2016年はどのような年になるのでしょうか? 海外のメディアが報じている2016年の予想記事を見てみましょう。

5 IT industry predictions for 2016 from Forrester and IDC | Network World

クラウドの優劣が明確に、開発者の希少価値

Network Worldの記事「5 IT industry predictions for 2016 from Forrester and IDC」では、調査会社のForresterとIDCが発表した予測レポートから、重要だと思われる次の5つのポイントが挙げられています。

基本的には、ビッグデータやクラウドといった2015年に重要視されていたテクノロジーが2016年も引き続き重要性を増していくという予想ですが、これまでITベンダのあいだで認識されていた開発者の希少性が一般の企業にまで広がっていく点は注目すべきでしょう。上位5つを短くまとめました。

1. レガシーなベンダーは困難に直面するだろう
IDCの予想によると、ITベンダーの30%以上が2020年までになくなるとのこと。

2. クラウドプロバイダーの優劣が明らかに
2016年にはそろそろ市場に残れるほどの規模かどうかがはっきりし始める。

3. ビッグデータはさらに巨大に
ビッグデータの時代はまだ始まったばかりであり、まだそれは1%も分析されたり実際に活かされていない。

4. あらゆる企業はソフトウェア企業になる
ITは「その企業がどうビジネスをしていくのか」という責任と遂行の核心を担うことになる。

5. 開発者は希少なコモディティとなる
企業をデジタルエンタープライズなものにするためのアプリケーションの実装は開発者によって行われるが、そのアプリケーションは従来のエンタープライズアプリケーションとは異なる言語、異なるフレームワーク、異なるデータベースで実装されるだろう。そのためにはこれまでの開発者とは異なるスキルが求められ、そうした開発者は希少な存在である。

クラウド移行の障壁は消え、コンテナがメインストリームに

8 Cloud Computing Predictions For 2016 - InformationWeek

InformationWeekで2016年のクラウドについて予想した記事「8 Cloud Computing Predictions For 2016」を紹介しましょう。

この記事を見る限り、米国でのクラウドの状況は日本の状況と比べて大きく先を行っているわけではないように思います。これをそのまま日本の2016年の予想にしても、それほど違和感を感じません。上位5つのポイントをまとめました。

1. ハイブリッドクラウドが次世代インフラとなる
2016年はハイブリッドクラウドがエンタープライズにとって新しい普通(ニューノーマル)になるだろう

2. セキュリティは引き続き最大の懸念事項となる
ミッションクリティカルなものも含めてクラウドへに移行は急速に進み、企業はその幅広い利点を理解するが、一方で引き続きセンシティブなデータなど、セキュリティが最大の懸念材料となる。

3. クラウドネイティブなアプリケーションが普通になる
クラウドプロバイダーはリアルタイム分析、オムニチャンネルサポート、マイクロサービスなど次世代アプリケーションのサポートに焦点をあてるようになり、クラウドネイティブなアプリケーションが普通になる。

4. クラウドへ移行するうえでの障壁が消えていく
クラウドへ移行するうえで障壁とされていた規制やコンプライアンスといったものはなくなっていく。

5. コンテナ型仮想化がメインストリームになる
アプリケーションはマイクロサービスの連係によって構成されるようになり、コンテナがそれを走らせるようになる。

ITアーキテクチャ、プログラミングスキルなどが重要

10 hottest tech skills for 2016 | Network World

今度はNetwork Worldの記事「10 hottest tech skills for 2016」で、2016年に重視されるスキルを見てみましょう。

挙げられたスキルはどれもうなずけるものですが、1のITアーキテクチャの重要性の高まりや、3のプロジェクトマネジメントでは、開発スピードの上昇による新しいスキルが求められる点などに注目したいですね。上位5つのスキルのポイントを短くまとめました。

1. ITアーキテクチャ
企業内での、テクノロジーを軸としたあらゆるプロジェクトにおいて、エンタープライズからクラウドまで幅広いスキルを備えたアーキテクトが求められる。

2. プログラミング/アプリケーション開発
昨年は1位だったスキル。モバイルやIoTに対応したアプリケーションの開発への要求も急速に高まっているとのこと。

3. プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメント自体は新しいスキルではないが、プロジェクトのスピードが速くなっていることから、以前とは異なるプロジェクトマネジメントのスキルが求められるようになっている。

4. ビッグデータ
大規模データをマネジメントするためのスキル。

5. ビジネスインテリジェンス/アナリティクス
大規模データの分析ができるスキル。特にヘルスケア、保険、金融などの企業での要求が高い。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Bookmark this on Delicious

タグ : Docker , クラウド , スキル



≪前の記事
日経BPがクラウド専門誌「日経クラウドファースト」創刊を発表。AWSとAzureのみ対象

Loading...

Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。新しいオンラインメディアの可能性を追求しています。
詳しいプロフィール


新サイト「Publickey Topics」始めました!


Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
RSSリーダーで : Feed





Publickey 最新記事 10本

Publickey Topics 最新記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig

fig



blog comments powered by Disqus