国としての謝罪というのは歴史上、珍しいことだ。あったとすれば、道徳と正義という言葉で覆い隠された力の論理と国際秩序に屈したに過ぎない。だから、謝罪が成立するかどうかは、むしろ謝罪を受ける側の意志と戦略にかかっていることが多い。北朝鮮は2010年、韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没をはじめ、韓国人を殺傷する数多くの挑発行為・事件を起こしてきたが、一度も謝罪していない。昨年の地雷事件の時のように、「偶発的に起こった出来事に遺憾の意を表する」くらいの言葉はあったが、韓国社会の一部ではこれを「謝罪と見なしてやろう」と、政府の狭量をとがめた。政府が南北関係を進展させるには、将来いつか、この「事実上の謝罪」を歯ぎしりして受け入れなければならないかもしれない。
今回の慰安婦交渉は、真の謝罪をする気がない相手と綱引きした結果で、どちらにせよ完勝は不可能だった。そのような謝罪でも受け入れて、今後の韓日関係をどのように国益に合わせ導いていくかは、私たちが決断する問題だ。何よりも慰安婦の記録や追悼館建設など、可能な方法を速やかに実行に移し、元慰安婦の女性たちの名誉を回復すべきだろう。