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2015年声優楽曲ベスト20曲+α(シングル・EP)

 声優楽曲の華はシングルとEPということで、自分がいいなと思った曲の中でさらにその部分を中心にスポットライトを当てて記事を書きました。BD特典曲やゲーム内限定曲、映画前売り特典曲、さらには未リリースの曲もありますが、様々な販売方法も含めて声優楽曲かなと思い、自分が把握できた中で全て含めました。アルバム編との曲被りはありません。


■「Pon De Beach (M@STER VERSION)」我那覇響(CV:沼倉愛美)
(from SG『THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 02我那覇響』)
作詞:BNSI(MC TC)/ 作曲・編曲:BNSI(Taku Inoue)


 初出はPlaystation3ソフト『THE IDOLM@STER ONE FOR ALL』の14年8月の追加シナリオ。15年の4月に音源化され話題を集めました。
 冒頭からガットギターやティンバレスの音色を取り入れ南米~中南米のサンバやカリプソ的な雰囲気を醸し出しながらも、曲中では「ヤーマンアロハ」と意図的に国籍を曖昧にするようなフレーズも差し込まれています。曲中では大胆にアーメンブレイクをサンプリングするなど、リスナーを挑発するような挑戦的な試みも盛り込まれています。井上拓の考える想像上のリゾートダンスミュージックが、アイドルマスターという二次元と現実の間を行き来するボーダーレスな場とガッチリとマッチした曲でした。


■「まだうごく」坂本真綾 コーネリアス
(from SG『あなたを保つもの』)
作詞:坂本慎太郎 / 作曲・編曲:小山田圭吾

 攻殻機動隊の名の下に坂本真綾とコーネリアスと坂本慎太郎と砂原良徳が集ったこの曲。10年前ならば想像もつかなかったコラボレーションが提示したのはコーネリアスの「Point」「Sensuous」の感性を進化させたようなテクノな感触のサウンドスケープ。コーネリアスらしいフェティッシュな音色を駆使したアーバンソウルトラックの中を、坂本真綾の繊細で優しい歌声が窓の外の街の灯りのように美しく調和して流れていきます。坂本真綾のヴォーカリストとしての存在感の大きさを実感した曲でした。


■「Midnight Mystery」 SolidS(篁志季(江口拓也) / 奥井翼(斉藤壮馬) / 世良里津花(花江夏樹) / 村瀬大(梅原裕一郎))
(from EP『SolidS vo.4』)
作詞・作曲・編曲:滝沢章


 グッズ企画・制作会社のムービックが仕掛ける二次元アイドル企画「ツキノ芸能プロダクション」の架空アイドルグループであるSolidS。他の架空グループと差別化するように、このSolidSは男性的なセクシーさをメインに打ち出しています。
 オルタナ・ジャズロック・ファンク・ドラムンベース・EDMなど様々なタイプの曲に挑戦していて、滝沢章(じょん)のソングライターとしての能力の高さと幅の広さに驚かされますが、この曲ではToro y moiやDam-funkから触発されたようなシンセブギーを披露しています。若手声優トップクラスの歌唱力を誇る上記4人の物憂げなヴォーカルと輪郭の曖昧なねっとりしたドラッギーなファンクトラックが相まって、大きな陶酔感をもたらします。


■『Insomnia(Short Edit)』デュアル Prototype Starring 種田梨沙
(from SG『Insomnia(Short Edit)』)
作詞:岩城由美 / 作曲:横山克 / 編曲:鈴木真人


 劇場アニメ『ガラスの花と壊す世界』の前売り券特典としてリリースされたこの曲。FKA TwigsやThe WeekndなどのアンビエントR&Bからの影響を色濃く感じさせる、ひんやりとした音色が宙に消えていく隙間のある一曲。SoulectionなどLA Beats系にも似た、意識が沈み込みながら拡散していくような感覚も味わえました。


■「HAPPYぱLUCKY」SoLaMi SMILE (真中らぁら(CV.茜屋日海夏) ・南みれぃ(CV.芹澤優) ・北条そふぃ(CV.久保田未夢) )
(from EP『プリパラ アイドルソング♪コレクション by SoLaMi SMILE& コスモ&ファルル』)
作詞:三重野瞳 / 作曲・編曲:中村瑛彦


 2015年はアルバムもリリースした声優アイドルユニットi☆Ris。彼女たちがメインキャストを務めるのがアニメ「プリパラ」です。キャラクターソングも活発にリリースされ、i☆Risではライブを意識した比較的ハードな曲を発表していた一方、プリパラのキャラソンは比較的ファンシーな面を表現していたように思います。
 この曲は情報量過多なプリパラの世界観を詰め込んだ、キラキラと輝く音色のリード、チャイム、、ホーン、ストリングスが渾然一体となって鳴り響く、ある意味"ペットサウンズ"的な極彩色のポップ音世界が展開されています。音を雑多に詰め込んでまとめ上げてしまう92年生まれの中村瑛彦の才能にも驚かされます。


■「ゆりしゅらしゅしゅしゅ」七森中☆ごらく部
(from SG『ゆりしゅらしゅしゅしゅ』)
作詞・作曲・ 編曲:玉屋2060%


 でんぱ組inc.へ楽曲提供するWiennersの玉屋2060%が、ゆるゆりへ提供した楽曲。彼らしいきらびやかな高速ファンクロックを切れ味ある声優の声でもって表現した結果、驚くほどパワフルな快楽性の高いファンクとなりました。4人が同時にユニゾンで歌うサビと合間のコールには圧巻の爽快感と中毒性があります。


■「sweet sweet everytime sweet」海老名菜々(CV:影山灯)
(from SG『干物妹! うまるちゃん キャラクターソング Vol. 2』)
作詞・作曲・編曲:烏屋茶房


 「干物妹! うまるちゃん」はキャラクターソングも力を入れて制作されていて、この曲はボカロP出身の烏屋茶房の手によるもの。角の取れたキックとスネアの優しいハウスビートの上を、ポップなシンセホーンと影山灯の倍音を多く含んだウィスパーで芯のある歌声が耳に優しく響きます。強さと弱さが絶妙な塩梅の彼女の声はキュートなのに主張が強く、インパクト大でした。


■「ほおずき」豊崎愛生
(from SG『Uh-Lala』)
作詞・作曲・編曲:蔡忠浩

 bonobosの蔡忠浩が全面的にサウンドプロデュースしたシングルカップリング曲。フルートとホーン、ストリングスの滑らかな響きのバックビートに浸っていると、随所に入るダビーなディレイ処理にグイッと耳を引き戻されます。ゆったりとした隙間のあるラヴァーズロックのバンドサウンドと豊崎愛生の儚い歌声が相性良く、曲の持つ切ない感情を引き出しています。


■「milky Star」水瀬いのり
(from ドラマCD『√HAPPY+SUGAR=IDOL』主題歌)
作詞:分島花音 / 作曲:カヨコ / 編曲:千葉"naotyu-“直樹


 ゲーム・ドラマCDの新進レーベル「Rejet.」の√HAPPY+SUGARシリーズ第二弾。第一弾に引き続き第二弾も水瀬いのりが主題歌を担当。スラップベースがグルーヴを推進しながらキラキラとしたシンセが宙を舞うソリッドなディスコハウス。水瀬さんのリズム感の良さと切れ味ある声の強さがよく分かります。主題歌となっていますがドラマCDには入っておらず未音源化。


■「ショコラの魔法」如月恋(増田俊樹)&如月愛(MAKO)
(from SG『ピンクな双子・如月恋&愛のお菓子なハット』)
作詞・作曲・編曲:虹原ぺぺろん


 前述のSolidSと同じくムービック「ツキノ芸能プロダクション」の企画である、各月を擬人化してドラマとキャラクターソングをCDリリースする「ツキウタ」シリーズ。グリコとのコラボレーションによる番外編リリースです。イーブンキックの上をバウンシーなピアノバッキングが奏でられるサイケデリックかつロマンチックなハウスナンバー。MAKOのセクシーでキュートなヴォーカルと増田俊樹の実直で伸びやかなヴォーカルが絡み合い、濃厚なのに爽やかな感覚が残ります。


■「ニセモノ注意報」B子(CV:東山奈央)
(from AL『終焉-Re:write-』終焉ノ栞プロジェクト)
作詞:スズム / 作曲・編曲:150P


 人間が歌うことを想定していない高速BPMのボカロ曲を強引に声優が歌った例がこの曲。ハッピーハードコア以上のスピードのBPM270のデジタルロックから、後半さらにスピードアップしてグラインドコア化。BPM300を越えるスピードに合わせて凄まじい速さで言葉が射出されていきます。彼女の声優としての技術力と意地が詰まったような歌いっぷりで、テクニカルな歌唱という意味で歌手ではできない声優ならではの歌唱の価値を見せつけられました。


■「Calling Calling」ゆいかおり
(from SG『RingRing Rainbow!!』
作詞:絵伊子 / 作曲・編曲:TSUGE


 2015年のゆいかおりはダンスミュージックに傾倒した年となりました。それを象徴するのがアルバム未収録のex.LILのTSUGEによるこの曲。EDM的なスタッカートの効いたハウスでありながら、歪んだベースがダブステップ的なシリアスさも含んでいます。三代目J SOUL BROTHERSや宮野真守にも楽曲提供する彼ですが、この曲では内省的なヴォーカルとスペーシーなリバーブ処理で、陶酔と覚醒が同時にやってくる独自の感覚を味わえます。


■「ホントノトコロ」名瀬ゆかな(CV:秋野花)
(from PCゲーム『妹のセイイキ』OP)
作詞・作曲・編曲:堀江晶太


 いち早くフューチャーベースに対応した曲に挙げられるのが、内田彩「with you」とこの曲。LISAへの楽曲提供やPENGUIN RESEARCHのベーシストとしての活動が知られる堀江晶太が手がけています。ブーミーなベースとファンシーなシンセが生み出すフュージョン風のアッパーなノリがまさにWave Racer的。フューチャーベースと美少女系アニメ声との親和性がよく分かります。


■「オノパラダイスキ!」オノパラダイスカファミリー(小野友樹・江口拓也・浜添伸也)
(frome SG『オノパラダイスキ!』)
作詞・作曲:小野友樹 / 編曲:川越好博


 ラジオ「小野友樹のオノパラ!」のテーマソングであるこの曲。小野友樹自身が作詞・作曲を手がけています。タイトルからしてスカパラを意識していると思うのですが、オーセンティックなスカの暖かいホーンの響きがゴージャスに響きます。曲中の各所で彼のユーモアセンスが発揮されていて、彼のエンターテイナーとしての意識の向け方とともに三人の声の切れ味を存分に味わえる一曲です。


■「耳の中へ」イヤホンズ
(from SG『耳の中へ』)
作詞:あさのますみ / 作曲・編曲:山本奨


 アニメ『それが声優!』出演声優によるユニットの、アニメ放送に先駆けてリリースされた1stシングル。ふぇのたすのヤマモトショウによる重心の低いパーカッシブなトラックと三人の明るい響きのヴォーカルがキャッチーかつファンキーなナンバーです。アニメの作中でもイヤホンズとして登場するため、キャラクターソングとしての側面も持っているのですが、アニメ放送前からライブで披露されアニメ終了後も活動を続けているため、アニメによって現実が上塗りされた状況を、さらに現実がオーバーラップしていく現象が発生し、曲の持つ意味が変化し続けていきました。


■「ギブミー・シークレット」StylipS
(from SG『ギブミー・シークレット』)
作詞:真崎エリカ / 作曲:宮崎まゆ / 編曲:近藤圭一


 アニソン界にもフェスが増え、ライブでフックとなる楽曲が求められる中、StylipSはライブでの盛り上がりを意識した楽曲を続々とリリースしています。そんなライブで盛り上がりを強く意識したこの曲は、ソカのビートに乗せて4人の掛け合いヴォーカルが印象的な一曲です。合間のハーフテンポのダビーな展開もうまく曲に流れと抑揚を作っています。
 2015年はこの曲とラブライブ!サンシャイン!!のAqoursの「Step Zero to One」がソカ曲をリリースしていて、ソカがジャンルとして根付いてきたのを感じました。


■「通り雨drop」宮本るり(内山夕実)
(from BD『「ニセコイ:5」 特典CD』)
作詞・作曲渡辺翔 / 編曲:倉内達矢


 涼音堂茶舖や分解系Recordsなどを彷彿とさせるエレクトロニカ~フォークトロニカ的なサンプリング・グリッチノイズを使用しながらも、サビでは爽やかなポップなハウスとして仕上がっています。内山夕実はこの曲にとどまらず様々な曲で器用な歌唱を見せていて、種田梨沙とのユニットGerbeliaではこの曲とは対照的な力強いヴォーカルを聴かせてくれました。


■.「Never say never ~For Anastasia rearrange MIX~」 アナスタシア(CV:上坂すみれ)
(from アイドルマスター シンデレラガールズ第3巻特典ボーカルCD「346Pro IDOL selection vol.2」)
 作詞:BNSI(八代雄太) / 作曲:BNSI(kyo) / 編曲:TAKT(TRYTONELABO)


 アイドルマスターシンデレラガールズのBD&DVD特典としてリリースされた既発曲をヴォーカルを代えてリアレンジするシリーズ第二弾に収録された曲。元々はストリングスの入った疾走感ある打ち込みロックを、BPMを下げ穏やかでジャジーなラテンハウスへと姿を変えています。ハウシーでありながらこの絶妙なミナス的なラウンジ感に橋本徹のカフェ・アプレミディを意識したのかなと感じる部分もありました。


■「キミイロモノローグ」竹達彩奈
(from SG『Little*Lion*Heart』)
作詞:竹達彩奈 / 作曲・編曲:シミズコウヘイ


 アイドルと同じく、新進のバンドやアーティストに楽曲提供を依頼しするのは声優界でも増えてきています。この竹達彩奈のシングルのカップリング曲では楽曲提供にカラスは真っ白のシミズコウヘイを迎えています。アンビエントな導入部からブレイクを挟んで、ノイジーなオルタナロックへ変化します。彼女のヴォーカルは終始儚い響きを保っていて、ノイジーなバンドサウンドとの対比がよりその繊細さを引き立たせています。


■「Viva!Carnival!」F∞F (愛童星夜(CV:KENN), 湊奏多(CV:井口祐一), 御剣晃(CV:豊永利行) )
(from スマートフォンゲーム『アイ♥チュウ』)
作詞:五月アラン / 作曲・編曲:早川大地


 『アイ♥チュウ』ではex.Sweet Vacation、ex.東京エスムジカの早川大地が中心となって楽曲制作を行っています。この曲はゲーム内でも中心的存在になっているユニット「F∞F」の楽曲で、サンバ・ソカ・カリプソを混ぜあわせたようなリズムに伸びやかなソウル的な歌唱が組み合わさったクールな仕上がりの一曲です。KENNと豊永利行という男性声優界屈指の熱唱派の二人の掛け合いによるヴォーカルの迸りぶりにも注目です。未音源化。


■「Over the Rainbow」 MooNs(CV.上村祐翔、柿原徹也、森久保祥太郎、大河元気、増田俊樹)
(from SG『Gloly Upper』)
作詞・作曲・編曲:上野浩司


 男性アイドルユニットが多数誕生した2015年。その15年の後半に発表されたのは西川貴教と志倉千代丸がプロデュースする二次元アイドル企画「B-project」。この曲はその企画内ユニットであるMooNsの一曲。爽やかなニュージャックスウィングで、軽やかでファンキーなビートに乗せて、声優らしい個性豊かな声色のマイクリレーとサビでのユニゾンヴォーカルの爆発感が気持ちいいです。このユニットに限らず、最近の二次元男性アイドル楽曲は、小森田実や岩田雅之の仕事を参考にしている部分が散見されて、作曲家の世代的にも90年代のジャニーズを参考にしているのかなと思いました。

ちなみに+αになっているのはカウント間違いのためと、思い出したら追加したいなと思ったためです…。