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 飲酒運転による交通事故の示談金名目で知人らから現金をだまし取ったとして、奈良県警は4日、元近畿大生で住所不定無職、岡本孝司容疑者(20)ら4人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。グループは弁護士の息子役などに扮し、事故を起こしては、演技で被害者に金を払うよう仕向けていたという。

 奈良西署によると、4人は共謀して昨年9月13日、近大の女子学生(21)=奈良県生駒市=を誘って奈良市内の居酒屋で酒を飲んだ後、岡本容疑者が女子学生と弁護士の息子役の男(21)を乗せて乗用車を運転。奈良市七条2丁目の市道で歩行者役の男(21)と接触する事故を起こした。

 歩行者役の男が「全員同罪だ。退学になるかも知れない」とあおり、弁護士の息子役の男は父親に電話したように装い「運転手は200万円、同乗者は130万円が示談の相場」と指摘。さらに、現場に駆けつけた「法律に詳しい友人役」の男(26)も「それくらいの相場」と畳みかけ、女子学生から示談金名目で現金130万円を詐取した疑いがある。

 岡本容疑者らは昨年9~10月にも同様の手口で3件の事故を起こし、近大生ら5人から計約243万円を詐取したとして逮捕、起訴されている。4人とも「金が欲しかった」と容疑を認めているという。県警は岡本容疑者とアルバイト仲間らが犯行を繰り返していたとみて調べている。近大によると、岡本容疑者は昨年10月に農学部を退学。「まじめな学生で授業態度も普通だった」という。翌月、警察からの連絡を受け、全学生に注意喚起していた。把握している被害学生11人は全員農学部生で、岡本容疑者とは顔見知りだった。立件された事件以外に、7人が被害に遭っているという。