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【社会】

首都圏19教委 教科書採択前に非公開会合 決定過程が不透明に

2016年1月4日 07時08分

 新年度から公立中学校で使われる教科書の採択で、首都圏の県庁所在地など三十七自治体の教育委員会の半数が、事前に非公開の会合を開いていたことが、本紙の調査で分かった。文部科学省は「教科書採択の理由の積極的公表」を求めているが、決定に至る過程が見えづらい実態が浮かんだ。 (志村彰太)

 十九教委で、採択前に委員が非公開で話し合っていた。うち五教委は「透明性を確保するため」(茨城県)などと議事録を公開したが、十四教委は議事録を作っていない。

 非公開会合の時間(合計)は相模原市の十七時間が最長で、横浜市の十三時間、東京都北区の十二時間半などが続く。相模原市は「資料説明や勉強会として開いた。委員の考えがまとまらない段階の議論の公開は望ましくない」と説明。茨城県は「外部からの圧力を防ぎ、静かな環境で議論してもらうため」とした。

 採択時の会合は千葉県を除く三十六教委が公開で行ったが、そこでも教科書会社名を伏せたり、無記名投票で決めたりした教委がそれぞれ二割あった。

 教科書会社名を伏せた八教委のうち、東京都大田区は「内容を重視して議論するため、委員にも出版社が分からない状態で議論している」とした。無記名投票は七教委で、「個人の思想信条に関わる議題で、自由な議論を促すため」(栃木県)などの理由だった。

 積極的に公開している自治体からは「資料は委員が読み込んでくるのが前提」(品川区)「疑いを持たれないよう、全てをオープンにしている」(川崎市)などの意見が聞かれた。

 文科省は「教科書採択の結果、理由の積極的公表」を求め、昨年四月にも通知を出した。担当者は「教科書は税金を使って無償で配られるので、採択理由の説明責任を果たさなければならない。議事録を残さないことも問題だ」としている。

<教科書採択> 戦前は旧文部省が発行する国定教科書1種類だったが、戦後の民主化で、民間の出版社が発行する複数の教科書から選ぶ現制度に移行。4年に1度の教科書検定に合わせ、公立学校で使う教科書を決める。地域の実情に合った教科書を選ぶ目的から、自治体の教育委員会が委員の話し合いや多数決により採択する。保守的とされる「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ中学校歴史教科書の採択例が増えていることなどから、採択過程の透明性を求める市民の声は強い。

(東京新聞)

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