マスク氏は南アフリカ脱出を望み、米国で大学に通いながら生まれ持った才能を開花させていった。2002年、31歳のときにペイパルをイーベイに売却して1900億ウォン(現在のレートで約196億円)を手に入れ、この年に米国国籍も取得。その後も米国で事業を興し続けた。彼が生んだ膨大な付加価値と雇用は米国人が享受している。
マスク氏が未来産業のパイオニアとして名声を得ると、南アフリカは「彼は私たちの国の人だ」と誇るようになった。だが、残念ながら片思いだ。マスク氏は南アフリカに関する質問を受けると「学生時代が大変だった」と言葉少なに語ることが多い。母国の人々が聞いたら喜ぶようなリップサービスさえもなかなか口にしない。英紙タイムズは「マスク氏が南アフリカに残っていたなら、今日の(成功した)彼は存在しなかっただろう」と指摘している。
韓国は、南アフリカよりはるかに優れた教育システムと産業インフラを備えている。だが、自問してみるべきだ。韓国にマスク氏のような天才がいたなら、国に失望させることなく前向きな若者に成長させられるだろうか。韓国で成功させ、国内で富を得て未来を設計するように育てられるだろうか。ずば抜けた才能を持つ子どもたちを発掘し、その潜在力を高めていく制度的な仕組みが必要だ。韓国が育てられなかった天才が外国で能力を発揮したとき、後から「あの人は韓国人」と騒ぐのはむなしい。韓国は天才を育てる国になるべきだ。