[PR]

 長時間の乗車で乗客が疲れがちな高速バス。「みんな一斉にリクライニングを倒しましょう」という、運転手からの粋な呼びかけアナウンスが“神対応”だと話題です。この運転手さんは誰? どんな思いからこんな呼びかけを? 運行会社に取材しました。

■「一斉に倒しましょうか、はいドーン」

 福岡市と鹿児島市を約6時間で結ぶ高速バス「桜島号」。ツイッターに、乗客とみられるユーザーがこんな投稿をしました。

 「夜行バスは割とよく乗るのだが、今日の運転手さんちょっと変わってるぞ。『夜行バスなので皆さん寝るんですけど、後ろの方が気になってリクライニング倒せないってことあるんですよね。せっかくだから後腐れないように今一斉に倒しましょうか、はいドーン』。新しいし、ありがたい」

■悩む人も多い、リクライニングを倒すタイミング

 このつぶやきは、たちまちリツイートされ拡散。「これホント良いですよね」「粋な計らいですね」「なるほどー名案です」などと絶賛の声が相次ぎました。

 高速バスは規制緩和によって路線が増え、低料金を武器に利用者を増やしています。一方で、多くの乗客はリクライニングシートをなかなか倒せずに悩んでいたようです。

 中には、「後ろに声掛けするとしても、寝てるかどうかを気にしなければならない」といった苦悩の吐露もありました。

■「人間味ある行動」心がけた結果

 この“神アナウンス”の主は、桜島号の運行会社の一つである「いわさきコーポレーション」(鹿児島市)の運転手・村瀬芳尚さん(39)。

 路線バス運転手を経て、2013年から高速バス運転手として福岡―鹿児島便を担当しています。

 「後席の方に気遣ってリクライニングを使わず6時間、窮屈な姿勢で仮眠されるお客さんもいらっしゃった」のが、運転しながら気になっていたそうです。

 会社の運行マニュアルに書かれているわけではなく、「お客様の立場に立ち、人間味ある行動」を心がけた結果、ふと考えついてアナウンスに至ったとのこと。

 リラックスできる移動空間にこだわるだけあって、趣味は「温泉に入ること」。

 予想外の反響に驚きつつも、「お客様を目的地まで安心・安全・確実にそして快適にお送りする」をモットーに、これからも乗客に喜ばれる輸送を心がけたいと抱負を語ってくれました。(北林慎也)