金養建氏死去で南北関係冷却か

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の側近で、対南政策を統括していた金養建(キム・ヤンゴン)労働党書記(73)が死去したことで、離散家族再会、南北次官級協議など対話局面が続いた南北関係が冷却期間に入るのではないかとする見方が出ている。

 世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は30日、「金正日(きむ・ジョンイル)政権当時から9年近く対南政策を統括してきた金養建書記が突然死去したことで、当面は南北対話の中断が避けられないのではないか」と述べた。双方の関係改善ペースもスローダウンする可能性がある。

 国策シンクタンク幹部は「金養建書記は年輪と経験に基づき、金正恩氏の大きな信頼を得て、自信を持って対南政策を提言してきた。しかし、もはや思い切って金正恩氏を説得できる人物がいなくなったと言えるため、主要政策の決定過程にやや時間がかかるのではないか」と分析した。ただ、専門家らは長期的には対南政策の大きな方向性に変化はないとみている。

 自由民主研究院のユ・ドンヨル院長は「北朝鮮のあらゆる政策は基本的に金正恩氏が決定するため、金養建氏が死去したからといって変化はあり得ない」と指摘した。韓国政府関係者も「金正恩氏は『並行路線』で南との対話を通じ、経済的実利を得ようと努力してきた。そうした基調は金養建氏の後任が誰であれ続くとみている」と述べた。

 金養建氏の後任は韓国政府としても関心事だ。最も有力視されているのは、元東淵(ウォン・ドンヨン)党統一戦線部副部長だ。元副部長をめぐっては一時粛清説もあったが、今回の金養建氏の葬儀委員会の名簿に含まれ、健在だと判明した。元副部長は昨年2月、南北高官級協議で韓国大統領府(青瓦台)国家安全保障室の金奎顕(キム・ギュヒョン)第1次長の相手だった。元副部長より葬儀委員の序列では上の祖国統一民主主義戦線の金完洙(キム・ワンス)書記局長兼統一戦線部副部長も後任として取り沙汰されている。

 鄭成長室長は「金完洙氏は韓国ではあまり知られていないが、最高人民会議常任委員、民族和解協議会(民和協)議長などを務め、対南分野で重要な人物だ」と指摘した。このほか、祖国平和統一委員会の書記局長を務めるメン・ギョンイル統一戦線部副部長の名前も挙がっている。金養建氏の死去が一部の観測通りに強硬派による他殺だった場合、国家安全保衛部など強硬派が対南関係を掌握する可能性もある。

黄大振(ファン・デジン)記者
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