建設機械メーカーの斗山インフラコアは先月18日まで、勤続年数に関係なく約3000人の事務職(事務系総合職)社員全員を対象に、希望退職者を募っている。同社が希望退職を実施するのは2015年に入ってすでに4回目だ。また、STX造船海洋は12月11日までに平社員を含む全ての役員・社員から希望退職を募った。これまで部長級以上だったリストラ対象者が、入社して間もない20代の平社員まで拡大されたのだ。
韓国は今、1990年代後半のアジア通貨危機以来最悪となるリストラの寒波に襲われている。景気低迷が長期化し、大企業はもちろん中堅・中小企業まで人員削減に乗り出しているのだ。リストラの波は造船・鉄鋼・建設・銀行・保険とあらゆる業種に及んでいる。韓国の製造業の総売上が昨年、1961年の統計開始以来53年ぶりに減少した上、今年の事情は昨年以上に悪化するのが確実とみられているからだ。
サムスングループは電子・物産・保険などほぼ全ての系列会社が希望退職を実施あるいは現在募集中だ。一部系列会社は12月から今年11月まで、全ての役員・社員を対象に、輪番制で1か月の無給休職を実施する。これはグループ創立後初めての事態だ。サムスンの関係者は「2015年だけで6000人を超える役員・社員が希望退職などによって会社を去った」と話した。
KB国民銀行をはじめ、SC、KEB、ハナなど5大市中銀行では辞職勧告や希望退職によって2800人が職場を離れた。現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業の「造船ビッグ3」の役員数は、2014年末の約420人から2015年12月現在で約220人へとほぼ半減した。
中堅・中小企業では解雇が続出している。社員25人の中小企業でマーケティングチーム長を務めるキムさん(39)は先月3日、前の社長から「会社にはもう来ないでくれ」と通告された。キムさんの会社は一時は50億ウォン(約5億1000万円)の売上を誇っていたが、一昨年赤字に転落し、昨年の売上は30億ウォン(約3億500万円)未満に落ち込んだ。すると会社側はキムさんら3人を解雇したのだ。
韓国経済研究院のクォン・テシン院長は「20代の社員まで希望退職の対象になったのは、アジア通貨危機や世界金融危機の時期にもなかったこと」「来年になって家計(個人)債務や企業の放漫経営の問題まで大きくなれば、人材市場はさらに厳しい状況に追い込まれる可能性がある」と指摘した。