最近韓国の経済状況が1997年のアジア通貨危機直前に似ていると懸念する声が一部から聞かれる。当時も今も円安で企業の輸出競争力と採算性が低下し、負債問題が深刻化している点で似ている。通貨危機直前には企業の負債が膨らみ、現在は家計債務が膨らんでいる。
さまざまな改革が遅れている点も似ている。96年には国際基準に合わせ、労働市場の柔軟性を高めるために政府が推進した労働法改正をめぐり、ゼネストが起きるなど混乱した。現在は労働改革5法、サービス産業発展基本法、企業活力向上特別法(ワンショット法)など構造改革法案が野党の強硬な反対に遭い、国会審議が難航している。
中国と日本に挟まれた韓国経済の立場も共通だ。97年には先進国と中国に挟まれる状況を例え、「ナッツクラッカー」という単語が流行した。その単語が最近は中国と韓国の技術格差縮小をきっかけに再び使われるようになっている。
とはいえ、韓国経済が97年当時の通貨危機や金融危機に陥る可能性を主張する専門家は少ない。危機の性格が異なるからだ。康奉均(カン・ボンギュン)元財政経済部(省に相当)長官は「現在の危機の本質は日本が1990年代前半に経験したような長期不況と低成長という構造的危機だ。連鎖的な企業破綻で金融市場で不良債権が膨らんだ97年とは状況が異なる」と述べた。
全光宇(チョン・グァンウ)元金融委員長も「97年の通貨危機はウイルスがアジアを襲い、相対的に経済のファンダメンタルズ(基礎体力)が弱かった韓国がやられたものだ。現在は中長期的な観点で急成長してきた韓国経済に早期老化現象が生じている状況であり、危機の性格が異なる」と指摘した。