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 全国の多くの百貨店や商業施設で2日、初売りがあった。買い物客でにぎわうなか存在感を示したのが外国人観光客で、各社は今年も「爆買い」に期待する。都市部では売り上げの出足は順調だが、地方では高額品が売れにくいなど二極化もみられる。

 高島屋大阪店(大阪市)では8千人以上が並び、予定を20分早めて午前9時10分に開店した。奈良県から夫婦で来た会社員の男性(49)は、二つの百貨店を巡って化粧品など福袋を17買ったという。「正月休みが短く旅行にいかない分、欲しい物を手に入れました」と満足そうだった。2日の売り上げは推計で昨年同日の5%増。

 富裕層向けの高額な宝飾品などに加え、外国人観光客向けも好調だった。赤サンゴのネックレスといった外国人に人気の商品を集めた1200万円の福袋も用意。免税手続きの窓口や中国語の案内も充実させた。

 ほかの百貨店や家電量販店でも、外国人向け福袋を準備するなど、爆買いを取り込もうとしている。

 ネットでの福袋の販売も広がる。国内最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」は前年より約100店多い300店以上が福袋を扱った。予約は昨年12月8日からで、ほとんど完売したという。

 近鉄百貨店あべのハルカス本店(大阪市)では2日、宝石セットなどの888万円と300万円の福袋が売れた。松屋銀座(東京都中央区)では、仏高級ワイン「ロマネ・コンティ」6本セット(972万円)の福袋が開店15分で売れた。株高もあって都市部では、富裕層の消費が堅調だ。

 一方で、地方では高額品が伸び悩み、手ごろな値段の衣服や生活雑貨が売れているという。

 天満屋岡山店(岡山市)は、昨年までは絵画などの2千万円を超える福袋があった。今年は約300万円のものが最高額で、担当者は「高額品の消費が落ち着き、地元名産品のものに力を入れた」という。

 SMBC日興証券の宮前耕也氏は正月商戦について「実質賃金があまり上がらず節約思考が強まっている」とみる。(神沢和敬、岩沢志気)