あけましておめでとうございます。 本年が昨年よりも、より良い年でありますように。 さて昨年末、防衛省の平性年度政府予算案が発表になりました。 我が国の防衛と予算(案)−平成28年度予算の概要 http://www.mod.go.jp/j/yosan/2016/yosan.pdf これに関する報道も既に多数なされています。 防衛費、初の5兆円突破 中国念頭に島嶼防衛を強化 http://www.sankei.com/politics/news/151224/plt1512240060-n1.html >成28年度予算案の防衛費は、前年度比1.5%増の5兆541億円(在日米軍再編経費などを含む)となり、初めて5兆円を超えた。防衛費の増額は第2次安倍晋三政権が発足して以降、4年連続。 防衛費5兆400億円 政府調整、初の大台突破へ http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H0Z_T01C15A2MM0000/ >政府は米軍再編経費などを含む2016年度の防衛関係費について、15年度の4兆9801億円から増やし、5兆400億円程度とする調整に入った。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設作業が本格化するほか、中国の海洋進出を踏まえて離島防衛に使う防衛装備品を増強するため。増額は4年連続で、5兆円を突破するのは初めてだ。 防衛費、初の5兆円台 対中国の装備強化 来年度予算案 http://www.asahi.com/articles/ASHDM5GB4HDMULFA005.html >政府は、2016年度予算案の防衛費を5兆500億円超とする方針を固めた。防衛費の増額は第2次安倍政権になって4年連続で、5兆円を突破するのは史上初。 新聞は「初めて防衛費が5兆円を突破」と報じていますが、これはリテラシーの欠如です。 実質的には既に本年度の防衛予算で5兆円を超えております。 それは前年度の補正予算と、東日本大震災復興特別会計が防衛予算と一体化したからです。 来年度に関してはさずがに復興特会でC-2輸送機を調達するなどという愚行はなくなったようです。 ですが、来年度予算と本年度の補正予算は一体化しております。 既に今年の頭、東洋経済オンラインでこんな記事を書きました。ご参照ください。 補正予算は「平成の臨時軍事費特別会計」だ 防衛費は、補正を含めると5兆円の大台を突破 http://toyokeizai.net/articles/-/58914 本来、補正予算は例えば石油価格の高騰によって燃料費が大幅に増えたとか、フィリピンで大規模災害が発生して人道援助で自衛隊部隊を派遣して大幅に予算を超過し、想定した予算では足が出る。そのような場合に使用するものです。 ですが、相変わらず本年度の補正予算でも、本来防衛費で買うべき買い物をしています。 本来の意味の補正予算の趣旨の支出は以下の様なものです。 その他の支出 544億円 ○ 給与改定に伴い不足する自衛隊員の給与等 ○ 為替レートの変動に伴い不足する外貨関連経費 ○ 災害により被災した装備品等の復旧 当然以下の様なものは認められないはずです。殆どヤクザの言いがかりのような 理由を理由にして装備を要求しています。 (1)自衛隊の災害対処能力の回復等・・・・・・・・・・・・・・・・・・494億円 台風18号による暴風雨や各地での豪雨災害をはじめとするさまざまな災害に対処したことなどにより損耗が進んでいる装備品等の回復、及び災害対処能力の向上等に必要な経費を確保 笑ってしまうような理由です。 ○ CH−47JA、UH−60JA、UH−60Jの整備 ○ 救難飛行艇(US−2)[1機] の調達 ○ 軽装甲機動車[38両]、NBC偵察車[1両]、96式装輪装甲車[8両] の調達 これらの装備がどのように損耗したのでしょうか。 (2)自衛隊の安定的な運用態勢の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・526億円※ 厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、自衛隊による活動が増加傾向にあることに伴い、警 戒監視態勢の強化、テロ等各種事態への対処能力の向上、装備品の可動の確保等、自衛隊の 安定的な運用態勢の確保に必要な経費を確保 ○ 航空機(OP−3C・EP−3)搭載電子機器部品等の調達等 ○ 情報収集体制の整備 ※ テロ対応のための経費として41億円(戦闘装着セット、個人用装備品等の調達) を含む。 防衛施設の円滑な運営の確保等 403億円 再編関連措置のうち地元の負担軽減に資する措置等を的確かつ迅速に実施するための経費 ○ 厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐に伴う施設整備 ○ キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の返還に伴う物件撤去等 ○ 嘉手納飛行場における海軍駐機場の移転に伴う施設整備 補正予算1966億円中、本来の予算と認められるのは544億円で、1422億円は本来防衛省予算で執行すべきものです。 ぶっちゃけた話、来年度の概算要求から政府予算担った時に落ちたものを、本年度の補正予算で調達しているようなものです。 そう考えれば、来年度の防衛省予算案は5兆400億円ではなく、5兆1800億円ほどと、随分と増えることになります。ところが多くの納税者はこんなことを知りません。 財政再建が叫ばれれている現在、来年度の予算で落ちたのは補正で買えばいいや、というのは納税者を謀る行為ですし、行政のモラルハザードを生みます。 このような野放図な税金の使い方が当然しされるのは、非常に由々しき事態です。こういうモンキービジネスをやっていると予算と財政が不透明化し、諸外国から日本の行政に対する信頼性も失われるでしょう。 防衛予算の総額はこれら補正に紛れている、これら本来防衛省の本予算で調達すべきものを含めての金額を出して、議論すべきです。 補正予算は上記の防衛省のHPの来年度の予算と一体化して記述があるのですが、それをなんで新聞は無視するのでしょうか。 まさか新聞は低減税率の対象になるから、政府に都合の悪い記事は書かない、というのでしょうか。 Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。 【陸自は輸送防護車を使いこなせない】〜海外邦人救助に大きな懸念 その1〜 http://japan-indepth.jp/?p=23856 【陸自の輸送防護車、高額な調達価格】〜海外邦人救助に大きな懸念 その2〜 http://japan-indepth.jp/?p=23863 【海上自衛隊、空母を持つ野望】〜マンガ「空母いぶき」のリアリティ その1〜 http://japan-indepth.jp/?p=23226 【海上自衛隊、空母を持つ野望】〜マンガ「空母いぶき」のリアリティ その2〜 http://japan-indepth.jp/?p=23242 【海上自衛隊、空母を持つ野望】〜マンガ「空母いぶき」のリアリティ その3〜 http://japan-indepth.jp/?p=23254 東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。 富士重勝訴でも晴れない防衛調達費の不透明 防衛省の調達システムは問題が多すぎる http://toyokeizai.net/articles/-/97503 フランスは原発テロの悪夢にうなされている 自爆覚悟のテロは、防ぐのが難しい http://toyokeizai.net/articles/-/93096 高額な早期警戒機が日本では「欠陥機」だった 周波数帯をまともに使えない大矛盾 http://toyokeizai.net/articles/-/88753 朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました。 イスラム国がトヨタのランドクルーザーを使う理由 http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015110200004.html 陸自が導入した輸送防護車は使えない 机上の空論では済まない邦人救出の現場 http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015100200004.html |
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