SNSを活用した企業のマーケティング支援で、台風の目のような企業に--中村壮秀 アライドアーキテクツ社長
2014年1月21日
アライドアーキテクツはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した販促支援事業を手掛けている。順調に業容を拡大し、昨年11月には東証マザーズに上場を果たした。中村壮秀社長は「マーケティングのあり方を変える、台風の目のような存在になりたい」と意欲を示す。
SNSを使った企業のマーケティング活動が一層活発化している。販促支援会社の中でも、アライドアーキテクツは「国内最大級」の2500社以上にサービスを提供してきた。同社は、企業とタイアップしたキャンペーンサイト「モニプラ」や、モニターサイト「モニプラ ファンブログ」などの運営を通じて、企業と消費者をつなげるサポートを行っている。中村社長は、
「約130万人のSNSユーザーからのデータを基に、きめ細かいコンサルティングとシステムを企業に提供できます」
と自信を見せる。
具体的な支援事例の1つに、大手電機メーカーが開催したFacebook(FB)上での写真コンテストがある。SNSユーザーから投稿写真を募集、より多くの支持を集めたユーザーにカメラをプレゼントする企画だ。広報チームの横山友紀氏は、
「『いいね!』やシェアを通じて、宣伝効果は何倍にも膨れ上がります。現時点では、利用企業はメーカーが比較的多いですね」
と語っている。
中村社長は、住友商事でのリテール事業立ち上げや、ゴルフ関連の大手サイト「ゴルフダイジェスト・オンライン」設立に携わってきた。これらの経験を通じてネットの口コミを使ったマーケティング支援に商機を見いだし、2005年8月に同社を設立。ウェブログを皮切りに、FBやツイッター、ミクシィなど、さまざまなSNSを対象に事業領域を広げている。
国内事業の基盤を拡充しつつ、12年11月には海外進出を果たした。台湾のネット企業であるドーパミンと独占販売契約を締結し、現地企業向けにFBキャンペーンアプリ「モニプラ for Facebook」のサービスを展開している。台湾はFBの普及率が約6割を誇るSNS大国だ。
「台湾はFBが普及している割に、SNSを使ったマーケティングは十分浸透していません。われわれに十分なビジネスチャンスがあります」(中村社長)
台湾での事業開始から約1年間で、利用企業は約50社に達した。アライドの高品質なサービスで、顧客獲得に弾みを付けていく。続いて、ベトナムでも今年1月にFBマーケティング支援を開始。中村社長は、
「まずは台湾市場の深耕を図りながら、経済成長が著しくSNS人口の占める割合が高い東南アジアにも幅広く進出したい」
と意気込みを見せている。
昨年11月には、東証マザーズに上場した。同社の初値は5600円で、公開価格1700円の約3・3倍を付けた。市場からの高い評価を追い風に顧客・ユーザーの獲得を進めながら、開発やマーケティングを始めとする幅広い人材の採用を強化していく考えだ。
「当社が求めているのは、世界中のマーケティングを変えようとする気持ちを持った気概のある人材。従来のノウハウを生かしながら、新しい発想を生み出す〝未来派志向〟の仕事をしてほしいですね」
12年12月期における売上高は10億7400万円。13年12月期は第3四半期までで、12億3300万円を計上しており、順調に数字を伸ばしている。競争の激しいIT業界で業績拡大を図るのは容易ではないが、中村社長は、
「人が誰かとつながりたいという欲求は不変です。SNSのポテンシャルは十分あります」と話す。
「企業と個人の橋渡しができる当社のBtoBtoC型ビジネスなら、時代のさまざまな変化に対応できます。『当社なしではビジネスが回らない』と言われる、台風の目のような企業をつくっていきたいですね」