例えば、政府規制の緩和や撤廃に始まり、大企業と中小企業の格差の撤廃、農協制度の廃止、政府の技術革新政策の大変革、雇用システムの改革などである。この種の根本的な変革を実現しない限り、2050年の夢は実現しない、ということだ。
ワシントン・ポストの書評は、未来予測の若手専門家アリ・ワイン氏によるものだった。ワイン氏は本書の読み方は少なくとも2つあると指摘する。
1つは、同書の予測にどの程度の根拠があるのかを考える点だという。この点についてワイン氏は、「読者の多くはおそらく日本が2050年に大成功しているという予測は受け入れないだろう」と総括していた。
第2の読み方は、この書を日本への勇気づけ、つまり激励のように受け取ることだという。プレストウィッツ氏は日本が現在のままだと衰退の一途をたどるという危機認識から日本への励ましとしてこの本を書いたのだろうというわけだ。
しかしその指摘については、かつて「日本叩き」で知られた筆者が今なぜあえて日本の衰退をそこまで心配するのか、という疑問が生じる。
『日本復興』の最後の部分には、その疑問への答えとなる文章が次のように記していた。
「日本が本書で描いたような、経済的に強大で、軍事的にも力強く、民主的な国家として国際的な役割を果たすことは、米国の利益にも大いに合致するのだ」
つまり、プレストウィッツ氏によると、日本がこのまま衰退していけば米国も困る、ということなのだろう。