- Steven Senne/Associated Press
- 蒲島郁夫・熊本県知事(右後方)に紹介されて踊るくまモン(12日、ハーバード大)
【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)】熊本県の公式PR用ゆるキャラ「くまモン」にとって、今年は多忙な1年だ。県の営業部長としての職務を続けるかたわら、数あるゆるキャラの中で初めて天皇、皇后両陛下に面会し、台湾、フランスへの海外「出張」もこなした。
そしてくまモンは今週、米国デビューを果たした。米東海岸の訪問には、くまモンの最大のファンでサポーターの蒲島郁夫・熊本県知事も同行した。Japan Real Time(JRT)はハーバード大学を訪ねたくまモンを直接取材した。
蒲島知事は100人あまりの学部生、大学院生、教授で満席となった講堂で「くまモンの政治経済学」と題した講演を行い、日本の行政にとっての新たな領域を切り開く自身の取り組みを説明した。知事は、リーマン危機を通じ、経済から総合面での幸福に価値を移転させなければならないことを実感したとし、熊本県における人々の幸福実現を目指す努力でくまモンが重要な役割を果たしていると述べた。くまモンは講演の中盤で元気良く登場し、おなじみのコミカルな動きで聴衆の笑いと拍手を誘った。
流星のごとく人気スターとなったくまモンのことをあまりよく知らない人のために説明すると、黒い熊のようないでたちのくまモンは、熊本県の観光振興で一風変わった方策を取ることに意欲的な知事の発案で2010年3月に「誕生」した。当初、柔らかい素材の着ぐるみがあまりにも怖い印象を与え、子供が怖がって逃げるようなこともあったが、数回のデザイン変更を経てくまモン人気は日本中を席巻した。その人気の裏にはくまモンのかわいらしさもあったが、シンプルなデザインと、「利用料無料」という気の利いた戦略もあった。くまモンの画像・映像の利用は無料で、利用許可申請を提出するだけという仕組みだ。日本で採用されているその他のキャラクターと違い、くまモンは自らPRする県や会社への忠誠を表明するアイテムを身にまとっていない。くまモンはくまモンであり、条件や制約は一切存在しない。
この結果、くまモンのイラストや写真は、ホテルの客室に置かれる枕、つけ爪、まな板、包装材、飛行機、スナック菓子、本など、ありとあらゆるところに登場するようになった。最近の調査によると、日本国民の間でくまモンの認知度は90%と高く、ハローキティやミッキーマウスと十分張り合えるレベルだ。
だが、成功にはリスクが付きものだ。蒲島知事はハーバード大での講義で、日本全国がいわゆる「ゆるキャラ」飽和時代に突入することを危惧していると述べた。よって、海外への進出は論理的な次の一手であり、台湾、フランス、そしてハーバード大がある米国へとくまモンの世界を広げるに至った。蒲島知事はJRTに対し、くまモンは米国でまだ成長の余地があると語った。これは、くまモンと一緒に写真に写ろうと7時間も待つファンがいた台湾に比べ、米国民の反応が控え目だったことを受けての発言だ。
ハーバード大は、くまモンの米国での訪問先としては理にかなっている。蒲島知事はハーバード大の大学院で政治経済・行政学を専攻し、博士課程を1979年に修了している。知事は、学生らにはくまモンとの出会いをきっかけに、社会的・政治的な活動において新たな可能性を追求し、自らの人生で新たな領域にチャレンジしてほしいと話した。
記者: Moeko Fujii
原文(英語):Harvard Degree: The Political Economy of Kumamon
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/11/14/harvard-degree-the-political-economy-of-kumamon/
ゆるキャラを持つ自治体は全国に広まったが、要は後は企画力の問題なんだよ。くまもんがハーバードに何の用があるのかという話ではなく、WSJ日本版に取り上げられるとかメディアに載ればそれで成功。それでは熊本とはどういうところなのかと続いて連想して頂ければいいし、問い合わせがあればそれが成果としてカウントされる。
電子政府を楽天に登録するわけにもいかんから、ゆるきゃらが代わりにメディアに乗る。一つの解決方法だな。