誰からもうらやましがられる大企業「S社」に務める30代初めのA課長が数日前「希望退職」を申請した。会社が他の系列会社と合併した上、実績まで低迷したため、役職に関係なくリストラに踏み切ったのだ。ちょうど来年には一人目の子どもが小学校に入学するが、面倒を見る人がいなかったため、悩んだ揚げ句に退職を決心した。数年間は1億ウォン(約1020万円)にもなる慰労金でやりくりしながら家事と子育てに専念するつもりだ。
これまで希望退職といえば、比較的月給が多くて勤続年数の長い役員や部長クラスにのみ当てはまる話であると思われてきた。ところが最近景気が低迷したことで、企業が役職や勤続年数に関係なく退職申請を受け付けている。それとともに30代前後の課長代理や課長たちが「希望」という単語とは裏腹に自分の判断50%、他人の判断50%で会社を離れるケースが増えている。
2014年7-9月期に職を失い新たに失業保険を申請した20-30代は9万196人だ。2015年4-6月期にはこれが5%増の9万4698件に上った。非正規職の青年就労者は大多数が雇用保険に加入できないことを思えば、実際の数値はこれよりもはるかに高いはずだ。会社側が若い社員に希望退職を勧める際によく使われる手段として面接を繰り返すということがある。毎日呼ばれて会社の現状を説明され説得されれば、これに耐えられる者は多くないというのが経験者たちの話だ。
さらには建設機械企業の斗山インフラコアでは、2014年公開採用した新入社員と23歳の女性職員までが希望退職を申請したという。経営難に直面した会社が10日前から国内の事務職約3000人を対象に退職申請を募ったためだ。2015年の2月、9月、11月に続き同年4回目の希望退職だ。こうした話が世間に知られるようになると、「最初から雇わなければいいのに」「1年で辞めさせる学生をなぜ入社させるのか」という批判の声が殺到した。結局、斗山グループの朴容晩(パク・ヨンマン)会長が「新入社員は希望退職の対象から外す」よう指示を下す羽目となった。
少数だが希望退職をチャンスと考える若者もいる。多国籍企業に5年間通った30代初めのBさんは、会社が年俸の200%を慰労金として掲げると、いさぎよく退職を申請した。この金額なら3年はやりくりしながら新しい人生設計を立てることができる気がしたという。しかし、こうした若者たちも、退職という単語から受ける困惑と未来に対する不安は変わらないだろう。「青年」は「就職」や「失業」とつながりのある単語かと思ったら、今度は「青年名誉退職」という言葉まで登場した。働き盛りの一人としてまた同じサラリーマンとして胸が痛む。