今月・来月のおすすめ
"ついに時代劇専門チャンネルは、あの一大シリーズを始めます!お白洲に咲く遠山桜、見覚えが無いとは言わせませんっ!日本の時代劇を代表する名作「遠山の金さん」を堂々の"シリーズ完全放送"でスタート致します!
1970年より東映が制作した一連のテレビシリーズは、総話数800を越えるビッグスケール。歴代の"金さん"役も名優の名前がズラリと並び7人にも上ります。
中村梅之助(「遠山の金さん捕物帳」1970~73年)、市川段四郎(「ご存知遠山の金さん」1973~74年)、橋幸夫(「ご存じ金さん捕物帳」1974~75年)、杉良太郎(「遠山の金さん」1975~79年)、高橋英樹(「遠山の金さん」1982~86年)、松方弘樹(「名奉行 遠山の金さん」1988~98年)、松平健(「遠山の金さん」2007年)と、見返すだけでも壮観です。
不朽の人気キャラクターを受け継いだ各主演者たちは、それぞれの個性を滲ませ熱演。シリーズの変わる度に異なる妙味が、おなじみの「金さん」に加えられ、絶えず楽しまれる作品づくりが実現されて来ました。
また同じキャラクターについて、様々な役者による演じ方の違いを見比べるという鑑賞法は、時代劇ツウなら欠かせない楽しみの1つだと思いますが、その点でも「金さん」ほど味わい尽くせる作品は見当たらないのでは。
「どこから見ても面白い」という定番の惹句は、まさに「遠山の金さん」のための褒め言葉。毎回、御覧になるうち「王道」とはこの様にして拓かれるのだと納得できる、時代劇の鑑と言うべき作品です!
内容の方は、もはや説明不要の感もありますが、巧みな話の作りや、テンポの良さには、あらためて頭の下がるものがあります。
「遊び人の金さん」なんて名乗り、ほっつき歩いてばかりいるが真の姿は北町奉行。長屋に棲みつくのも、町の事件に何かと絡んで行くのも、すべて密かに市中の様子を探るためです。江戸に巣食う悪人、ごろつき共もまさか、お奉行様の目がすぐそばで光っているとは思いもよりません。悪行の限りを働いた末、捕えられたのにまだシラを切る図々しい輩がいた日には「おう、おう、おう!」と、黙っちゃいられない!遠山様が、突如べらんめぇに啖呵を切るなんて何事かと驚いていると、瞬く間に着物をはだけた肩からバッと目に飛び込んで来る入れ墨! 悪人たちは、目を疑いたいけれども、確かに見覚えのあるその桜吹雪の模様に、ただ震え上がえるしかありません。遊び人と名奉行、正反対の顔を使い分けて江戸を自在に飛び回る姿の颯爽としたカッコ良さ!そして、悪人にチラつかせておいた入れ墨を白洲でここぞとばかりに披露して何もかも黙らせてしまう凄味。金さんの繰り出すドンデン返しは、痛快なことこの上無し。「スーパーマン」の華麗な変身から、「大魔神」の怒りの爆発が繰り出されたぐらいの怒涛の衝撃が、毎回に詰め込まれているといるようなもの。どおりで劇中の悪人はおろか、テレビの前の私たちまで何度でも度肝を抜かれてしまうわけです。
さらに、もう1つ。「金さん」の魅力を語るなら、それは時代劇ヒーローの中でも殊更の親しみを人々に抱かせる点だと思います。理由はやはり背中に隠された金さんの「若気の至り」によるものでしょう。桜吹雪の入れ墨は、お奉行様にだって血も涙も流れていると人間臭さを与えているシンボル。どんな悪でもピシャリと黙らせる迫力はもちろんですが、そこには世情に通じ、酸いも甘いも知り尽くしての裁きなのだという説得力や威厳が溢れているかのよう。江戸庶民たちが惚れこむのも全く頷けます。
何でも、この桜吹雪の入れ墨は、専門の職人によって各シリーズの金さんごとに少しずつ違う絵柄に描かれているのだとか!
スタート日である秋分の日は、歴代7人にいるTVシリーズ「遠山の金さん」全員の第1話を網羅する一挙放送を行います!稀代の人気長寿作の歩みを振り返るだけでなく、入れ墨のこだわりなど細部まで見比べるチャンス。是非ご注目下さい。
なめくじ長屋に住む遊び人の金さん(市川段四郎)の正体は、北町奉行・遠山金四郎。密偵の弥太郎(市川銀之助)やお照(田坂都)の協力を得て、江戸の町を騒がす悪人たちに厳しい裁きを下していく……。
長屋に住む遊び人の金さん(橋幸夫)の正体は、北町奉行の遠山金四郎。時には同じ長屋の住人で鼠小僧気取りの太吉(山田太郞)や発明好きの風山老人(柳沢真一)の力を借りて、江戸の悪事を裁いていく……。
長屋住まいの遊び人・金さん(杉良太郎)の正体は、北町奉行の遠山金四郎。悪人相手に桜吹雪の刺青を見せつけて大暴れし、一転お白州では、シラを切る下手人に再び桜吹雪を披露し、観念させて刑を言い渡す……。
北町奉行の遠山金四郎(高橋英樹)は、普段は遊び人の金さんに身をやつし、事件があれば、桜吹雪の刺青をあらわに悪人たちを懲らしめる。そしてお白洲では、証拠を出せと言う悪人に桜吹雪を見せて観念させる……。
江戸の町の治安を守るため、遊び人の金さんに身をやつして事件を追い、悪人をあぶり出し、北町奉行として裁きをする遠山金四郎(松方弘樹)だったが、南町奉行・鳥居甲斐守(中村嘉葎雄)がその失脚を狙っていた……。
北町奉行の遠山金四郎(松平健)は、事件が起こると与力の東条八太夫(森本レオ)の目を盗んで奉行所を抜け出し、町人の金さんとして事件を内偵、捕らえられた悪人がお白州でとぼけると桜吹雪の刺青で観念させる……。