危険度は車700万台の排気ガス相当! LA北でメタンガスが大量ダダ漏れ中
本当に重大なニュースはニュースにならないホラー。
BP原油流出以来最悪の自然災害がLA北西40kmで音もなく進行中です。メタンガスが1日推定1,300トン近くも空中にダダ漏れになっているのです、10月23日から2ヶ月以上も!
現場は南カリフォルニアガス会社(SoCalGas)のアリソンキャニオン貯蔵施設。テキサス、中西部、ロッキー山脈からパイプラインで集まってくるガスを貯めている場所です。周辺住民から悪臭がするという苦情が相次ぎ、調べてみたら地下ガス貯蔵庫からガスが漏れていることがわかり、3月まで上空を飛行禁止にしました。
肉眼では見えないんですけど、環境防衛基金(EDF)が赤外線撮影した映像を12月30日に公開し…
ハリウッドセレブたちもようやく騒ぎ始めています。
ガス漏れの現況はEDFがリアルタイム更新中なのですが、これまでに漏れたメタンガス総量は73,000トンで、その温室効果はCO2の600万トン分に相当するんだそうな。1時間に110,000ポンドのガスが空中に漏れてるって話もあります。大変なことです。
天然ガスは石炭よりCO2排出量が少ないクリーンエネルギーのイメージですけど、それは燃やした場合の話ですもんね。燃えないまま空中に漏れたら害は同じっていうか、それ以上なんだそうですよ? EDFはこう書いてます。
天然ガスの主成分メタンは、短期の環境への害は大きく、霧散後20年の温暖化パワーは二酸化炭素の80倍もある。アリソンキャニオンのガス漏れ現場では、1日6200万標準立方フィート(1,755,644,488リットル)も漏れており、その長期の温室効果は車700万台の排気ガスに相当する。
クルマ700台分! せっせと電気自動車にしても意味ないやん!!!
カリフォルニア州大気資源局(ARB)の話では、「石炭の発電所8~9個分のガスを空中に吹き出している」そうですよ? でも米ギズ記者さんも南カリフォルニア在住なのに「ここまで深刻だとは知らなかった」って書いています。そりゃそうだ。毎日、銃乱射とかトランプのニュースばっかりなんだもん。
症状
周辺住民には頭痛、めまい、吐き気などの症状も出ています。地元の2校は冬学期、全校児童を他校に移しました。
メタン自体は無臭・無害なんですが、ガス漏れに気づけるように、ガス業者がメルカプタンを注入しているため、漏れると臭いでわかるんですね。ロサンゼルス郡のCyrus Rangan有害物質疫学事業部長に取材してみたら、異臭で健康不良になる住民も出ているそうで、避難希望者は推定4,000~5,000世帯、2,200世帯は既に一時避難済みとのお話でした。
塞ぐ
BP原油流出を止めた専門家も招集されましたが、修理にはまだ数ヶ月かかる見込みです。なんせガス漏れですからね。ガスに引火したら作業員もろとも吹っ飛んでしまうので、現場をなるべく遠巻きに掘ってY字につなぎ、片方の穴を埋める長丁場の修理となります。
SoCalGasに取材してみたら、「地下2.5km以上のところで繋ぎ、漏れてる方の穴に重液と土砂を流し込んで塞ぎ、ガス漏れを止めた上でセメントで永久に塞ぐ」という回答をいただきました。
この第2の穴(releaf well)は12月4日から掘り始めました(従来の修理法を試して何度か失敗後)。同社のサイトを見てみたら、今は地下1.17kmまで掘った辺りで、やっと漏れてる幅17cmのパイプを特定できたところでしたよ。
やった!と喜びたいところですが、修理は3月末までかかるそうです。