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人口減や財政難で公共下水道の全体計画縮小 白浜町

 和歌山県白浜町は、白浜温泉街で実施している公共下水道事業を見直し、全体計画面積を293ヘクタールから177ヘクタールに縮小する。人口減少や社会構造の変化、町の厳しい財政状況などから計画区域すべてを整備することが困難になったためという。

 町の公共下水道事業は、宿泊施設が立ち並ぶ温泉街の汚染対策や白良浜がある鉛山湾内の汚染防止が主な目的。1985年に基本計画書を作成し、88年に着工した。計画区域は大浦から綱、阪田、臨海、千畳、三段に至る。94年に一部で公共下水道の供用を開始した。

 全体計画293ヘクタールのうち、2013年度末で白良浜を中心とした温泉街142ヘクタールを整備した。これまでに掛かった事業費は約105億円。公共下水道への接続率は人口比で68・2%、このうち旅館、ホテル、民宿の接続率は棟数比で約70%となっている。

 町上下水道課によると、計画を策定した当初に比べて人口減や高齢化、合併浄化槽の普及などで状況が変わってきた。このため公共下水道への接続戸数や使用料収入が伸び悩み、下水道会計の13年度決算では3億2300万円の累積赤字を計上した。毎年一般会計から3億円以上の繰り入れが必要な状態が続いている。

 見直し案では、将来の人口や流入水量の予測、整備区域の状況、投資効果などを考え、未整備の東白浜や三段、臨海など118ヘクタールを計画から除外し、新たに阪田11ヘクタールと千畳11ヘクタールを計画に加える。当初は50億6千万円掛かる予定だった未整備区域の事業費は、47億4千万円減の3億2千万円になる。

 計画区域内の人口は3260人(当初計画1万1千人)、1日最大の処理汚水量は6279立方メートル(同1万3995立方メートル)。当初の計画では白良浜の前にある町浄化センターの水処理施設の増設が必要だったが、見直しにより現有の処理能力(1日7千立方メートル)で対応できる。国からは社会情勢の変化を踏まえて下水道計画を見直すよう通達されており、計画から除外した地域については合併浄化槽の設置で汚水処理の整備を進めていくという。

 同課は「白良浜の水質を守るという目的は変わらないので、計画区域については公共下水道への接続を引き続き推進していく」と話している。


【和歌山県白浜町の公共下水道見直し計画区域図】

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