【BOX】田中、人生初ダウンも逆転KOで日本最速V1

2016年1月1日6時0分  スポーツ報知
  • 6回、田中(左)の左ボディーがヒットし、サルダールがダウン

 ◆プロボクシング ▽WBO世界ミニマム級(47・6キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇田中恒成(KO6回2分15秒)ビック・サルダール●(31日、愛知県体育館)

 日本選手最速のプロ5戦目で世界王座を獲得したWBO世界ミニマム級王者の田中恒成(20)=畑中=が、逆転KO勝利で初防衛を飾った。5回に同級4位のビック・サルダール(25)=フィリピン=の右クロスでボクシング人生初のダウンを喫したが、6回に左ボディー一発でKO。試合後は、今年中の2階級制覇を宣言した。田中の戦績は6勝(3KO)。(観衆5500)

 左ボディー一発で、全てをひっくり返した。田中は5回、右クロスでプロアマ57戦通じて初のダウンを喫した。しかし直後の6回、腰の入った左で急所のレバー(肝臓)をえぐり、10カウントを聞かせた。「正直、完全に負けてました。結果オーライでお願いします」。日本選手最速6戦目での世界初防衛に声を弾ませた。

 冷静にチャンスをうかがった。5回までは劣勢に立たされながらも、細かく左ボディーを当てた。右ストレート、左フック、左ボディーをたたき込み「相手は離れるとうまいが、接近すると頭が低くなる。くっついて左ボディーが得策かな」と作戦を立てていた。先月のリオ五輪テスト大会でフライ級金メダルに輝いた兄・亮明(駒大4年)も「度胸の強さは見習うものがある」とうなった。

 KO防衛しか頭になかった。昨年11月、祖父の健裕(けんゆう)さんが急性心筋梗塞のため72歳で死去。ひつぎに初防衛戦のポスターを入れ「KO勝利をささげる」と約束した。「約束通りKOを見せられた。『何とか勝てたよ』と報告したい」と遺影を掲げた。

 リング上では「16年は2階級制覇することを誓います」とライトフライ級転向を宣言した。同級には、この日2度目の防衛に成功したWBA王者・田口を始め3人の日本人世界王者が君臨する。畑中清詞会長(48)は転級について「これからゆっくり考えます」と慎重だが、日本人対決については「ファンが望むのであれば」と前向きだ。次戦7戦目で2階級制覇を果たせば、井上尚弥(大橋)の8戦目を超える世界最速記録。“日本最速王者”が、今年は“世界最速王者”を目指す。(勝田 成紀)

 ◆田中 恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。20歳。幼稚園の年中で空手、小学5年でボクシングを始める。中京高時代は高校4冠。アマ戦績は46勝(13KO・RSC)5敗。高校3年秋に畑中ジム入門。13年11月にプロデビュー。14年10月に東洋太平洋ミニマム級王座、15年5月にWBO世界同級王座獲得。身長163.5センチの右ボクサーファイター。

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