年始早々、闇が深すぎる自己愛男子を発掘してしまった。
私は自分のことを「神」と名乗る男性を3名ほど知っている。宗教じゃなくて「俺スゴイ」的ニュアンスで。信じがたいだろうが、こういう恥ずかしいことを「女性の前限定で」名乗るヤツは存在するのだ。
私が年の瀬に知った「神」は、合コン大好きな外資男子だった。
神「俺、自分のこと神だと思ってて」
またコレか、と私は観念した。
合コンでお互いをよく知らないうちに、自分がイケてることを匂わせる技がある。たとえば「別件があるから行かなきゃ」と途中で切り上げ "人間としてモテる" ことを見せる、着信が女性から来ているを見せ "異性としてモテる" のを見せるなど。
これらのテクは女性を「今すぐ彼を捕まえなきゃ、別の女性に取られちゃう」と焦らせることができる。ところが神は一味違った。
神「俺さ、婚約者がいたんだけど今訴えられちゃってるんだよね。婚約していた間に浮気したから。でも友達に優秀な弁護士がいたからもみ消してやったよ。」
WHAT? 彼はどうやら「婚約中も浮気できるモテモテな俺」かつ「優秀な弁護士を雇ってトラブルを解決できる仕事ができる俺」をこのエピソードで伝えたかったらしい。女子の9割はドン・引き。
しかしそこに引っかかる女はいる。メンヘラちゃんだ。精神的に参っている女の子は男性が話している中身を精査することなく「自信満々そうな雰囲気」から「もしかして彼なら、私の自尊心を埋めてくれるかも……」と寄り添ってしまう。自己愛男子はそんな女性を見逃さずガツガツ口説く。こうして、神はメンヘラをお持ち帰りになる、アーメン。
2015年1月に、神はある女性を本命として気に入った。見初められたのは5大商社で経理として活躍する私の友人。神曰く「商社や外銀女しか本命として付き合いたくない。他の貧乏女は俺の金を使い込む恐れがあるからな。CAやモデルはいわば『つまみ食い』の相手にしかならん」と。私の友人は当時仕事が煮詰まっており、ガツガツ口説いてくる彼を拒絶するパワーが残っていなかったと当時を述懐する。
デートの行く先で夜景やレストランを撮影する彼女。神は言った。
神「その写真、SNSにアップするときは #神の御姿 ってハッシュタグつけて」
おおメシアよ……。お前はバカなのか?
なお、そのバカなハッシュタグのおかげで、私も彼が豪遊する姿をいつでも拝見できる。付き合ってわずか2週間、友人は彼へ違和感を感じ始めていた。
1.玄関を入ってすぐの場所に大きく引き伸ばした彼の写真があり、家を訪れるたびに「すごいだろう?神の姿だよ」と言われる
2.まれにカバンを持つなど優しくしてくれるがその度に「どうだ、神の恩恵を感じるか?」とコメントする
3.仕事の相談をすると不機嫌になる。「……でも私の経理業務なんかに比べたら、神君はすごいよ」とフォローすると上機嫌に戻る
4.老いることに異様な恐怖を示し、高級な化粧品やエステへ金を注ぎ込む
5.Vana Hという特殊な水しか飲まない。曰く神にふさわしい飲み物だから
★ なおVana Hは病気が治癒するなど喧伝した結果景品表示法に引っかかった水。ご購入は自己責任で!
違和感というか「タッハー!もうだめだね!」と叫びたくなるエピソードが相次ぐが、決算期で仕事が忙しく別れる余力もない彼女は神を放置しておいた。ところが、転機は3ヶ月後に訪れた。
「「あなた、もしかして神さんの本命彼女ですか?」」
複数の女性から、コンタクトが来たのだ。
先述したように、神は自分の行動を #神の御姿 と称してSNSへ投稿させていた。つまり彼の行動パターンは丸裸なのだ。そこでいつも同じ女性と一緒にいることが判ったので、浮気相手たちが殴りこんできたのである。と言っても、敵は彼女ではなかった。
「「あんな男やめておきな。今からアイツの家へ私たちは押しかけるから、あんたも来なさい!!!」」
こうして忙しい彼女は、青山にある彼のタワマンへ引きずられる。浮気相手たちはインターホンをガンガン鳴らすが、当人は出てこなかった。
その後彼女は女性陣と話した。「私なんてどうせ不細工だから」「彼くらいしか構ってくれる人なんて」と自己卑下をする様子が気になる。神へメンヘラが列をなす、まさに修羅地獄を目の当たりにした彼女は即効で彼を着信拒否したという。
友人は彼を軽蔑しながらも「私の力で彼をどうにかできなかったんだろうか」と当時を振り返る。優しい人や自尊心が低くなっている女性のよくあるメンタリティだが、彼を自力で救おうとしては、さらに付け入られて傷つくだけだ。
◆心の病気を「私が治す」と考えるのはやめよう
話を聞いて感づいたのは「自己愛性パーソナリティ障害」という診断名。詳しくはこちらを参照していただきたいが、いくつかの診断項目を抜粋するとこんな感じ。
○自己の重要性に関する誇大な感覚
○自分が"特別"であり、独特であると信じている
○過剰な賞賛を求める
○自分自身の目的を達成するために他人を利用する。
ざっくりまとめると「俺ってすごいよね!常に賞賛して!でもお前のことは好き勝手に利用した挙句捨てるけどね」という性格のゆがみである。
これは臨床医から聞いた話だが自己愛性パーソナリティ障害の人は、テストが100点のときだけ認めてもらえる、親の気が向いた時だけかまってもらえるなど「条件付きの愛情」しか貰えなかった人に多いらしい。
そうすると子供は「あんなの大した親じゃない。俺は特別な存在なんだ」と見下すことで不安を解消しようとする。その一方で見捨てられる不安はぬぐえないので、社会的な成功や他人の賞賛で自尊心を満たそうとする。自分へ依存してくれるメンヘラちゃんはいいターゲットだ。
パートナーが自己愛君だった場合の解決策は「病院へ連れて行くこと」一択しかない。骨折が祈っても治らないのと同じで、心の骨折は精神科へ行くしかない。だが彼が高級マンションや自画像、#神の御姿 でアピールする「嘘っぱちの自尊心」に引き寄せられるメンヘラモードだと、むしろ彼を賞賛し続けて逆効果の方法ばかり取ってしまう。
本当に自己愛君を救いたいなら、まずはあなたが健康なメンタルを取り戻すこと。そしてその上で、彼を病院へ引きずっていくこと。「愛しているなら、一緒に病院へ行こう」しか神を人に戻す魔法はないのだ。
◆まとめ
ここまで自己愛君の事例を辿りながら対処法を書いていったので、最後にまとめを。
○自分を「神」と名乗るなど笑えるくらい尊大な態度を取ってくる男性を女性が救うことはできない。愛でどうにかなるレベルじゃない。
○社会的に問題が起きているレベル(例:訴訟になった、人間関係が壊れた)なら、病院へ手を引っ張ってあげるのが最大の愛情
○自己愛男子に狙われているときはあなたもメンタルが弱っているのかも。休息を取ったり、セラピストに相談してみて
それでは、2016年もよろしくお願い致します!(悲鳴)
※今回掲載した内容は個人情報保護のため一部改変を加えています。神のプライバシー保護のため予めご容赦ください。