「実質0円」が廃止!? 総務省、【携帯料金の値下げ】を3キャリアへ要請
いよいよスマートフォンの「実質0円」が無くなるかもしれません。
安倍総理の鶴の一声で総務省が「携帯料金の引き下げ」に対して動きを見せ、有識者会議(正式名称:携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース)を招集しました。2015年10月からこれまでに5回にわたって議論が行われ、12月16日、そのとりまとめ案が報告されています。
結果を受けた総務省は18日、ドコモ、au、ソフトバンクのキャリア3社に対して、ケータイ料金の引き下げや端末販売の適正化の内容を含めた要望書を提出。これに対し各キャリアは今後のスマートフォンにかかる料金をどうするか、方向性を決めなくてはなりません。
これにより「実質0円」廃止や、長期利用者が優遇されるような料金体系になることが予想されます。
果たして、我々が支払っている月々のケータイ料金は安くなるのでしょうか?いま一度ポイントを整理して解説していきます。
結局ケータイ料金は安くなるの?高くなるの?
総務省が提出したのはあくまで要望書なので、実際は各キャリアの裁量に委ねられています。もし総務省の要望をキャリアが実現したとすると、ケータイ料金が安くなるひと、高くなるひとがそれぞれ出てくるはずです。
ケータイ料金が安くなる可能性があるひと
- 毎月の通信量が1GBより少ない
- 一つのキャリアを長く(2年以上)使っている
ケータイ料金が高くなる可能性があるひと
- MNPで端末代金「実質0円」を狙っている
- 一つのキャリアの利用期間が短い(2年未満)
なぜこれらの人たちのケータイ料金が安くなったり高くなったりするのでしょうか。総務省が提出した要望書と、その基となった有識者会議の報告書内容から考えてみましょう。
総務省の要望書に盛り込まれた2つのポイント
まず、総務省が各キャリアにあてた実際の要望書を見てみましょう。
1. スマートフォンの料金負担の軽減
スマートフォンについて、ライトユーザや端末購入時補助を受けない長期利用者等の多様なニーズに対応した料金プランの導入等により、利用者の料金負担の軽減を図ること。2. スマートフォンの端末販売の適正化
(1)通信サービスの契約と一体的に行われるスマートフォン端末の販売について、店頭において端末販売価格の値引きや月額通信料金割引等に関する利用者の理解を促すための措置を講ずること。
(2)端末購入補助の適正化に関する基本的な考え方等を示すガイドラインの策定までの間も、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)利用者等に対する高額な端末購入補助について、端末の価格に相当するような行き過ぎた額とならないよう、適正化に取り組むこと。3. 取組状況の報告
総務省に対し、1及び2の取組状況について、以下のとおり書面により報告すること
(1)ライトユーザや端末購入補助を受けない長期利用者等の多様なニーズに対応した料金プランの導入等を行った場合、速やかにその内容を報告すること。
(2)スマートフォンの端末販売の適正化について、平成28年1月末までに、当面の取組状況を報告すること。以上
項目は3つに分かれていて、項番1と2に各要望、項番3に1と2の検討内容を報告するようにと記載されています。 一言でいうと、「新規契約者に対する過剰な優遇を改善し、通信量が少ないライトユーザー向けのプランを作ってほしい」という要望です。
もう少し各要望について見ていきましょう。
1.スマートフォンの料金負担の軽減
各キャリアとも、現時点「スマホのデータ通信をあまり使わない人」に対する料金プランがありません。
たとえば、月額2,700円で通話し放題のプランとデータ通信の最少プラン(2GB)月額3,500円を合わせただけでも月額5,000円を超えてしまいます。さらに機種代金などを合わせると7,000円~8,000円の月額を支払うことになります。
有識者会議ではこれらの点を指摘して、ライトユーザー向けに5,000円以下のプランを検討するように報告をまとめました。
2. スマートフォンの端末販売の適正化
「MNPすればお得にスマホが持てる。」というCMやケータイショップ店員の案内はみなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。MNP専用の割引プランや商品券がもらえるサービスなどがあるので、解約手数料分も考えてもお得にスマホが持てるのです。
そんな中、「実質0円」という方式が改められるかもしれません。「実質0円」とは、端末代金の分割払い金額に対して通信料金を割り引くことで、端末代金と通信料金が相殺されてスマホが実質0円で持てるという方式です。
しかし、端末代金が実質0円になるのは不公平になるし、端末販売を行わないMVNOの参入を妨げることになる、通信料金の負担を行うべきだと有識者会議が指摘しました。
どんな改善がキャリアに期待できるだろうか?
これらの要望によって、各キャリアにはどのような期待ができるのでしょうか。期待できるポイントを整理してみます。
通信量上限1GB以下の料金プランの新設
- 総額5,000円未満で利用できる安価なプランの登場
- 通信速度を制限したより安価なプランの登場
長期利用者向けの割引やサービスの拡充
- 機種変更後の端末代金割引(月月割など)の増額
- 基本料金の割引
MNP利用者に対する優遇の廃止
- 専用割引プランの減額または廃止
- 手続き時の商品券の廃止
- MNPによる解約手数料額の増額
他にも、MVNOの参入障壁を下げて、競争を促進するための取り組みを求める報告を有識者会議が出しています。そのため、キャリアが持つ回線や顧客管理のシステムをMVNO業者とどのように連携していくかも重要です。連携により、MVNOの価格がさらに下がれば我々利用者がさらに満足できるはずです。
まとめ
こうした議論の一方で、通信網の管理をいかに効率化するか、事務手続きなどをいかに簡略化するかといった、内部のコストを下げて利用者に還元する議論はされていませんでした。
今回総務省が求めていたことは、格安なMVNO業者を増やしたり、過剰なMNPの割引をやめて長期利用者を優遇したりといった施策で、安心してより便利にスマホを使える環境を作ることだったようです。
MVNOが普及するとなれば、当然SIMロック解除の話につながるでしょう。SIMロック解除には、一定期間の利用が義務付けられていますが、この期間が廃止されたりなくなったりする日が来るかもしれません。
総務省への報告期限は2016年1月末。3キャリアがどのような料金体系になっていくのか、報告内容に目が離せません。