戦後間もなく、陛下が昭和天皇から受け取られた手紙があります。

12/22 18:56
12月23日は、天皇陛下の82歳の誕生日です。長年、慰霊の旅を続ける陛下が、戦後まもないころ、父の昭和天皇から受け取られた手紙がありました。

23日、82歳の誕生日を迎えられる天皇陛下。
戦後70年を迎えた2015年、陛下は、平和への願いを胸に、各地へと足を運ばれた。
4月、先の大戦で太平洋での激戦地となったパラオを、慰霊のための訪問された。
そして、5月には、東京大空襲の犠牲者が眠る慰霊堂へ。
6月には、観音崎での戦没・殉職者船員追悼式に出席された。
陛下は2年前、80歳、傘寿の誕生日の際も、80年の人生の中で最も印象に残ることは、先の大戦と述べられている。
2013年、陛下は「私が、学齢に達した時には、中国との戦争が始まっており、その翌年の12月8日から、中国のほかに、新たに、米国、英国、オランダとの戦争が始まりました。終戦を迎えたのは、小学校の最後の年でした。前途にさまざまな夢を持って生きていた多くの人々が、若くして命を失ったことを思うと、本当に痛ましいかぎりです」と述べられた。
陛下が、小学校最後の年と語られた、終戦の年。
その年末の天皇ご一家の様子などを写した写真展が、現在行われている。
そこには、当時皇太子だった陛下が、ニワトリを追われる姿や、息子を見守る昭和天皇の写真など、戦後直後の昭和天皇の笑顔を収めた、貴重な作品が展示されている。
実は、これらの写真が撮影される数カ月前、父である昭和天皇から、息子、現在の陛下宛てに、1通の手紙が送られていた。
手紙が書かれたのは、終戦からまもない、1945年9月。
父親らしい、息子を気遣う言葉から始まっている。
手紙には、「手紙をありがとう。しっかりした精神をもって、元気で居ることを聞いて、喜んでいます。国家は多事であるが、私は丈夫で居るから安心してください。今度のような決心をしなければならない事情を早く話せばよかったけれど、先生とあまりにちがったことをいうことになるのでひかえておったことをゆるしてくれ」とつづられていた。
昭和天皇から、息子である陛下に送られたこの手紙には、先の大戦への後悔の念がつづられていた。
23日、82歳になる天皇陛下が11歳の時に、父、昭和天皇から受け取られた1通の手紙。
そこには、戦争終結への決意に至った過程を振り返り、息子に伝えようとする思いが込められていた。
昭和天皇の手紙には、「敗因について一言いわしてくれ。わが国人(くにびと)が、あまりに皇国を信じ過ぎて英米をあなどったことである。わが軍人は、精神に重きを置きすぎて、科学を忘れたことである」と、敗戦の理由について言及している。
そして、「戦争をつづければ、三種の神器を守ることもできず、国民をも殺さなければならなくなったので、涙をのんで国民の種をのこすべくつとめたのである」とつづられていた。
そして、手紙の最後は、「寒くなるから身体を大切に勉強なさい」と、父親らしい言葉で締めくくられていた。
昭和天皇から陛下に、この手紙が送られてから70年。
父から子へと引き継がれた平和への願いを胸に、陛下は、日々を歩まれている。

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