杉山Pの紹介により音響監督の岩浪美和さん、録音調整の山口貴之さん、音響効果の小山恭生さん、そして立川シネマシティスタッフの遠山武志さんが登壇。
岩浪さんの挨拶は開口一番↑こんな感じw ※SHIROBAKO
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岩浪さん:冬は長ズボン穿いてるからな!

だいたい水島監督のせいだそうです。
この日のために、ここ(立川シネマシティ・シネマツーa-studio)でしか聴けない音をいろいろと仕込んできてくれたとのこの。


小山さん:みなさんトイレには行きましたか?音響チームは真っ先に行きましたよ!?

嘘か本当か、低い音にさらされると膀胱が刺激されてトイレに行きたくなるんだとか。
と、立川自慢のサブ・ウーファーがあのカールの砲撃音を!

小山さん:馬鹿なウーファーですね〜!w

と、まずは劇場スタッフの遠山さんに、立川シネマ・ツーはなぜこんなにも気が狂った音響にこだわった映画館になったのかを伺うことに。この遠山さんがいなければ『ガルパン極爆上映』は無かった、というほどの立役者だそうです。
会場からは「ありがとー!」と感謝の言葉が。本当にありがとうございます!

遠山さん:皆様のおかげで世界で唯一、最大劇場をSWではなくガルパンをメインで上映することになりました!
※某SWは3D上映などを含めたトータルでの上映回数は多いものの、2D上映数はガルパンの方が多い、ということです。これも日本で唯一だとか。


岩浪さん:来場者特典もすぐに無くなっちゃうしね。多めに入れときゃいいのに。

杉山P:皆さん来過ぎなんですよ。

ここでも出ましたあの人の話題。


スピーカーはシネマ用というよりは音楽用のものを採用しているそうです。
普通はスクリーンの裏に配置しますが、よりクリアな音響を実現するためあえてむき出しにして両サイドに配置。また劇場の壁面や天井にもより良い音響効果を出すために傾斜があったりと、特殊な形状をしているのだとか。

岩浪さんによると、スタジオなどは平行面を作らないのが基本だそうで、普通の映画館は大抵真四角の作りなのに、ここの構造は「どうかしている」とのことw

また残響もかなりはっきりと分かります。試しに遠山さんが手を叩いてみると、管理人にもその残響音がはっきりと聞こえました。


この音響のこだわりを最初に実現したのがマイケル・ジャクソンのライブドキュメンタリー『This is It』。(この時は極上”音響”上映)
岩浪さんは実際に劇場に足を運んだそうです。音響マニア向けの劇場としてプロの方々からの評価は高かったとのこと。

遠山さん:大抵のお客様は皆さんと違って映画を一回くらいしか観ないので、一般の方に音響の良さを理解してもらうのはなかなか難しかったです。

極上”爆音”上映を最初に始めた作品は『GODZILLA』。そしてそれが大ヒットしたのは何と言っても・・・

岩浪・遠山:『MAD MAX(怒りのデスロード)』!

お二人、見事にハモりましたw
そう、管理人も大好き過ぎて6回ほど観てしまったみんな大好きマッドマックスです。

遠山さんは、あの予告編を見て「これはヤバイ」と思い、数百万円のサブ・ウーファーの導入を提案するに至ったのだとか。マッドマックスのためだけに。
遠山さん:(儲けた分は)音のクオリティで皆さんにお返ししようと思ってます!


遠山さん:いつまでやるかは分からないですが、SWもあれだけ回数を減らしましたからね。1週間だけでw

岩浪さん:まさか1週間でa-studio(一番大きな劇場)を取り戻すとはね。
どうかしてるぞ立川シネマシティ!w

ちなみに元日の上映スケジュール

今後は上映回数よりもロングラン対決になるそうな予感^^;

ちなみに作品のスタッフ自らが調整に訪れたのは『鉄男』の上映時に塚本晋也監督、そして『フラッシュバックメモリーズ』『進撃の巨人』(おそらく実写版?)に続いて4回目だそうです。

遠山さんの劇場解説に続いて音響スタッフのトークショーへ。


岩浪さん:左右のスピーカーとウーファーのサイズが明らかにおかしい。


岩浪さん:劇場の構造は箱の中にもうひとつ箱が入っている感じ。

山口さん:床が浮いているんです。床の下に空気層があって変な共鳴がしない。

岩浪さん:音響スタジオでも同様の構造ですけど、それでも数億円かかる。
ここいくらかかったのかな〜w


ここで珍しく(?)杉山Pが時間を気にしはじめ、ようやくトークショー本編へ。
まずは効果音を担当された小山さんのパート。

岩浪さん:まずはみんな大好きカール自走臼砲の砲撃音を聴いてもらいます。

センタースピーカーのみ、左右とサラウンドスピーカーのみ、そして立川空気砲ことサブ・ウーファー込み、そして最後は空気砲のみでカールの砲撃音を聴き比べることに。
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センターからは金属がぶつかるような音が、
LRとサラウンドからはそれに加えて「ゴゴゴゴ」というような音が、
そしてウーファーが入ることで唸るような音と振動が加わります。

最後のウーファーのみではまるで地響きの音を聴いているようでした。

岩浪さん:最前列の人、よく平気でいられるねw

ガルパンの音の特徴は”アタックの強い音”だそうです。

小山さん:アタックを強くするためにはセンタースピーカーだけを使って高い音を出すんです。カールの音は後ろに軋み音、左右にはアタックと空気が破裂する音を入れています。そしてここのバカなヤツ(ウーファー)は・・・説明いらないでしょ?

岩浪さん:音響調整をした、と言ってはいますが、実は大したことはしてないです。ここで鳴らすとああなっちゃうんだよw

小山さん:感化されましたね。『マッド・マックス〜』があったお陰で今、ここにいるんですから。

岩浪さん:ここで極爆上映するのも必然だったんだろうな〜。

続いてミキサーの山口さんパート。台詞と音楽の調整を担当したそうです。

戦車の中での音響を戦車ごとに変えているそうで、劇場版冒頭のダー様とペコちゃんの「茶柱が立ったわ〜」というやり取りの音響をサンプルに、反響音のみの籠ったような会話を足すことでリアリティが生まれるそうです。
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山口さん:分かんないですよねw聴けなくてもいいんですよ。リアリティを感じてもらえれば。

続いて無線の音のフィルター効果を聴き比べることに。

フィルターをかけることで電話のような音声になり、さらに無線の歪み音などを加えてあの効果を出しているそうです。

続いて継続高校の活躍シーンを、台詞と音楽と効果音に分けて聴き比べる。
「この作戦に意味があるとは思えない〜」からカールの砲撃を回避するまでのくだりです。
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ミカさんの「行くぞ」の部分だけ明らかに他の台詞よりも音が大きいのがわかります。

そして音楽のみ。よく聞くとカンテレの演奏の後ろに残響音が聞こえてきます。

岩浪さん:最後に、あのドカドカうるさいやつ。

小山さん:説明雑でしょ!


岩浪さん:必要な音のみを強調しているんです。アニメではこれが特に大事なことで、分かりやすいところだとみほが帰省したときに、お姉ちゃん(まほ)が散歩しているやたら人の良さそうな犬が出てくるんですが、その犬の「ハッハッ」という吐息音は絶対入れない。みんな犬の方を見ちゃうから。

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見せたいのはお姉ちゃんの表情で、だから必要ないものは入れない。そういった地味な無数の作業によって映像が見せたいところを重点的に聴かせるようにしているとこのと。

杉山P:音響調整は制作の進行上、あまり多くの時間を割くことができませんでしたが、
少ない時間でこれだけの音響調整ができたガルパンはハリウッドを超えているということでいいでしょうかね?







締めはやっぱりカールの着弾音。
立川のガルパンはいいぞ!
 
レポートの補完は電撃オンラインさんの記事を参考にしています。こちらも併せて是非。