赤ちゃんの時期にピーナッツを食べ始めると、ピーナッツアレルギーになる可能性が減ることが明らかになった。
英国の研究グループが世界でもトップクラスの医学誌に報告したもので、国際的に与えるインパクトも大きそうだ。
5歳までピーナッツを食べさせて比較
英国のキングス・カレッジ・ロンドンとガイズ・アンド・セント・トーマス国民健康保険財団トラストを中心とする研究グループは、その結果を2015年2月23日に有力医学誌であるニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌オンライン版で報告した。
ピーナッツアレルギーは、子どもにとって非常にリスクが高い食物アレルギーの1つだ。欧州のピーナッツアレルギーの子どもの割合はこの10年で2倍になっており、またアフリカやアジア諸国でもピーナッツアレルギーが目立つようになってきた。
ピーナッツアレルギーは、食物アレルギーの中でもアナフィラキシーショックに関係する場合が珍しくない。ショック症状を起こすと命にも関わる。それだけに、アレルギーでなくとも食べさせるのを控える傾向があり得る。
研究グループは、重症の湿疹か卵アレルギーがある4カ月から11カ月未満までの640人の赤ちゃんを対象に、ピーナッツを5歳まで食べるグループと避けるグループに分けて、ピーナッツアレルギーの割合を比較した。
血液検査でも差を確認
その結果、試験開始時の皮膚プリックテストでピーナッツアレルギーが陰性だった子どもでは、ピーナッツを避けていたグループでは、ピーナッツアレルギーの割合は13.7%、ピーナッツを食べていたグループでは、ピーナッツアレルギーの割合は1.9%と大幅にピーナッツに対する過敏反応が減ると分かった。
一方、試験開始時にピーナッツアレルギーがあった子ども達では、ピーナッツを避けていたグループでは、ピーナッツアレルギーの割合は35.3%、ピーナッツを食べていたグループでは、ピーナッツアレルギーの割合は10.6%とこちらも大きく減っていた。
血液検査でもこの傾向は確認できた。ピーナッツに抵抗する免疫が弱くなっていたからだ。ピーナッツを食べることで、ピーナッツアレルギーに関与するピーナッツ特異的な抗体のレベルが低くなっていた。
結論として、赤ちゃんの時期から5歳までの間にピーナッツを食べるようにしていると、ピーナッツを避けた場合よりもピーナッツアレルギーになる可能性が有意に低くなり、免疫機能レベルでもピーナツに対する変化に違いがでていることが明らかになった。
今後、アレルギー対策の食事指導に変化が起きるかもしれない。
日本も参考にしたい結果だ。
文献情報
Du Toit G et al.Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy.N Engl J Med. 2015 Feb 23 [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25705822