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福井有機農業に効果、カニ殻で植物活性剤 県立大教授ら開発
越前がにの産地、県内でカニ殻の成分を抽出してつくる植物活力剤を有機栽培に生かす研究が進んでいる。植物の免疫力を上げ、根の張りが強くなるだけでなく、米粒が大きくなり、収量を増やすことが分かってきた。化学肥料を減らして、効率の良い農業に役立てる。 研究に取り組んでいるのは県立大生物資源学科の木元久教授(微生物学)と種苗会社「福井シード」(福井市)。カニ殻を田畑にまく沿岸部の伝承農法から着想を得た。県の補助を受けて二〇一一年から研究を進め、昨年七月に液状の植物活力剤「植物剛健」を開発。少量を試験的に販売していたが、実際の農業でも効果があることが実証されたため、来春からカタログやインターネットでの全国販売に乗り出す。 カニ殻をそのまままいても微生物による分解が必要で効果が薄いため、植物が吸収しやすいよう殻から抽出した多糖成分「キチン」を抽出した。殻の主成分であるキチンはカビの細胞壁と同じ成分。植物病原菌の八割はカビで、植物は外敵が来たと認識し、免疫力を上げる。 昨年から農家の協力を得て実際の農業に使えるか試みている。稲作の場合、苗箱にまくだけ。あわら市清滝の農家八木富永(とみえ)さん(63)の水田五ヘクタールの半分で使用。八木さんは「くず米が少なく、苗の色が濃かった。肥料も一割減らせる」と効果を話す。 木元教授によると、米千粒の合計の重さが使用前は平均二三グラムだったのが、二五・二六グラムと収量が増えた。窒素肥料には味を落とすタンパク質を増やす作用があるため、窒素肥料を減らして味を向上させる効果も考えられる。他にトマトやペチュニアは実が多くなったり、花の付きが良くなったりした。 木元教授は「福井らしい発想で、農業に付加価値を付けたい」と意気込む。 (塚田真裕) PR情報
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