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    113番目の元素 日本が命名権獲得
    12月31日 18時58分

    113番目の元素 日本が命名権獲得
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    物質のもとになる元素のうち、日本の理化学研究所が11年前に人工的に作り出すことに成功した113番目の元素について、国際機関が正式に元素として認定し、名前を付ける権利が日本に与えられました。日本が元素に名前を付けるのは、これが初めてです。
    日本に命名権が与えられたのは、理化学研究所が人工的に作り出すことに成功した113番目の元素です。
    この元素は、九州大学の森田浩介教授を中心とする理化学研究所のグループが、11年前の平成16年7月に埼玉県和光市にある加速器と呼ばれる大型の実験装置を使って、ビスマスという金属に亜鉛を衝突させる方法で人工的に作り出すことに成功し、平成17年と平成24年にも改めて作り出すことに成功しました。
    一方、ロシアとアメリカの共同研究グループも日本より5か月早く、平成16年2月に113番元素を人工的に作り出したと発表しましたが、データに不明確な部分もあり、元素の命名権がどちらに与えられるか注目されていました。
    こうしたなか、化学に関する国際機関「国際純正・応用化学連合」は30日、これまで正式には認められていなかった113番、115番、117番、118番の合わせて4つの元素を新しい元素として認定しました。
    このうち「113番元素」について、国際機関はこれまでに3回作り出すことに成功し、十分な確認作業も行った日本の研究成果を認めて、命名権を日本に与えることを決めました。
    日本が元素に名前を付けるのは、これが初めてで、アジアでも初めてのことになります。
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    グループの代表 森田教授「大変感慨深い」

    理化学研究所は31日午後5時から記者会見を開きました。
    この中で、グループの代表を務める九州大学の森田浩介教授は、「新元素が認定され、初めて名前が周期表に載ることになり、大変感慨深いです。今は理科離れなどと言われますが、周期表に日本の名前が載っているのを若い人たちが見たときに、もしかしたら理科が好きになってくれるかもしれない。日本の国力にとって大きな意義がある」と述べました。
    113番元素にどのような名前を付けるのかについては、「これから共同研究者と議論して、どう名付けるか考えます。名前の候補は考えていないです。あっても言えないです」と述べました。

    元素 95番以降は人工的に作り出されたもの

    物質のもとになる元素は、原子番号1番の水素から94番のプルトニウムまでが自然界に存在していますが、95番以降は人工的に作り出されたもので、これまでに118番まで報告されています。
    このうち、理化学研究所が作り出した113番元素と、115番、117番、118番の合わせて4つの元素については、これまで正式には認められず、化学に関する国際機関などによって審査が続けられていました。
    この4つの元素について、国際機関の「国際純正・応用化学連合」は30日、いずれも新しい元素として認めることを発表しました。

    「113番」どうやって発見?

    理化学研究所のグループは、埼玉県和光市にある加速器と呼ばれる大型の実験装置を使って、まず、ビスマスという金属に亜鉛を衝突させました。すると、ごくまれに原子番号83番のビスマスの原子核と、原子番号30番の亜鉛の原子核が一つになる「核融合反応」が起きます。
    元素には原子番号と同じ数だけの「陽子」があるため、このとき、理論上は83番と30番を足して、「陽子」が113個ある原子番号113番の新しい元素が誕生したはずですが、これが本当に「113番元素」なのか、直接確認することができません。
    このため理化学研究所のグループでは、元素が壊れる様子を詳しく調べました。その結果、「陽子」が6回にわたって合わせて12個飛び出し、原子番号も12番小さい原子番号101番のメンデレビウムに変わったことが分かり、最初に作り出された元素は、陽子が113個ある「113番」であることが確認されました。
    一方、ロシアとアメリカの共同研究グループは、理化学研究所より早く113番元素を作り出したと発表していましたが、理化学研究所と同じような確認作業を行うことができていませんでした。

    名前と記号 決まるのはおよそ1年後

    「113番元素」に名前を付ける手続きは、まず、これから2か月以内に、化学に関する国際機関の「国際純正・応用化学連合」から理化学研究所のグループに、元素の「名前」と「元素記号」の提案を求める文書が送られます。
    理化学研究所のグループは、文書を受け取ってから6か月以内に、元素の名前と記号の案を国際機関に提出します。
    新しい元素に名前を付ける際には、語尾にアルファベットで「ium」を付けることがルールとなっていて、元素の名前は慣習として神話や研究拠点がある地域名、著名な科学者、それに元素の性質などに由来することがふさわしいとされています。
    国際機関では、こうした点を踏まえて、理化学研究所が提案する名前が元素名としてふさわしいか審査を行ったうえで、正式に決定することになっています。
    理化学研究所によりますと、113番元素の名前と記号が決まるのは、およそ1年後になる見通しだということです。

    周期表に新たな名前が

    国際機関が正式に元素として認めると、作り出した研究グループに命名権が与えられ、すべての元素を一覧にした周期表にも新たな名前が書き加えられます。
    最近では2012年に、いずれもロシアとアメリカの共同研究チームが作り出した114番と116番の2つの元素に名前が付けられ、114番にはロシアの著名な物理学者「フレロフ」にちなんで「フレロビウム」という名前が、116番はアメリカでの研究拠点となったカリフォルニア州リバモアにちなんで「リバモリウム」という名前が、それぞれ付けられています。

    馳文科相「金字塔となる成果」

    113番目の元素に名前を付ける権利が認められたことについて、馳文部科学大臣が談話を発表し、「新元素の命名権の獲得は、欧米以外の国では初となる快挙であり、わが国の基礎研究分野における金字塔となる成果です。また、この成果は、これから研究の道を志す子どもたち、若者たちに夢を与えるものとしても、非常に大きな意義を持つものです。文部科学省としては、これからも引き続き、こうした優れた成果を生み出していくことができるよう、基礎研究をはじめ、科学技術・学術の振興に努めてまいります」としました。
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