▽不支持率、初の40%台
安倍内閣の支持率は、47・8%に落ち込んだ。行使容認をめぐる与党協議が大詰めを迎えた6月21、22両日の前回調査で下落した52・1%をさらに4・3ポイント下回った。50%割れは、特定秘密保護法成立直後に47・6%だった昨年12月上旬以来となる。
不支持率は、40・6%と前回比7・6ポイントの大幅アップとなり、第2次政権下で最も高くなった。男女別、年代別に詳しく見ると、女性の40代49・3%(37・1%)、男性の30代41・9%(24・1%)、男性の20代41・0%(23・5%)で急増した。男女ともに比較的若い年代の層が高支持率の中核だっただけに、支持構造に異変が起きている。
内閣を支持する理由も変容しつつある。これまで看板政策アベノミクスへの評価が反映されてきた「経済政策に期待できる」が14・9%(23・6%)に急落、8・7ポイント減は今回最大の下げ幅となった。「ほかに適当な人がいない」26・8%(25・3%)は理由の1番手を維持した。
支持しない理由で最も多かったのは「首相が信頼できない」の21・6%(16・5%)。第2次政権下では発足直後の2012年12月末に25・8%を記録して以来の20%台となった。特に不支持に回った女性のうち50代と60代では、ほぼ3人に1人が理由に挙げた。
政党支持は、民主党が7・8%(5・6%)、共産党が5・3%(3・2%)に上がったのが特徴的だった。一方で「支持政党なし」が36・9%(41・8%)に下がった。安倍政権に危うさを感じ、野党の奮起を求める世論の一端が垣間見える。
▽公明、支持層からも不満
集団的自衛権の行使容認を最終的に認めた公明党の姿勢に「納得できない」は65・6%に上った。「納得できる」は24・4%で大きく及ばなかった。足元の公明支持層でも「納得できない」は49・0%で、「納得できる」の42・4%を上回った。
野党支持層や無党派層では「納得できない」が軒並み80%前後を占めた。さらに本来なら方向転換を歓迎するはずの自民支持層でも「納得できない」が46・9%で「納得できる」の42・1%を上回った。自民支持層も、安保政策で前のめりな安倍首相のブレーキ役として公明への密かな期待を抱いていた構図が浮かび上がった。
行使容認によって安全保障上の抑止力が高まるとの首相の説明に対し、「抑止力が高まる」と答えたのは「どちらかといえば」を含めて計34・0%だった。他方で「戦争に巻き込まれる可能性が高まる」が計61・2%もあり、将来への不安は募っている現状が明らかになった。
抑止力を肯定したのは、男性では計40・8%だったが女性は計27・8%にとどまった。逆に戦争に巻き込まれるとの懸念は、男性の計54・9%に対し女性が計66・9%と差がついた。他方、年代別で一定の傾向を読み取ることはできず、戦争観など個人の価値観も深くかかわる問題の複雑さを印象づけた。
先の衆院選、参院選で巨大与党のお墨付きを与えたのは有権者の責任だとしても、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認まで全権委任したわけではない―。そんないら立ちや戸惑いが政権への違和感となって調査結果に出ている。安倍首相が悲願としてきた安保政策の大転換に対し、衆院を解散して国民に信を問う必要があるとしたのは68・4%に上る。