Kyodo Weekly 2014年7月14日
安全保障政策の大転換となる集団的自衛権行使を認めた安倍政権の閣議決定には、国民の大半が納得できていない。内閣支持率は、第2次政権下で再び50%割れの最低水準を記録した。とりわけ、かたくなに見えた慎重姿勢から行使容認に転じた公明党への風当たりは強い。憲法解釈変更に向けた検討は尽くされていないとの声は80%を超え、世論の不信を裏付けた。(かっこ内は前回結果)
▽歯止めなくなるおそれ73%
共同通信社は、集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け7月1、2両日に全国緊急電話世論調査を実施した。
憲法解釈の変更によって行使を容認した政権の対応を「妥当だったと思う」としたのは31・7%にとどまった。これに対し「妥当だったとは思わない」は60・0%に上った。
支持政党別に分析すると、自民支持層では「妥当だ」が56・8%と、「妥当でない」の34・2%を上回った。ところが公明支持層では「妥当でない」が59・2%に達し、自公支持層で評価の違いが浮き彫りになった。「妥当でない」は、民主82・4%、維新76・8%など多くの野党支持層で圧倒的だった。
今回の閣議決定で歯止めがかからず「行使容認の範囲が広がるおそれはある」と懸念する声は73・9%もあった。「おそれはない」は19・0%だった。
「広がる」との懸念は、内閣を支持する層に限っても60・7%あったほか、10政党支持層のほとんどで多数となった。解釈変更による行使容認を「妥当だ」とした層でも、50・9%と過半数になったのが目を引く。
安倍晋三首相が政府、与党に行使容認の検討を指示してから約1カ月半で閣議決定に至った議論を「十分に尽くされていない」とする回答は82・1%に達した。「十分に尽くされた」12・6%との大きな開きには、与党合意の案文修正に腐心する姿勢ばかりが目についた政治的妥協への強い不満がにじんだ。
与党支持層に限っても、自民で69・4%、公明で79・9%が不満を抱いている。行使容認自体には賛成に回った層でも、62・7%の多数に上った。