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新ほぼ日テレビガイド 2015・2016
 

今日のダーリン

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・父が亡くなったとき、その実感がなくて不思議だった。
 しばらくして、正月に帰省したときに、
 こたつのある位置に「いない人」がいると気づいた。
 そうか、いない人になったんだ。
 実感なんてものはないんだ、
 「いない人」のいる世界を過ごすんだ。そう思った。

 吉本隆明さんのときは、
 ご家族が、その場とその時間を創っていた。
 生まれて死ぬというあたりまえのことを、
 ほんとうにあたりまえにやろうとしたら、
 あんなふうにするんだろうなと、こころから思えた。
 そして、そうしてほしいというのが
 誰よりも亡くなった人の望みなのだということを、
 そこにいただれもが、よく知っていた。
 
 母は、正月の寒い日に、
 亡くなったという電話に乗ってやってきた。
 一生のうちに、母と交わしたことばは、
 一冊の本の分量にも満たないだろう。
 ものごころつく前に生き別れていたから、
 少し他人で、少し母で、その両方を足しても、
 まるごとのあの人にはならなかったような気がする。
 そういう思いも、このごろになってわかることだ。
 
 伊賀の「土楽」福森さんのところへ、
 暮れにもちつきに行くことも、もう10年近くになる。
 このご一家は、口と腹と心に大きなもてなしをくださる。
 もちをつくのは、なかなかの大仕事で、
 ぼくは、いつもおあそび程度にしか杵を持っていない。
 「まだ、ひと臼まるまるつききったのは、
 ヒグチさんと、イワタさんだけですよ」と言われた。
 そういえば、2年前だったか、
 岩田さんと暮れと正月の予定をすり合わせたら
 12月30日のもちつきの日だけだったので、
 じゃいっしょに行こうと、京都駅で待ち合わせて、
 電車を乗り継いで福森さんのところに行ったのだった。
 どうしてだろう、そのことをすっかり忘れていた。
 ほんとに、思い出したら、思い出になったというわけか。
 いや、岩田さんとは、まだ会えるような気がしている。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
この日で、今年が亡くなるのか。三百六十五日よく生きた。

土曜日、日曜日と祝日の「ほぼ日」は9時に更新しています。
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