背中を押してあげれば飛躍できる子どもたちがいる。
大人には何ができるだろう。
一流の指導者は知っている。
プロテニス界をリードする世界有数のテニス大国スペイン。
今回その最強コーチが来日。
ダビッドさんは長年スペインテニス界でプレーヤーたちの能力を引き出し世に送り出してきたスペシャリスト。
スポーツ科学の博士号を持ち独自の指導法を確立した理論派のコーチです。
ビッグ!今回日本の子どもたちに1週間の特別レッスンを行います。
指導の根幹は…テニスの理論派によるコーチングの極意とは。
眠っている才能が解き放たれる時子どもたちが大きく飛躍します。
今回特別レッスンの舞台となるのは神奈川県横浜市。
緑豊かな郊外にあるテニススクールです。
(矢島)あと5分。
うるさい。
黙ってやれ。
レッスンを受けるのはスクールの選抜チームに所属する子どもたち。
ふだんの練習は1日4時間を週6日。
みんなテニスに懸ける思いは相当なもの。
まずは全国大会に行ってみたいです。
プロテニスプレーヤーになって世界のナンバーワンになる事が夢です。
夢…世界一です。
夢いっぱいの子どもたち。
でもコーチの矢島さんは指導する難しさを感じています。
一番は自主性です。
やっぱりボールを早く拾えとかしゃべるな。
しゃべりながらサーブを今打ってますけど打つなとか。
いちいちもうねお母さんに「朝早く起きなさい」とかね「早くごはん食べなさい」とか「早く服着て学校行きなさい」とかっていうそのレベルでやってたら絶対到達しないからやっぱり自分がある目標を立ててそこに向かっていくんだっていうそういうものをちゃんと持ってこの年代でも持ってやってってほしいなっていうのが一番望んでるとこかもしれないですね。
自主的に練習して試合で実力を発揮できるようになってほしい。
そんな願いから今回のレッスンを受ける事にしました。
1週間の特別レッスン初日。
子どもたちに伝わっているのはすごいコーチが来るという事だけ。
(矢島)世界的なコーチが来て指導してくれるという形でこれから始まっていきますので。
本当に?来た本当に?お〜!現れたのは身長190センチ頭一つ飛び出た大きな外国人。
まずその身長に子どもたちはビックリ!ハロー!グッドモーニング!ハロー!グッドモーニング!ハロー!ハウアーユー!アイムファイン!ハロー!ハロー!ハロー!この1週間一緒にテニスやりたいと思ってるんだけどみんなの心の準備はいいかな?OK!
(一同)イエス!
(矢島)何で俺の顔見るの?ダビッド・サンズ。
僕はダビッド・サンズです。
よろしくお願いします。
(一同)お願いします。
みんなガチガチ。
1週間のレッスン大丈夫かな〜?ものすごくシャイですね。
緊張というよりビックリしたんでしょうか。
どんなコーチが来るのか全く聞かされていなかったところに大きな外国人が現れたんですからそれは驚きますよね。
まずはいつもどおりの練習を見学します。
そこでコーチのある言葉が気にかかりました。
テニスの基本はボールを打ちやすい位置まで体を移動させる事。
その時足の動きがとても重要ですが…打つ事ばかりが気になって足に意識が向いていないみたい。
コーチも指摘しているように足を滑らせているのが気になりますね。
歩幅を小さくして移動した方がいい。
そこは改善していきましょう。
おもむろにメモをとり始めたダビッドさん。
「ふんばる」「腕を前に出す」とは体の動きの事ですね。
でも最後の「決断」そして「打つ前に我慢」って何の事でしょう?その意味するところは1週間のレッスンで徐々に解き明かされていきます。
スペインではコーチを育てる立場でもあるダビッドさん。
矢島さんの考えを尋ねます。
本当ですか。
ありがとうございます。
僕はもの足りないと思ってるんだけど。
もっとうまくなんないかなと思ってんだけど。
目標を聞けば世界だみたいな事を言ってるんだけどなかなか行動がね伴ってないっていう。
まあ子どもたちだからなんでしょうけども少しでも自主性というところがここの…出てきてくれて「あれしろこれしろ」っていうのを早く卒業していきたいなっていうふうに思ってます。
子どもはもともと自主性や責任感に欠けているものです。
でも何かを成し遂げたいと思うなら鉄の魂を持たないといけません。
それを植え付けるのが私たちコーチの仕事です。
一緒にやりましょう。
いいですね。
ダビッドさんこの日は観察に徹します。
さっきはおとなしかった文南さん。
コートでは別人のようです。
テニスは個人競技。
テクニックと同様に性格もプレーの鍵となります。
それぞれに適したレッスンの内容を決めるため一人一人の個性を見極める。
それがダビッドさんのやり方です。
この子は恥ずかしがり屋ですね。
すごくシャイだなっていうイメージを受けました。
もう内側に籠もっちゃってるから表現できない。
でも驚きました。
内面にすごい闘争心を秘めていますよ。
この子はとても元気でしたね。
(矢島)この2人ね。
元気元気。
ダビッドさん早くも子どもたちの個性をつかみかけています。
何気ない日常生活にも性格は出やすいもの。
頂きます。
ダビッドさんにとってはコートの外もレッスンの大事な場です。
いよいよダビッドさんが動き出します。
オラ。
子どもたちはスペイン語の挨拶でお出迎え。
もう昨日みたいに緊張なんかしてません。
おおでけえ。
でか!手でか!一体どんなにすごいレッスンが始まるんだろう。
みんな興味津々です。
ソーレッツゴー。
始まったのは意外にも基本中の基本。
ボールを打つ練習。
でもそのテンポの速いこと。
マシンガンのようにボールが繰り出されます。
また戻って。
体格のいい理揮くん。
力の籠もったショットが得意です。
でもつい勢い余って…。
あっ!変な所に飛んでいきます。
力任せに打っても駄目だよ。
コントロールコントロール。
力任せに打ってもエネルギーを消耗するだけだ。
テニスは2〜3球強く打っただけでは勝てないよ。
ボールをコントロールしていいプレーを続ける事が大事なんだ。
たった一人で長時間戦わないといけないからね。
ボールをコントロールする事が大事。
そのためにやるべきなのは…。
ボールを打つ時はしっかり踏み込むんだよ。
踏み込んで打つ。
一番注意してほしいのはねボールを打つ時突っ立ったままや体重を後ろにかけた状態でなく前にしっかり踏み込んで打つんだ。
適当な体勢で打ったら駄目だよ。
ラケットをうまくコントロールするためにはまずしっかり踏み込んで打つ事。
今日はボールの打ち方を確認するのが目的でした。
足を滑らせて打っていたのが気になったので基本的な事から始めたんです。
足をしっかり踏み込んでから打つという基本はこの1週間徹底してやろうと思います。
上達するとつい忘れがちな基本。
その大切さを子どもたちに思い出させます。
このところ何か攻撃する事を気にし過ぎててでコントロールをちょっと失いかけてたんで今日の練習はコントロール大事にっていう事でちゃんとできたと思います。
コントロールは難しかったけど教わった事をやったら結構できたんで明日もそれができたらいいなと思います。
足は動かせるけどコントロールがまだ結構いろんな所に飛んでいっちゃったりする。
今日のレッスンでやったようにボールをコントロールする事をいつも意識してほしい。
テニスは目と足と手を使ってプレーするんだ。
まずはボールがどこにあるか目でしっかり見る事。
そのあと素早く体を移動させるんだ。
しっかり足を踏み込んでいれば自由にどこへでも手で打つ事ができる。
改めてテニスの基本を学んだこの日子どもたちに強い印象を残した出来事がありました。
それは練習の合間の事。
よ〜しボール拾い。
あ〜走らない走らない。
歩きながらでいいから。
深呼吸しよう。
いつも走れ急いでやれって言われるけど歩いてやれって言われたのが一番印象的でした。
球拾いの時とかもあんまり急いで拾ったりしなくていいとか。
そういうふうにリラックスしてプレーができた。
もう僕は全部ね全力でみたいなそういう雰囲気を出してるんで。
テニスの試合は時に2時間を超す持久戦。
集中力を維持するために気持ちの緩急が必要です。
日頃の練習からそのリズムを意識させる事が大事なのです。
スポーツ科学を研究しているダビッドさん。
人間の生理についても深い理解があります。
一日の締めくくりはみんなで遊びます。
この遊びにもねらいが隠されているんです。
1人1球交代でボールをつなぐゲーム。
失敗したらネット際にしゃがんでラリーの邪魔をします。
ラリーを止める事ができたらまた戻れる決まり。
立ってボールを打つ人がゼロになったチームが負けです。
遊んでいるうちに自然とボールコントロールを身につけていく子どもたち。
ああ〜!練習を厳しくやった最後に遊んでから終わるのが私のやり方なんです。
今日は楽しかったという気持ちで家に帰ってほしいんですよ。
そうすれば次の練習を楽しみに待つ事ができます。
楽しさが明日のやる気につながります。
その日レッスンが終わると親たちが集まってダビッドさんとの交流会が開かれました。
どんなレッスンをしてくれるのか親たちも大きな期待を寄せていました。
私は子どもが相手の時は楽しく練習する事をモットーにしています。
なぜならスペインのテニス界はものすごく競争が激しくて子どもの頃からテニスだけ頑張った結果すばらしい才能を持っていたのに14〜15歳で燃え尽きてしまった選手をたくさん見てきたからです。
子どもは楽しむ事が大事な年代です。
いずれ嫌でも結果を求められますから。
ここでも楽しむ事を強調しますが親たちには戸惑いも…。
どちらかというと日本のテニスって頑張れ根性でどんどんやっていけっていうような事我々もそうだったんですけどそういう教えの下みんなたくましくなってきたっていうのがやっぱりちょっと考えが違うのかな。
楽しい楽しいっていうテニスだったら大喜びだと思うんですがその中でどうやって成長していくのかなというのがちょっと…。
やっぱり聞きたいのは成長するための秘けつです。
マイネームイズセキグチ。
ユーノーコウ?あのファーザー。
恒くんはチーム一明るい性格でムードメーカー。
テニスは人一倍楽しんでいるけれど試合では実力がなかなか発揮できないんだそうです。
僕の子どもってすごく…ご存じのようにお調子者で試合でも性格が出て落ち込む時もあればハイになる時もあってすごく波があるんですけどメンタルってどういうふうに練習すればいいんですかね。
恒くんには2回会っただけですけど確かに落ち着きがないですね。
でもテニスが大好きな気持ちが伝わってきますよ。
今のうちに楽しんでおけばいつか必ず成長できますから大丈夫です。
やがて成長できる。
ダビッドさんは長い目で子どもたちを見つめています。
でも今の姿を見ているとお父さんは心配。
恒くんは3人兄弟の末っ子でとっても甘えん坊なんです。
かわいがられる事が多いじゃないですか。
やっぱり一番ちっちゃいので。
そこに甘えを感じてるみたいでいつもどこに行ってもマスコットみたいな感じなんですよね。
それがいい時ももちろんあるんですけどやっぱりそこに甘えがあるので多分そこの甘えがなくなれば少しは強くなれるのかなと思うんですけどね。
甘えん坊からの脱却。
恒くんにとってダビッドさんのレッスンがそのきっかけになるのでしょうか。
元気いっぱいな恒くんとは対照的にこんな心配をするお母さんもいました。
本当に多分皆さんすごいおとなしい子としか思ってないと思うんですけど…。
初日緊張のあまり声も出なかった文南さんです。
家ではそんな事は全然なくて妹とすごいけんかもするし…。
だけど本当に表では出せないんですよね。
全く自分を出せないんで何かきっかけがあってうまくこう出せるようになったらいいなとは…思いますけどなかなか難しいですね。
2人姉妹の文南さん。
家でも8歳の妹にちょっと押され気味です。
(母)なった?
(母)ハハハ。
もう本当すいません。
(母)次に練習したい事は?
(母)分かった?
(ハナ)うん分かった。
(母)サービスエースね。
取れるようになりたい…。
ちょっと自分を表現するのが苦手そうな文南さん。
レッスン中にダビッドさんはこんな声をかけていました。
シャラポワ。
シャラポワ。
OK。
憧れの選手になりきる事も自分の殻を破るきっかけの一つです。
文南さんは今回のレッスンで秘めた思いを表に出す事ができるでしょうか。
そんな文南さんにライバル心を燃やすのが同い年の龍一郎くんです。
「今のボールはミスしちゃ駄目だからね」って。
「もう少し我慢しよう」って。
慎重にいき過ぎてミスを重ねがちな龍一郎くん。
練習では度々文南さんに負けていました。
龍一郎くんは両親の影響で小学1年生の時テニスを始めました。
面白いです。
(父)何が面白いの?練習が。
(父)練習が面白いの?そう内容が。
いいね楽しくできて。
うん。
(父)お前自分で来いって言ったんだから責任取ってしゃべれよ。
パパとママしかしゃべってねえじゃねえか。
しゃべる事ないんだもん。
(父)しゃべる事は考えてしゃべるんだ。
頭を使えっていつも言ってんじゃん。
何でもテニスに結び付けてよ。
あなたプロになるんでしょ。
龍一郎くんのお父さん一度はプロのテニス選手を目指したとか。
龍一郎くんのラケットのガットを自ら張り替えます。
長女はテニスをやってないですけども名前は公子っていうんです。
伊達公子選手から取って公子って名前を付けたんだけども結局彼女は今陸上で頑張ってもらってる。
龍一郎は自分でテニスをやるって言って選手になるって言ってくれたので…。
僕が選手になれなかった原因っていうのは自分で理解をしてて。
自分を反面教師にしてパパと一緒じゃない事をとにかくやれば選手になれる可能性はあるよねっていう事を話をいつもしてて。
まあ自分は本人が選手になりたいって言ってる以上は家族全員でバックアップをしていきたいなというふうには思ってます。
龍一郎くんの夢は今や家族の夢。
(取材者)そこのおっきい「努力」っていう字は?これは卒業の時に何かひと言っていった時にそう書いたんです。
大きな夢。
龍一郎くん頑張って!今日もウォーミングアップを兼ねた遊びからスタート。
コート内で鬼はワンバウンドでボールを当てるというゲーム。
遊びながらコートの大きさを体で覚えます。
やばい。
目に当たった。
楽しい気分でいるといつの間にか練習が始まっている。
ダビッド流にみんななじんでいます。
まず前日のおさらいから。
足をふんばってボールをコントロール。
なかなか練習に集中できなかった恒くん。
速いテンポに気をそらしている余裕などありません。
たどりついたら力任せじゃなくてしっかりと力をつけてから。
足は素早く動かすけど腕はゆっくりと正確に。
そうやってボールコントロールするんだよ。
プロの選手は足を滑らせないよね。
足音を立てないで小さなステップを利用して移動するんだ。
ボールの位置へ素早く動いて足をふんばり我慢して打つ。
つまりこれが初日のメモにあった大切なキーワード。
「打つ前に我慢」。
ダビッドさんいよいよ決断の意味を明かします。
相手のボールに対して攻撃するのか守るのか判断する練習をするよ。
スピードが速かったりコートの深い所に来たボールは守らないといけない。
そういうボールをレッドと呼ぼう。
コートの深い所に来たボールはレッド。
この場合はとにかく守りに徹します。
レッドのボールは高くそして深く打ち返そう。
守備から攻撃に転じる事ができるボールはオレンジと呼ぼう。
自由に動けるコートの中央付近で守るか攻撃に転じるかどちらもできるニュートラルなボールはオレンジ。
オレンジのボールは前に向かっていくんだ。
そしてコートの前の方で簡単にポイントが取れるボールはグリーンと呼ぼう。
ネット際の浅いエリアに来たボールはグリーン。
これは攻めのボールです。
グリーンのボールはしっかり打って確実にポイントを決めよう。
基本はコートを3分割。
守備に徹するボールか攻撃に転じる事ができるボールかポイントを決めるボールか。
一瞬我慢して考え決断しなければならないのです。
ここまでボールの意味を明確に整理するのは初めての経験です。
レッド!レッド…じゃないオレンジ!オレンジ?あっ間違えた!レッド!オレンジ!オレンジ?レッド!一瞬の判断。
簡単にできるものではありません。
このボールは何色と判断しますか?ではこのボールは?大事なのは走りながら考え決断する事。
打ちたい気持ちをグッとこらえる。
グッド!ダビッドさんの言う「打つ前に我慢」とはこらえた一瞬を意識化し決断する事だったのです。
テニスでは全てのボールに意味があります。
何でも力任せに打てば上手だと子どもは思いがちですけどそれがミスを増やす原因でもあるんです。
結構難しかった。
(取材者)難しかった?言ったら結構「それはオレンジだろ」みたいな事言われました。
言うのは難しかったけどだけどまあ言うの頑張ってできたかな。
色を言ってストロークを打つやつがいつもはあんまりやんない練習なので面白かったです。
考えてから打つという初めての経験。
自分のやるべき事をはっきり意識してからプレーする事の大切さに気付かされました。
この練習は子どもたちの心に相当響いた様子。
みんなの練習ノートにはそれぞれの表現で色の見極め方が書いてありました。
早速親に報告したのは大喜くん。
レッドが守りでオレンジが簡単なボールでグリーンがチャンスボールの球出し。
簡単なボールって何?攻撃もできるボール。
テニスには真面目に取り組む大喜くん。
でもお父さんから意外な一面を聞かされます。
自分が気持ちよく調子よくやってる時はいいんですけど自分の思うように打てなかったりそういった時にちょっとイライラしちゃうんですよね自分に。
そういうところでちょっとキレだしてくると余計と全然うまくいかなくなるって事でしょ。
そういう事がちょろちょろあるんだよね。
分かってんの?学校の先生に言われたんだけど集中したらものすごい集中力だけどそれが授業中45分間はもたないと。
ハハハハハ!ハハハ!ねっ?もたない?もたない?
(大喜)先生が話してると。
よだれ垂らしてるって言ってたよ。
てかもういびきが聞こえたって言ってた。
集中力が続かなくてキレやすいのが大喜くんの課題のようです。
そんな大喜くんの性格はある日のレッスンで表れました。
ツーバンどこが?今のはツーバン。
してない。
ボールの解釈を巡って大喜くんの気持ちがキレてしまいます。
こうして自らゲームを壊してしまう事が多かったという大喜くん。
今回のレッスンで何かをつかめるでしょうか?グッドモーニング。
スポーツ科学の研究者でもあるダビッドさんならではの考え方がサーブ練習で表れました。
文南さんはサーブが苦手のよう。
ダブルフォルトが原因で負ける事もあり自信を持ちきれない事につながっていました。
これからサーブの練習を始めるよ。
多分いつものやり方とは違うと思うけどビックリしないでね。
全身を使うサーブは一連の動作が流れるように練習するのが普通です。
でもダビッドさんは上半身と下半身に分けてそれぞれの動きを別々に練習させます。
まずは上半身。
サーブは上半身が大事だよ。
上半身をしっかり反らすんだ。
反らせて打つ反らせて打つ。
文南さん興味津々です。
ダビッドさんが取り出したのはバランスボール。
一体どんな練習が始まるのでしょう?上半身だけ反らせて打つ。
サーブが入るかどうかなんて今は気にしなくていいよ。
上半身を反らせて打つ事が大事だからね。
バランスボールに座って上半身を動かすと体幹が鍛えられます。
あ〜リュウそうじゃない。
集中して体の軸を意識するんだ。
難しい事は一度分解して個別に鍛える。
それが上達につながります。
文南もっと上に向かって。
「上に向けて」って。
「下じゃないよ上に向かっていけ」って。
そうだ。
下がらない。
上に向かって。
分解して練習する事で上半身の修正点がはっきり見えてきました。
いいねいいね。
感覚がつかめたら今度は立った状態で上半身の動きだけを確認。
あ〜!今はサーブが入らなくてもいいよ。
上半身に集中して打つんだ。
そう。
しっかり体を反らすんだよ。
そして次に足の動きだけを練習します。
「みんなラインを基準にしてね」って。
サーブを出す時にラインを越してほしい。
こうやってもこうしてもどっちでも構わない。
大事なのはラインを越える事。
右足は後ろに残して左足はラインの前へ出すんだ。
下半身の動きを身につけるために取り出したのはゴムチューブのついたベルトです。
チューブで下半身に負荷をかけサーブを打つ瞬間の足の筋肉を意識させます。
足に力を入れるんだよ。
足に力を入れるのがコツだからね。
いいね。
そして最後に全身を使ってサーブを打ってみます。
いいね文南。
文南さん感覚がつかめたみたい。
少しでも成長が見えたら見逃さずに褒めます。
文南ボールを打つ時とっても不安そうにしてるけど自分のプレーにもっと自信を持ちなさい。
君にはそれだけの実力があるんだよ。
人と比較なんかしないで「私はできるんだ」と自分の力をもっと信じなさい。
シャラポワOK。
「頑張れ」って。
その日の文南さんの練習ノートには…「うれしかった!」。
人の目なんて気にしない。
自分自身を磨く事に集中する。
子どもたちの成長の兆しを感じたダビッドさん。
何やらコーチと打ち合わせ。
この日年上の子どもたちに練習を任せる事にしました。
4人とも大人なんだから自分のやるべき事は自分で決めなさい。
「4人とも大人なんだからしっかりとやるべき事コントロールして…。
僕は向こうやらなきゃいけないからやる事分かったよね」って。
信頼してるから任せるよ。
リーダーに指名したのは龍一郎くん。
「リュウねしばらくしたら2人交代しなさい」って。
じゃああっちも交代?そうそう。
「ポジションチェンジね」って。
ここでリーダーシップを取って。
10回って10往復ですか?突然の指名。
でも龍一郎くんはリーダーの責任を感じてみんなに伝えます。
4回続けてからフリー。
合計20だと10往復。
いつもコーチやお父さんの言う事を守って頑張ってきた龍一郎くん。
「12歳になればもう自分から行動していいんだよ」。
ダビッドさんはさりげなく自立を促したのです。
子どもたちそれぞれの前にある成長の長い道のり。
みんなが途中で折れてしまわないようにダビッドさんはこんな話をしました。
みんなテニスが大好きだから強いモチベーションやる気があると思う。
モチベーションの語源を知ってるかい?2つの意味が合わさった言葉なんだ。
「目的」と「行動」。
モチベーションを高めるには目的が必要だよ。
だからみんなそれぞれ自分の目的が何か考えてほしい。
それがはっきりしていたらテニスも勉強も両方できるよ。
ここから歩いていく道は険しくて大変だ。
でも目的がはっきりしていたらより簡単な道となるはずだよ。
試合でコートに立った時そこにコーチはいません。
たった一人で決断しなければならないのです。
今何を目的にプレーしているのか。
自分の心を自分でコントロールする鉄の魂が求められるのです。
「まずは楽しもう」。
そんな言葉で始まったダビッドさんの特別レッスン。
果たして楽しみながら成長はできるのでしょうか。
レッスンはいよいよ後半へ。
最終日12人の子どもたちはどんな姿を見せてくれるのでしょう。
テニス大国スペインから最強コーチがやって来ました。
子どもたちを楽しませながら眠っている才能を引き出すコーチング術。
オレンジ!レッド!1週間の特別レッスンはいよいよ後半へ。
子どもたちにはどんな変化が待っているのでしょうか。
すっかり恒例となった遊びながらのウォーミングアップ。
ボールを手でついて掛け声と同時にほかの人のボールをつかみます。
ボールの弾む感覚が自然と身につきます。
これはスペインの小学校で使われているダビッドさんの著書。
47ページにわたって119種類ものウォーミングアップメニューが記されています。
今回のレッスンでも毎日必ず行ったウォーミングアップとクールダウン。
楽しみながら技術の向上につながります。
これはラケットでボールをバウンドしながら行う鬼ごっこ。
鬼は必ず中央のライン上に片足をつけないといけません。
ほかのみんなは鬼に捕まらないで中央のラインを越えれば勝ち。
ドリブルを失敗したり鬼に触られたら交代です。
ラケットでボールを操る感覚が自然と身につきます。
こちらは凸凹ボールキャッチ。
使うのはこのボール。
ネットを挟んで2人1組先に5回キャッチミスしたら負けです。
どんなボールにも反応できる反射神経が磨かれます。
これは手をつないだままストロークを打つ練習。
ダブルスの試合では欠かせない2人が同じ気持ちでボールを追う感覚を養います。
スペインテニス協会で育成の総責任者を務めるダビッドさん。
よっしゃ〜!小学生の頃に心から楽しめば将来厳しい競争の中でも頑張れる。
長年の経験からそう考えるようになりました。
そしてダビッドさんは言います。
「楽しさは忍耐力を生む」。
今日は持久力をつける練習をするからかなりきついよ。
テニスの試合はすごく長引く事もあるよね。
だから長い時間を同じレベルでプレーできるだけの持久力が絶対に必要なんだ。
持久力をつけるためにはまず強じんな体をつくる訳だけどそれ以上に大事なのは頭メンタルだよ。
どんなに疲れても最後まで試合を投げてはいけない。
一度始めた事は最後までやり遂げるんだ。
プロのトップ選手はねみんな心と体の両方を鍛えて耐える力を身につけていくんだよ。
始まったのはスペイン独特のXトレーニング。
トッププロナダルやフェレールもやっているという練習です。
フォアの後ろからバックの前バックの後ろからフォアの前とXを描くように動きます。
しっかりふんばって!最後いくよ。
斜めに動き続けて持久力を鍛えながら攻撃的なボールと守備的なボールを打ち分ける判断力も同時に鍛えます。
(取材者)疲れたでしょ?はい。
ちょっときつかったけどすごくやった事ない練習で面白かったです。
レッスンは更に激しさを増していきます。
2人1組となって自分がボールを打たない時でもペアと同じ動きをし続けます。
持久力のレッスンメニューは実に多彩。
子どもたちは飽きる事なく集中して練習に挑みました。
いつしか夢中になって最後までやり抜いた子どもたち。
ダビッドさんはいつもよりも…
(取材者)嫌だ?楽しむとはただリラックスするのではなく夢中になって集中する事でもあるのです。
楽しい練習だったらつらくても耐えられます。
楽しんでる方が耐えられる。
なるほど。
こう動くじゃないですか。
ジャンプしたり回ったりとか。
そうするとこの打ち方っていうのが崩れる事も出てくると思うんですけど。
フォームがこうとかこうとかになっていくと逆に入らなくなってくるっていうところも出てくるんじゃないかなと思って。
僕なんかはあんまり動かさずに手で出したりだとかいろんな事していくんですけど。
持久力とメンタルを鍛える事が目的なので今日に限ってはフォームの乱れやテクニックの事は気にしません。
目的に合わせた練習が必要なんです。
テクニックの練習をやりがちですけどね。
そればっかり僕ね…。
我々だってそうですけど練習に多様性を加えてどんな状況にも対応できる選手にしたいのです。
楽しさと厳しさを共存させれば逆境にも動じない自由な心を持った戦いが可能となる。
もうちょっと僕の中には時間がかかるかもしれない。
そういうのを楽しさみたいなのをダビッドさん入れるじゃないですか。
僕全然楽しくないからやってて多分。
子どもたちはね。
楽しさっていう部分ではだいぶ僕のレッスンの中には欠けてると思う。
そうね。
楽しく上達できたらいいね。
理想だよね。
しかしこの日予期せぬ波乱が待っていました。
レッドじゃないの?レッド!3日目のレッスンで習ったボールを見極める力。
レッドは守る。
オレンジは攻撃に転じる。
グリーンはポイントを決める。
3種類の中で最も簡単なボールグリーンは絶対にミスしてはいけないはず。
ダビッドさんは今日のレッスンで「決断するテニス」を更に深めようとしていました。
でもその意図を子どもたちはなかなか理解できません。
グリーンボールはミスしちゃ駄目なんですか?はい?グリーンボールがミスっちゃ駄目…?レッドとオレンジが間違っちゃいけないの。
まだ釈然としない子どもたち。
おい増川!グリーンボールはミスっていいんだって。
今聞いたもん。
オレンジとレッドがミスっちゃ駄目なんだって。
グリーンのボールって簡単なボールって事でしょ。
それでミスしていいっていうのは「あれ?」ってなってるんだと思う。
一回集めてグリーンボールの事をもう一回説明した方がいいのかもしれない。
ダビッドさんが伝えたかったのは状況に合わせて柔軟に決断する力でした。
コートのどのエリアにボールが来たかというだけで色が決まる訳じゃないんだ。
相手から短いボールが来たら普通そのボールはグリーンだけど追いつけなかったらレッドに変わってしまう。
だから守るために高くて深いボールを返すんだ。
ベースライン近くの深いボールでも攻撃に転じる事ができればその時はレッドからオレンジに変わる。
トップ選手が普通の選手と違うのはね状況に応じてボールの色が変わる事をすぐに判断できるからなんだよ。
ボールにどう対応するか自分で決めるんだ。
グリーンは簡単なボールだからミスしてはいけないという考え方はもちろん正しい。
でもちょっと見方を変えてみよう。
簡単なボールだから思い切って攻めたっていいんだ。
分かった?状況に応じてボールの色は常に変化する。
色を決めるのは実は自分自身。
グリーンと決断したのであればミスを恐れず積極的に攻めていい。
そう教えたのです。
コーチたちもダビッドさんの考えに驚かされました。
結局のところグリーンのボールはものにしなきゃいけないんだけどものにしなきゃいけないからミスしちゃいけないという消極的な考え方かものにするためには多様性があるよねっていろんな事ができるボールだよねという感じだったんで…。
(取材者)ちょっと気持ちが何か…。
楽になってる感じはありますね。
簡単な時こそリスクを背負ってでも攻める勇気を。
1週間の特別レッスンも残すところあと2日。
この日はスピード瞬発力のトレーニング。
毎日違うトレーニングメニューに周りの大人たちも興味津々。
そして親たちも…。
コーチにいろんな事話しやすいって言ってましたよ。
あ〜。
うん。
何かすごい真剣に聞いてくれるし…。
うちは初めは結構緊張したって。
慣れない環境で言葉も違ったりするから初めの1日2日は「もう疲れた〜!」って帰ってきたけど最近はもう「あ〜今日楽しかった!」とかって言うんでだからもう明日で終わりなんで寂しいなあってすごい言ってました。
パーフェクトだって。
よくできました。
子どもたちがダビッドさんと過ごした充実の日々。
レッスンの集大成のような場面がこの日ありました。
打ったら反対コートへ回りミスするまで続けるラリー。
集中力と正確なコントロールが求められる中5分間も続けられるように。
楽しむ事が技術を引き上げもっと楽しくなる。
確かに見えてきたメンタルの成長の兆し。
心の成長を導くダビッドさん。
この日遅れて参加した翔太君への言葉の中にダビッドさんが大事にしているある強い思いが表れます。
う〜ん…いつもどおり。
まあ楽しかった。
大事なのは結果ではない。
ダビッドさんのレッスンの哲学が見えてきました。
そして夜。
親たちへもう一つのレッスンがありました。
テニスでは親子の距離が近づき過ぎる事がよくあります。
子どもとの距離感を保つために最も大事なのは結果ではなくプロセスを気にかけてあげる事です。
それが基本中の基本です。
子ども時代の試合結果やランキングには何の意味も価値もありません。
ご両親がそれにこだわり過ぎるとテニスの上達そして子どもの成長を抑え込んでしまう事は間違いありません。
例えば車を運転している時隣でずっと見張られて注意されたら嫌ですよね?それと同じだと思います。
試合に勝っても負けてもお子さんへの愛情が変わらないのだと安心させてあげてほしいのです。
どうか忘れないで下さい。
試合後は「楽しかったか?」「練習でやった事はできたか?」そして最後に結果を聞いてあげて下さい。
ダビッドさんのこうした哲学の背景には自らのテニス観を変えるある転機がありました。
それは20年ほど前車いすテニスのコーチを頼まれた事。
人生を変えるほどの事故に遭った人たちがテニスを通してもう一度前向きに生きる姿にダビッドさんは驚きました。
深い喪失感を抱えた人にも喜びをもたらすテニスの恵み。
テニスには人を成長させる力がある。
ダビッドさんにとってテニスコートで起こる全ては成長のプロセスなのです。
いつかトッププレーヤーにたどりつけたら最高ですがもしたどりつけなかったとしてもテニスをやってきたおかげで今の自分があるんだと思えるように導いてほしいのです。
私との時間が少しでも役に立ったなら最高です。
ありがとう。
(拍手)もう最近感じてはいたので。
あの〜もっと考えないと僕自身がね。
子どもたちにかける言葉だったり自分の行動だったり一つ一つ自分で彼らに対してもっと深く考えて発言をしていかないといけないなっていうのを改めてダビッドさんの最後のお話で気付かされたっていう感じがしました。
最終日の朝。
何か勝ちたい。
(母)今日文南最終日何を頑張りたい?
(母)サーブ?ダビッドさんはチーム内での試合をあえて最後のレッスンとしました。
子どもたちの個性とレベルに応じて最もふさわしい組み合わせを考え抜きます。
龍一郎対理揮じゃん。
かっけえ!子どもたちも誰と試合をするのかワクワクしているようです。
試合は4ゲームを先に取った方が勝ちだ。
正直言うと得点や結果誰が勝つか誰が負けるかは僕は全く重視しない。
ただ見たい事がある。
一つはみんなの試合中の態度や姿勢だ。
コートの中でみんながどんな選手でいられるのか見ているからね。
2つ目は集中力とボールコントロール。
短い試合ではコートに入った瞬間からそこで起こる全ての事を把握しないといけない。
そういった集中力を発揮していいボールコントロールをしてほしい。
相手がどんな相手で自分はどんなプレーをすればいいのかどうやったらポイントを取れるのか戦い方をしっかり考えて試合に臨んでほしい。
みんなコートの上で全力を出し切って試合を終えよう。
コートの上ではたった一人。
戦うための鉄の魂をどう育てるか。
実戦形式のレッスンが始まります。
OK?最初の試合文南さん対丈慈くん。
自分を表現するのがちょっと苦手な文南さんと優れたテニスセンスを持つ丈慈くんとの対戦です。
レディーゴー!1ゲーム目丈慈くんのサービスゲーム。
お互いのバックハンドを狙ったストローク戦。
攻撃するチャンスをうかがいます。
丈慈くん強打しましたがネット。
文南さんが1ゲームを取ったところでダビッドさんが近づきます。
試合でやろうとしている事は何かな?オレンジとかそういうボールがあったら攻められるボールがあったら攻めてで粘り強く。
その戦略はいい。
その戦略のとおりでいこう。
文南。
ポイントを取るために君は何を考えてる?自分から先にミスしないようにしてもう少し余裕が出てきたらもうちょっと攻める。
「その調子でOK」だって。
口数の少なかった文南さんが戦い方を力強く表現しました。
文南さんの悩みのサーブは…。
注目のファーストサーブです。
今日もうまくいかないのかなあ…。
ダビッドさんに教わったサーブ練習での感覚を思い出してもう一度。
なんとサービスエース。
センターに決まったのは初めてです。
このサーブで勢いづきコートの上で躍動します。
丈慈くんのミスを誘って試合終了。
文南さんのストレート勝ちでした。
この試合ダブルフォルトは一つもありませんでした。
続いては龍一郎くんと理揮くん。
プロを目指して努力を続ける龍一郎くんと同い年でパワーショットが得意な理揮くんが対戦します。
立ち上がりから理揮くんのパワーに押され気味の龍一郎くん。
引いて守る姿が目立ちます。
あ〜もったいねえ!理揮くんちょっと力み過ぎ。
その後ミスを重ねてしまった理揮くん。
龍一郎くんの勝利です。
でもダビッドさん試合の結果は問いません。
もう一度理揮と試合するとしたら何を変えてみようと思う?もっと球を深くして相手を後ろに追い出して自分が主導権を握ってるようにしたいと思います。
リュウは自分から攻めるよりも理揮のミスを待っていたね。
理揮はリスクを負って攻めていたのはよかった。
でも大事なところでちょっとミスが多かったね。
リュウが慎重に勝ちにいったのは悪くない。
でも成長するにはリスクを負った攻撃も必要だよ。
次に試してみたらどうかな?結果に一喜一憂せず成長を求め前を向かせます。
試合の前日ダビッドさんはみんなに課題を出していました。
試合では何を目標にして戦うか。
子どもたちはそれぞれ自分の目標を見つけた上で試合に臨んでいたのです。
あっ!お父さんが甘えん坊で気持ちに波があると語っていた恒くんはこんな目標をあげたそうです。
今日試合があるっていう事でまあ何に気を付けたいっていう話をしていてメンタル平常心という言葉が出てきてたので。
いつになく真剣な姿の恒くん。
いつももっとキレちゃったりとかするんですけど。
これで一つ成長してくれればいいんですけど。
うん。
次の試合は10歳の琢真くんと2つ下の弟友望くんの兄弟対決。
一つ屋根の下日頃から意識し合うライバルです。
ゲームカウント2対2の同点で迎えた弟友望くんのサービスゲーム。
なぜか打ちにくそう。
琢真くんが細かく動いて気を散らせようとしていました。
集中力をそがれた友望くん。
簡単なボールをミスしてゲームを奪われます。
友望くんイライラが爆発。
トモ。
トモくん。
何で怒ってるの?どうした?サーブ打つ時…。
正直言うとねあれはねいい事ではないって。
美しくはないよ。
でもトモくんねそれを相手にしちゃ駄目だって。
テニスはテニスで勝たないと。
嫌な事をさせて勝つものではないって。
だから気にするなって。
相手にしちゃ駄目だって。
泣かないでこのゲームを楽しもう。
笑って楽しむんだって。
トモくんがね楽しければ楽しいほど相手はむかつくよって。
だから笑う。
逆境こそ楽しむ。
そうやって強くなる。
自らの心を奮い立たせ再びお兄ちゃんに立ち向かう友望くん。
試合はお兄ちゃんの勝ち。
タクとてもいいプレーをしていたね。
タクのプレースタイル僕は好きだよ。
でもね相手のサーブの時に足を動かすのは正直好きになれないな。
嫌がらせをされるのは誰だって嫌だよね。
そんな事をしなくても十分勝てるだけの能力を持っているんだからやらない方がいい。
いいね?すばらしいプレーをしてるんだから自分のテニスをして勝とう。
分かったかい?ダビッドさん琢真くんを怒りません。
子どもを一人のテニスプレーヤーとして扱い個性を大事にしながら才能を伸ばす。
それがダビッドさんの教え方です。
親たちにも積極的に子どもの長所を伝えます。
リュウは責任感が強くて考え方がしっかりしている。
テニスにはとてもいい事です。
テクニックもいいものを持っている。
「責任感強いよね」っていうふうに言ってもらえたのは割と意外だったかなというところですかね。
家じゃそんなに責任感があるというかやっぱりまだ子どもでね甘えてくる部分もあるんで。
親が知らないところで子は育ってるんだなっていうのは感じましたけど。
龍一郎くんの2試合目。
家を出る時「勝ちたい」と言っていたライバル文南さんとの対決です。
1試合目は相手のミスを待つばかりで攻めあぐねた龍一郎くん。
それではミスの少ない文南さんには勝てません。
気持ちが声に出ます。
自分から攻めていこうとする龍一郎くん。
文南さんの強烈なバックハンドが決まり追い込まれる龍一郎くん。
それでも…。
スマッシュ成功!ミスを恐れず勝負に出ました。
文南さんも龍一郎くんの変化を感じ取ります。
文南さんに押されながらもチャンスをうかがう龍一郎くん。
そして…。
こん身の一撃。
試合の流れを引き寄せます。
この試合の中で攻めるテニスに変貌した龍一郎くん。
しかし一歩及ばず。
勝者は文南さんでした。
ありがとうございました。
すごくいいプレーだった。
おめでとう。
今度は手を握りしめて気持ちを声に出してごらん。
シャラポワみたいに。
シャラポワはよくやってるよね。
よくやりました。
う〜ん何だろう…リスクは負ったけどやっぱり中途半端な事があってそのポイントを取りたいって時に自分に自信を持てなくて。
でもね僕はリュウを褒めてあげたい。
1試合目のあと伝えた事に挑戦しただろ。
リュウの学びたいという姿勢がすごく伝わってきた。
結果を気にせず学びながら変化する勇気を見せてくれた。
それは選手にとってとても大切な事だ。
変化を起こす勇気をリュウが見せてくれた事が僕は何よりもうれしかった。
リスクを恐れず変化を起こす勇気。
龍一郎くんが刻んだ決断するテニスへの一歩です。
ダビッドさん自身予想を超える展開になったのがこの試合。
1試合目の兄弟対決で弟を怒らせてしまった琢真くん。
対するは少し感情に波がある大喜くん。
課題は集中力が長続きしない事です。
いや〜キリキリします。
ハハハハハ。
あれ〜?開始早々小さなミスから気持ちが乱れ感情のコントロールに苦しむ大喜くん。
ダビッドさんはある注文をしました。
ミスをしたって問題ない。
もう過去の事だ。
それよりもこれからのポイントに集中しよう。
一度なら腹を立ててもいい。
でも次のボイントを取るためにそこから学んで役立てなきゃいけない。
大喜に2つリクエストしたい。
1つ目はボールをなげやりになって打つんじゃなくていつも練習でやってるようにやってごらん。
テニス選手として成長したいならしっかりと考えて打たないと駄目だ。
2つ目は決してラケットを投げつけない事。
コートで起きている事はラケットのせいじゃない。
自分の責任だよ。
全ては自分の決断次第。
自分に負けないでほしい。
試合再開。
またボールをネットに掛けてしまうミス。
いつもならここから崩れてしまうところですが悔しさをぐっとこらえます。
集中しようともがく大喜くん。
一方の琢真くんは正々堂々自分のテニスで勝負します。
左右前後へ打ち分け相手を揺さぶる多彩な攻めを繰り広げます。
チャンスを見逃さなかった大喜くんがスマッシュを決めます。
試合開始から40分。
タイブレークにもつれ込む大熱戦に。
一進一退の攻防を繰り広げる2人。
ここまでの成長をダビッドさんも想像していませんでした。
よっしゃ!思ってもみないいい試合になっちゃいました。
そして迎えた大喜くんのマッチポイント。
大喜くんの勝利です。
持てる力を出し切った2人。
2人ともすごくいい試合だった。
今日のベストゲームだったかもしれない。
タクはプレーにいろいろな変化をつけてきたね。
プロ級のプレーだったよ。
本当にすばらしかった。
負けている時でも粘り強く戦い続けるのが偉大なプレーヤーの証しだ。
タク本当によくやった。
大喜は最初ただただボールを打ってるだけでミスも多かった。
でもなげやりになるのをやめて恐れる事なく自分らしいプレーで攻めていた。
大喜がメンタルを変えるのを見られたからもし負けていたとしても変わらずうれしかった。
大喜は練習ではしっかり考えてプレーしているよね。
だから試合でもそれをしていこう。
それを続けられたら大きく成長できる。
恐れずに自分を変えられた大喜を褒めてあげたい。
みんなよくやった。
子どもたちに鉄の魂を植え付ける1週間のレッスンが終わりました。
(拍手)1週間ありがとうございました。
みんなから。
え〜とみんなからです。
スペイン流にご挨拶させてもらっていいですか?スペインではほっぺたにチュッチュするんだよね。
(笑い声)だから…。
(笑い声)
(笑い声)
(拍手)寂しい気持ちもあるけど…最強コーチが教えてくれた。
楽しさとは自分で決断できる喜び。
それさえあれば長く険しい道も歩んでいける。
ダビッドさんが帰国して1週間後。
コーチが来る前に子どもたちだけで練習を始める姿がそこにありました。
背中を押してあげれば飛躍できる子どもたちがいる。
2015/12/26(土) 23:00〜00:40
NHKEテレ1大阪
奇跡のレッスン〜世界の最強コーチと子どもたち▽テニス編すべてのボールに決断を[字][再]
世界の一流指導者が子どもたちに1週間のレッスンを行い、技術だけでなく心の変化まで呼び起こす!テニス強国・スペインから育成のスペシャリストが来日した。果たして!?
詳細情報
番組内容
スペインテニス協会のコーチ指導・研究部門ディレクター、ダビッド・サンズ・リバスさんが横浜のテニスクラブにやってきた。クラブの選抜チームに入っている小学生12人への特別レッスンが始まる。その指導のポイントは「素早い決断力」。ボールを追いながら常に「この球は防御?攻撃?」と考ることを徹底させた。そして「楽しむこと」!なぜ? ダビッドさんとの1週間で子どもたちに何が起きるのか。コーチングのヒントが満載!
出演者
【語り】麻生久美子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – その他の球技
ドキュメンタリー/教養 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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