安倍政権に歯向かい始めた自民党
「軽減税率については、その後もしばらく、党幹部と官邸スタッフらが『官邸が悪い』『党側がまったく意味を理解していない』とお互いに陰で言い合っています」(自民党副大臣経験者)
12月上旬に大枠が決まった軽減税率。その結末がいまだ尾を引いているという。政権主導で「軽減税率の対象品目は、生鮮食品と加工食品」と決めたことに、自民党内から「対象の幅が広すぎる。党の意見も十分に聞かずに決めるとは、強引だ」と不満の声が上がっているのだ。
官邸への自民党の反発は、その直後にさっそく現れた。12月17日、安倍首相が来年(2016)の参院選前に、低所得年金受給者に3万円を配る案について、自民党の部会が開かれたのだが、ここで党側は安倍官邸の案を簡単には了承せず、2日間もかけてようやく認めたうえ、部会終了後には出席メンバーらがマスコミに対して「ミエミエのバラマキ」と官邸を批判したのだ。
「軽減税率の一件が党内の『反官邸ムード』に火をつけた。その空気が、特に若い議員の間に醸成されています。官邸に対しても言うべきことは言う。本来の与党のあるべき姿に立ち戻ろうというわけです」(同)
官邸と与党・自民党とのギクシャクを含め、今回の軽減税率問題は、看過できない「3つの亀裂」を生んだと言える。
まず1つ目は、「官邸vs自民党」。
軽減税率の適用範囲をめぐって「広く適用すべきだ」とする公明党と、財政規律を守り「税収減を最小に抑えるべき」という自民党が激しく対立したのは承知の通り。
自民党側の矢面に立ったのは谷垣禎一幹事長だった。元財務相でもあり財政規律重視が持論。与党の税制大綱取りまとめリミットの12月に入ってもなお、「税収減を防ぐためにも、軽減税率の対象は4000億円以内にすべき、したがって適用範囲は生鮮食料品に限定」にこだわり、広く軽減税率の適用を求める井上義久公明党幹事長との議論は平行線をたどった。
そこへ、官邸の菅義偉官房長官が「公明党の最大の支持団体・創価学会幹部らとも話をして、8000億円から1兆円まで対象を広げるという公明党案に近い形でまとめることを決め、財務省に最終的な指示をした」(官邸スタッフ)という。
結局、官邸の意向に押し切られる形で公明党案寄りで決着し、谷垣氏や自民党税調関係者などは不満を爆発させた、というわけだ。
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