日本のチカラ 2015.12.27


世界自然遺産鹿児島県の屋久島に大自然に抱かれた高校があります。
全国からやって来る高校生たち。
大自然との触れ合いがここでの授業です。
やっぱり生徒が自然体でいてくれるのが一番なので…。
不登校や引きこもり悩みを抱える生徒も。
様々な葛藤を緩やかな時間の中で解放していく。
『日本のチカラ』今週は屋久島で輝く高校生。
生きる力を育む授業です。
世界自然遺産屋久島。
島の中央に標高1000メートル以上の山々が連なります。
独特の地形と生態系の中に太古からの自然と様々な命が息づく島。
はいこっちに来てね。
荷物はここで預けてください。
この島に毎週若者たちがやって来ます。
全国各地から合わせて100名以上。
空港からバスでおよそ1時間。
向かう先は屋久島の大自然の中にある高校です。
2005年に開校した海を望む校舎は羽ばたく鳥の形です。
屋久島にありながら全国から生徒がやって来る。
その理由は独特の学校システムにあります。
生徒はその数全国に38カ所。
自宅に近いサポート校に通う生徒は年に1回はるばる屋久島へとやって来ます。
およそ1週間のスクーリングを受けるのが必須。
単位の修得にも必要ないわば集中合宿です。
遠くから屋久島にようこそ来てくださいました。
皆さん方にとっては大事なスクーリングになると思います。
通信制高校で学ぶ理由は様々です。
以前の高校を中途退学人間関係の悩み不登校引きこもり…。
そこからもう一度高校卒業の資格を目指し転入する生徒も少なくありません。
初日のホームルーム。
クラスは15名前後の少人数制です。
好きな事。
食べ物音楽なんでもいいです。
1個以上書いてください。
全員が初対面。
わずか5日間のクラスメートです。
名札に書いたのはニックネーム。
(江上先生)みんな地元からはるばる屋久島に来てくれました。
来たからこそ思う…今思ってるものあると思います。
今の思いを素直になんでもいくらでもどんだけでもいいので書いてください。
(江上先生)はい。
(りょうたさん)わあ…。
初日からぎこちない空気。
打ち解けるには時間がかかりそうです。
(江上先生)ねえ人の気持ちそれこそ…。
屋久島で感じた事をつづっていくログブック。
宿舎での共同生活。
生徒の様子が気になります。
失礼します。
りゅうせいいますか?こんにちは。
アハハ…。
りゅうせい体調どうですか?
(江上先生)本当に?本当に?ガチです。
痛ーい!なんだりゅうせい部屋だとこんなしゃべるのね。
当たり前じゃん人見知りだもん。
顔下がってたぞ。
大丈夫です。
大丈夫?本当?無理してない?楽しめそう?なんもしゃべれないというか…。
人と関わるのは苦手。
おおぞら高校を選んだのには理由がありました。
イラストのある学校に入りたいっていう一心で選んだ…。
単位の修得が中心となる高校生活。
屋久島でのスクーリングは学科の勉強やテストだけではありません。
無理をせず自然の中で心を開いていく…。
様々な体験授業が待っています。
キャッチボールをしていきます。
チームを作る。
ちょっとずつ作っていきましょう。
足を踏んだ方が勝ちです。
(ホイッスル)体を動かして緊張感をほぐす準備運動のようなゲーム。
せーの…。
イエーイ!一見遊びのように見えますが自然体で人と触れ合い一歩踏み出すきっかけ作りの場でもあります。
あーっやった!
(拍手)うまくいったもののいったんゲームを離れると…。
自分から話しにいけないから…。
不安と緊張っていうのは本当大きいですね。
なんで関わらそうとするの?とか生徒たまに言いますけど…。
関わってない子たちですからね。
もはや普通の高校生より。
江上先生は大学卒業後青年海外協力隊で二ジェールに赴任。
体育教師として2年間滞在しました。
印象に残ったのが…。
(江上先生)地球の裏というか日本で感じてきた事を真逆にさせられるような体験をいっぱいしました。
みんな家族ですねもう。
なんだろう…。
いきなり一緒にご飯…いいよいいよって言って食べさせてくれるかとか家族だねって言ってくれるかとか…。
いい方にも悪い方にも本当…。
(江上先生)やっぱり生徒が自然体でいてくれるのが一番なので自分がまずそれを率先してやる。
自然体でいる事を。
自分がいれば多分生徒もああそれでいいんだって思ってどんどん自然になっていくしどんどん言葉も出てくるし…。
それは本当に信じてるので。
なんもないとこもアフリカに似てますしつながりも…。
先生の中にはおおぞら高校の卒業生もいます。
じゃあひかる。
つらい過去があったという深町先生。
(深町先生)僕自身この屋久島おおぞら高校に入る前の2年半で本当に思い詰めて自分で命を絶とうとしたりとかっていう事を考えた事があったんです。
(深町先生)頑張ろうともしかしたら思えなくても何か「このままの自分でいいんだろうか?」っていう疑問符のひとつでも持って帰ってもらえば…。
ここに来る事でそれがひとつのきっかけになったら一番いいのかなと思います。
はい。
きっかけ作りは英語の授業でも生かされています。
お互い言葉を伝え合う。
DoyoulikestudyEnglish?No,Idon’t.スクーリング3日目。
屋久島の大自然の中に向かいます。
東京ドームおよそ3個分にあたる広大な農園長年耕作放棄地になっていた場所に緑の森を再生しようと造られた学校の農園です。
縄文水田では生徒が作る古代米が収穫の時期を迎えていました。
米作りの作業をリレー方式でつないでいくリレー水田。
入れ替わりスクーリングに訪れる生徒が季節ごとの農作業を担当します。
赤米の方を刈ります。
ちょうど片手で持てるぐらいの幅になるように。
10センチぐらいをめどに切るように。
(江上先生)手逆。
手上。
手上ねこうね。
危ないから。
(江上先生)5センチ上を刈って。
もうちょい下側…。
このぐらいでいい?このぐらいでいい?適当だなお前はよ。
なかなか難しいんで麻ひもで…。
見るのも初めてという生徒も。
慣れない作業が続きます。
まだいけるよ。
脱穀の方法。
千歯という…。
この日は昔ながらの脱穀も体験。
地元の方に教えてもらいます。
(江上先生)便利な社会に慣れている子たちがいる中であえてこの屋久島に学校をつくったのは…。
日本最大級のカラクリ水車。
小屋の中では昔ながらの精米作業を体験します。
あっ!あっ!おお〜!食べ物を作る事で感じる大地の恵み。
収穫した新米は地元の神社に奉納し種まきからつないできた格別の味をお弁当や給食で頂きます。
学校の農園では屋久島特産の柑橘系果物タンカンも栽培。
毎年7月には生徒たちが摘果作業を行います。
ちっちゃい方?そうそうそう…。
くるくる回したらいいの?
(秀之さん)いや普通にギュッて引っ張っていいよ。
思いっきり。
採れた。
これと比べたらこれは小さいですよね。
(恵さん)こういうのを摘果するって感じで…。
小さな発見が次々と生まれます。
(秀之さん)やっぱり都会の子なんでどうしても不便さは感じてると思うんですけどね。
でもいい経験にはなるんではないでしょうか。
やっぱり自分に自信がなかったりとか自分が嫌だったりした時とかも土とかこういうのに自然に触れると多分元気が…私は出ると思ってますので。
地元の人に教わりながら作るタンカンは島の特産品屋久島タンカンサイダーとして商品化されました。
空港や港の売店観光センターなど屋久島で販売。
売り上げの一部を屋久島山岳部保全募金に寄付しています。
生徒と島とのつながりが形となって歩み始めています。
噴火のため全島民避難となった口永良部島。
屋久島で避難生活を送る方たちへの支援活動としてタンカンサイダーを贈りました。
泣けるんだけど…。
あまりにもね…。
仮設住宅の…住んでる人の気持ちとか全然わからなかったからそういうの聞いてたら自分のおじいちゃんおばあちゃん思い出しちゃって。
ウミガメが産卵する神秘の砂浜。
広大な谷に現れる落差60メートルの滝。
圧倒的な存在感の屋久島の大自然を一日かけて巡ります。
遠くに滝が流れてるんだけど流れてるところは…。
大人千人が手を広げたぐらい千尋ぐらいの大きさがあるから千尋の滝って名前が…。

(ミケさん)地元の方の海より全然きれいでびっくりしました。
いよいよ屋久島での時間も残りカウントダウンになって参りました。
クラスでの授業は今日残り半日ですので…。
テーマ自分の写真。
自分は撮りません。
その景色の中に自分は撮らない。
大きな空が自分っぽいなとか。
自分らしい写真2枚撮ってください。
最後の授業は写真撮影。
一人一人が撮影ポイントを探します。
(江上先生)1枚だけ?うん。
めっちゃきれいやん。
みんな自分の視点でカメラを向け始めました。
向かったのは江上先生も大好きだという場所。
わあすごい!めっちゃ水きれいじゃん。
撮りてえよ!絶景が広がる岬です。
何撮ってんの?空。
なんか引きがいいかな?はい。
思い思いの場所を見つけて撮影。
一人一人が屋久島と向き合う時間になりました。
撮影した写真に英語でタイトルをつけます。
まだなんも出来てないけど…。
人生なんかそういういい道ばかりじゃないみたいな…。
(江上先生)かわいい似てる似てる。
みんなに最後イラスト見せてよ。
見たい見たい。
お願いお願い…。
ミケの1枚。
自分に似ている花を撮りました。
みんなすごい素敵な作品…。
文字ものって写真もすごい素敵な作品が集まりました。
ここからクラスの作品を1枚作りたいと思います。
うちのクラスらしいHクラスらしい写真ってどれやろう?っていうのを…。
これ!
(生徒たちの笑い声)
(江上先生)うちのクラスらしいってどんなんやろうねっていうとこもみんなで話しながら決めたいです。
クラス全員の共同作業が始まりました。
(りょうたさん)いっせーのーで…。
これ選んだ人。
はい。
きれい。
黄色好きうち。
じゃあ次これ。
SKYSKY。
えっ嘘だろ?でもさ決めるならさ全員一緒の方がいいよね。
きれいな写真ももちろん選びたい。
でもうちのクラスきれいですか?
(りょうたさん)汚い。
(生徒たちの笑い声)そういう事。
写真に意味を込めましょう。
私たちらしいって何?はいラストどうぞ。
このさ崖からさ…崖?岩からさちょっと出てるのがさ…。
頑張って屋久島来て…。
(江上先生)全員納得?
(りょうたさん)聞いてました?聞いてたよ。
オッケー。
一人一人の顔が違うようにどの写真も自分らしい1枚。
(江上先生)色んな人と関わる中で自分を見つめていく。
じゃないですけどもうそれだけ。
それだけですね彼らの気づき。
大自然の中で見つけたのは小さいながらもたくましい命。

(はるさん)小学校もあまり行ってなくて中学校も勉強が追いつけなかったり…。
(はるさん)でも徐々に話せるようになり始めて色んな人と触れ合えるようになったり…。
(ミケさん)人との関係というかそういうのは自分の中でいらないものじゃないのかなと。
一人が好きなんですけどやっぱりいらないものじゃなくて必要な成長していく上での素材なのかなとは思ってます。
「青いおおぞらつばさをひろげ」「過ごした日々は永遠に忘れない」5日間のスクーリングを終え生徒たちは日常へ戻っていきます。
はい。
おはようございます。
(スタッフ)屋久島どうだった?いや去年よりか楽しい5日間になりました。
(江上先生)ここで気づく子もいるし帰って「ああ屋久島でこうやったな」って思う子もいるんでしょうけど…。
母校ですからね彼らの。
遠いですけど。
遠いし年に一回しか来ないですけど。
頑張ってね。
「resilience」。
「resilience」言ってみて。
「resilience」。
イエスイエスイエス。
グッドラックはる。
サンキュー。
(江上先生)お米刈りに来てね。
へい!
(一同)バイバーイ!バイバーイ!屋久島から旅立つ前に彼らが立ち寄る場所があります。
スクーリングを終えての旅立ち。
島にはおおぞら高校生を見守る人たちがいます。
小銭…。
そのままでも食べられる…。
おしょう油ちょっとかけて食べても…。
ああ…!ご飯のおかずに…。
204円のお返しです。
はいありがとう。
こっちに来た時よりかここで…。
私たちもエネルギーもらってるしあんしも屋久島のエネルギーもらってるかもしれないし…。
屋久島で得たつながりを力に。
新たな一日が始まります。
2015/12/27(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本のチカラ[字]

世界自然遺産・屋久島にある、通信制高校に密着!ゆるやかに学び、大自然と戯れる自然体の授業…。稲刈りや海散歩、タンカン収穫…癒しの時間が、ここにはあります。

詳細情報
◇番組内容
太古からの深い森、ウミガメが産卵するビーチ、雄大な滝…圧倒的な大自然に囲まれた、世界自然遺産・屋久島…ここへ、毎週のように高校生が訪れます。彼らは通信制高校の生徒たち。普段は自宅学習や全国各地にあるサポート校で学び、年に1回およそ1週間のスクーリング(特別授業)を受けるためです。以前の高校を中途退学、不登校、引きこもり…様々な葛藤を抱える生徒も少なくありません。
◇番組内容2
人との関わりに苦手意識を持つ生徒たち。屋久島へ積極的にやって来るわけではありません。 先生は、そんな生徒たちと常に「自然体」で向き合います。目標は設けず、「屋久島で感じたこと」がすべて…。大自然を巡り、地元の人と一緒に農作業を体験、苦手でも人と話し、自分の思いを伝える…とことん夢中になれる時間を過ごす…屋久島で目指す「今を感じる」授業…生徒たちの姿を追いました。
◇番組内容3
全国各地の「魅力あふれる産業」を通して、地域の歴史や文化・人々の英知や営みを学び、日本の技術力・地方創生への道・温かいコミュニティー、生きるヒントを描き出す、教育ドキュメンタリー番組。
◇ナレーション
美坂理恵(南日本放送アナウンサー)
◇音楽
高嶋ちさ子「ブライト・フューチャー」
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:南日本放送
協力:文部科学省/中小企業基盤整備機構
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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