目撃!日本列島・選「ナニワの社長が雇いまっせ〜出所者の再犯防止プロジェクト〜」 2015.12.27


大阪・ミナミ。
いらっしゃいませ!名物の串かつ屋は今日も大繁盛でっせ。
手際よく串かつを揚げるこの男性。
雇われたんは半年前。
それまでは窃盗の罪で刑務所にいた。
意欲のある出所者を雇うのはナニワの社長さん。
お好み焼き屋の社長さん。
そして建設業の社長さん。
更に焼き肉屋に居酒屋美容室やIT関連。
20の会社の社長さんが取り組んでいる。
始まったのは2年前。
刑務所を出た人が働く場がなくて再び罪を犯す再犯を防ぐんがねらいや。
その名も…出所した人に職を与え住むところも用意してまるで…民間の社長さんが主導する全国でも初めてのプロジェクトや。
社長さんは自ら刑務所にも乗り込んでいく。
仕事を通して再犯を防ごうとするナニワの社長さん。
その奮闘を追いかけた。
この日刑務所で行われた職親プロジェクトの面接。
お好み焼き屋の採用担当者が受刑者に直接会って雇うかどうかを決める。
気を付け礼。
よろしくお願いします。
(3人)よろしくお願いします。
窃盗を繰り返して服役している35歳の男性。
親に頼らず自立して生活したいとプロジェクトに応募した。
お好み焼き屋の採用担当者は男性の働く意欲を信じて雇う事にした。
それから間もなくして出所した男性がお好み焼き屋に。
店先に初めて立った日。
男性に熱い視線を注ぐのがこの…職親プロジェクトのリーダーや。
なぜ出所者を積極的に雇うのか。
その答えは中井さんの人生にある。
42年前裸一貫で店を開き62店舗を展開するまで店を大きくした中井さん。
成功の秘けつは何と言っても人を育てたからや。
創業当時は働き手が集まらず大変やった。
雇った中には元不良少年や暴走族もいたけど親身に向き合って一緒に店をもり立てたという。
そうして行列が出来る有名店になった。
そんな中井さんに7年前あるところから声がかかった。
それは刑務所の人からやった。
そう言われたのがプロジェクトのきっかけとなったんや。
中井さんの心意気にナニワの社長さんが次々に応えた。
その一人が串かつ屋の上山勝也社長。
脱サラして第2の人生で串かつ屋を経営。
店を17店舗に広げた。
一度失敗した人にも立ち直るチャンスを与えたいとプロジェクトに参加した。
この店で半年前から雇っている39歳の男性。
窃盗を繰り返して3年服役したけどゼロからやり直そうと応募してきた。
皿洗いから始まって仕込みを覚え2か月ほどでお客の前で揚げるまでになった。
出所した人の多くは住むところにも困る事がある。
会社は男性に寮まで用意した。
1か月の給料はおよそ20万。
ところがうまくいく事ばかりではない。
和歌山に本社があるこのそば・うどん店。
去年10月に雇った…接客を覚えちゅう房にも立って順調だと思っていた半年後。
突然行方不明になった。
この出来事に衝撃を受けたのが…実は高校を3か月で中退しバイクで走り回っていた過去を持つ。
それだけに罪を犯してしまう人の気持ちも分かるのではとプロジェクトに参加した。
でも出所者が辞めた理由は結局分からないままだった。
一度雇っても辞めていく出所者。
実は今相次いでいる。
どうすれば防げるのか。
この日ナニワの社長たちが集まり課題を話し合った。
プロジェクトは当初5年間で100人の出所者の雇用を見込んでいた。
しかしこの2年間で雇ったのは僅か31人。
しかもその半分以上は既に辞めている。
理想どおりにいかない現実に頭を悩ませていた。
そこでナニワの社長さんは新たな策に打って出た。
みんなで刑務所に乗り込んだんや。
ここは20代の若い受刑者が多い少年刑務所。
もっと受刑者と直接話す機会を増やさなあかんと会社説明会を開いた。
仕事を通して生きていく自信と誇りを取り戻してほしいと訴えた。
受刑者の不安の声にも正面から向き合った。
説明会で熱く語っていた社長草刈健太郎さん42歳。
建設業の3代目社長。
プロジェクトのメンバーではまだ若手やけどとにかく熱心なんや。
え〜…広島からね?何か遅れたんやね。
あっ。
この日刑務所を出てきたばかりの27歳の男性を自ら迎えに行った。
草刈さんはこれまでに6人の出所者を雇った。
けど4人が辞めてしまった。
職場でもめて休むやつもおる。
ここで2年前から働いている。
中学生の時から盗みを繰り返してきたコウタ。
手に職をつけたいとプロジェクトに応募。
今塗装の仕事を一から覚えている。
ところが働き始めておよそ1か月の時。
上司ともめて仕事を投げ出した事がある。
相手は社長からコウタの面倒を見るよう頼まれていたベテランの職人。
仕事が終わって事務所に帰る車の中で「友達と待ち合わせている場所まで送ってほしい」と軽い気持ちで言ったら…。
「事務所に帰るまでが仕事だ。
俺はお前の運転手じゃない」と注意された。
それが気に入らんかったコウタ。
翌日から職場に行かなくなった。
いなくなったコウタが再び罪を犯してしまわないか。
草刈さんは何度も連絡を取り「絶対に見捨てへんから戻ってこい」と語り続けた。
およそ2か月後なんとか戻ってきたコウタ。
でもそのあとも相変わらず気に入らない事があるとすぐに逃げ出した。
草刈さんはベテランの職人から「何であんなやつを雇い続けるんや」と言われた事も何度もあった。
それでも「なんとかあいつを立ち直らせたいんや」と頭を下げたという。
何でここまで熱心にやるんか。
そこには大きな理由があった。
実は10年前草刈さんはある事件で掛けがえのない妹福子さんを失った。
アメリカに留学中交際相手の男に殺された。
草刈さんはプロジェクトへの参加を呼びかけられた時果たして自分が罪を犯した人を雇う事ができるのか強く悩んだ。
しかしその時思い出したのは妹が人の役に立つ仕事がしたいと夢を語っていた事。
出所者を雇い再犯を減らせれば妹の喜びにもなるとプロジェクトに力を注ぐ事にしたんや。
コウタたち出所者と本音で向き合うにはどうしたらよいのか。
ほとんど家族旅行をした事がないと聞いた草刈さん。
この日初めて1泊2日の旅行に出た。
訪れたのは草刈さんが毎年自分の家族と来ている和歌山県の熊野。
(太鼓の音)そしてお守りも。
那智の滝ではいつも写真を撮る場所で記念撮影。
はい頑張れよ〜。
はい。
「オ〜ッ」は?
(2人)オ〜ッ!更にこの日の夜酒を酌み交わしながら…。
「何か変やな」みたいな。
俺もそうや。
何かしんみりしたやんけお前。
旅の最後に向かったのは10年前に亡くなった草刈さんの妹の墓。
(読経)罪を犯した時そこには必ず被害者がいる事を伝えたかった。
(読経)
(セミの声)コウタは今逃げ出さず10か月以上仕事を続けている。
最近では1人で任される仕事も増えてきた。
草刈さんは彼らとどこまでも向き合い続ける覚悟や。
どんなやつも見捨てへん。
それがナニワの社長さんの人情っちゅうもんや。
2015/12/27(日) 08:25〜08:48
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島・選「ナニワの社長が雇いまっせ〜出所者の再犯防止プロジェクト〜」[字]

「再犯を防ぐには仕事が必要や!」関西の社長たちが立ち上がった。壁にぶつかりながらも、刑務所を出所した若者を積極的に雇用する民間主導の再犯防止プロジェクトに密着。

詳細情報
番組内容
過去最悪となる「再犯者率」。防ぐためには「仕事が必要や!」と、お好み焼き屋や串カツ店などを営む20人の社長たちが立ち上がった。刑務所を出所した人たちを国の主導でなく自発的に雇用する全国初の取り組みだ。しかし今、大きな壁にぶつかっている。突然の逃走、金銭トラブルなど、想像以上に更生は難しい。裏切られながらも雇い続ける社長たちを密着取材。出所者をどう支えるのか、再犯防止に何が求められるか、探っていく。
出演者
【語り】赤井英和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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