耳をすませば 第1回「熊倉一雄・岸朝子」 2015.12.29


この秋豊かな個性でお茶の間に親しまれた2人の方が亡くなりました。
岸朝子さん91歳。
料理記者の先駆けとして食べる事の意味を伝え続けました。
そして多くの子どもたちに親しまれた熊倉一雄さん88歳でした。
は〜いこんにちは。
ばくさんです。
そしてこれがばくさんの不思議なかばん。
俺の命はなくなるんだよ。
海賊トラヒゲを演じた人形劇「ひょっこりひょうたん島」。
そしてドラマ「名探偵ポワロ」。
君の灰色の脳細胞は今日はお休みかな?声一つで役に命を吹き込む声優の先駆者として活躍し私たちを魅了しました。
それぞれに新たな道をひらいた2人からのメッセージです。
テレビ番組「料理の鉄人」で活躍した岸朝子さん。
お茶の間の人気を集めました。
蟹の味っていうのかな。
キリリとしてておいしゅうございます。
生涯心に刻み続けていたのは「命は食にあり」という強い信念でした。
岸さんは大正12年東京生まれ。
かきの養殖法を打ち立てた沖縄出身の事業家宮城新昌の次女でした。
食の大切さを諭す父に強い影響を受けて育ちます。
そして母からは食は心の栄養になると教わりました。
高等女学校を卒業した岸さんは女子栄養学園へと進学。
学園創設者の香川綾のもとで食の科学である栄養学を徹底的に学びます。
卒業後岸さんは軍人の妻となります。
生活は一変。
父の紹介で一家はかきの養殖を始め岸さんも行商に出て子どもたちを育てます。
家計の足しになればと栄養士の資格にも挑戦します。
そんな時4歳の長男を突然失います。
試験で岸さんが家を留守にした日お祭りでもらった寿司を食べ赤痢にかかり亡くなったのです。
大きな悲しみを胸に生活のため働く事にしたのは昭和30年。
「この仕事ならば」と選んだのは料理記者でした。
4人目の子どもを宿しながら挑み見事採用されます。
洋食が家庭にも広がりつつあった当時子どもに人気のカレーライスやハンバーグの調理法はまだあまり知られていませんでした。
岸さんたちは主婦向けのレシピを作ろうと考えます。
取り組んだ料理本は画期的なものでした。
何度も増刷され主婦の間でバイブルとなります。
誰にでもおいしいものを食べてもらいたいと一流の味を取材。
そのレシピを具体的な数字で表しました。
食の安全にも力を入れます。
まだ冷蔵庫が普及していない中新鮮な食材の見分け方も誌面に盛り込みました。
日本の食卓が豊かになるにつれ「健康にもっと関心を」という思いが募ります。
母校が出版していた月刊誌の編集長となり次々と企画を立ち上げました。
スターのお食事診断や読者参加型の健康企画など誌面は当時どこにもない斬新なものとなりました。
(聞き手)それを聞かれた時は?その一方で日本各地の食の現場にも目を向けます。
生産者の思い食材の育つ環境その土地土地の味を伝える企画を編み出しました。
70代に入り心を痛めたのが食の乱れです。
手軽さの追求孤食偏食など食の使命が失われかけていると強い危機感を募らせました。
いい景色ですね。
形がそろって。
日本が誇る食文化を伝え残したいと晩年までその思いを発信し続けました。
・「ゲッゲッゲゲゲのゲー」・「夜は墓場で運動会」俳優で演出家の熊倉一雄さん。
朗らかで温かみのある声で親しまれました。
決〜めた。
海賊トラヒゲはここに宣言する。
俺はこの島に住み着くぞ。
登場人物の性格や人生をコミカルに演じきる卓越した演技力で活躍しました。
ガッハッハッハッ。
熊倉さんは昭和2年東京に生まれ下町人情に囲まれて育ちました。
幼い頃から好奇心旺盛。
読書で知識を広げ何事にも挑戦する子どもでした。
その後進学し医師を目標にします。
ところが学園祭で助っ人として劇に出演した事が人生の大きな転機となりました。
演じると人が喜ぶ。
一気に芝居のとりことなった熊倉さんは学校を退学。
演劇の修業を経て劇団テアトル・エコーに加わりコメディーを日本に根づかせる事を生涯の仕事と決めました。
しかし劇団の資金繰りは苦しく運営を支えるためさまざまな事にチャレンジします。
その中で大当たりしたのが声の仕事でした。
皆様ごきげんよう。
今日は馬の話だよとそう申しましたら慌て者が約1名おりましてな。
ほれこのとおり。
今間違いを言い聞かせたところ。
おい忘れ物だよ。
よいしょ。
英語のユーモアを分かりやすく伝えるため台本も熊倉さんが作りました。
今日のお話は。
そして人気を不動のものにしたのがこの作品です。
やいやいやいやいガバチョ!いつまでくだらねえホラを吹いてやがんだよ!まあ大統領の頭を踏み台代わりにするとは不届き千万!まあそう怒るなよ。
踏まれたって減るような頭じゃねえだろ。
(聞き手)やってるうちに愛着って出てこられました?この時代声優という仕事はまだなく新しい事に挑戦する意欲にあふれる演劇人が集まっていました。
あそうなんですか。
・「オレは海賊ヤッホー!」熊倉さんの作り上げたトラヒゲはその後長く愛されました。
・「海賊トラヒゲとはオレのこと」・「海だけじゃないヤッホーイ!」ホームグラウンドの舞台では新たな才能を発掘し続けました。
その一人が井上ひさしさんです。
当時「ひょっこりひょうたん島」の放送作家だった井上さんに「あなたなら新しい喜劇が作れる」と芝居の世界へ誘ったのが熊倉さんでした。
熊倉さんは井上さんと二人三脚で舞台「日本人のへそ」を生み出します。
井上さんは喜劇を書ける作家として戯曲の第一人者となりました。
わしはお前の決意を喜んどるんじゃぞ。
あ〜!あ〜…ハハハ。
ほかにも「ルパン三世」で活躍する事になる山田康雄さん銭形警部を演じた納谷悟朗さんそして多くのコメディアンや声優を見いだし世に送り出しました。
ライフワークの一つがイギリスの名作ドラマ「名探偵ポワロ」です。
原作の大ファンだった熊倉さんはポワロを演じる事を楽しみにしていました。
マドモアゼルあなたはドアを開け床に倒れている友人を発見する。
その手にはピストルを握り締めていた。
ボンジュールジャップ警部。
名優デイビッド・スーシェと2人でポワロを作り上げていくというのが信念でした。
でもその問題がなぜか大変に灰色の脳細胞を刺激するんですよ。
ヘイスティングス。
親愛なるヘイスティングス大尉。
ポワロさんお久しぶりです。
おおモナミモナミ。
シリーズは25年をかけてついに完結。
この仕事だけは誰にも渡したくないと熊倉さんは病と闘いながら演じきり大仕事を完成させました。
最愛なる友よ。
あなたと過ごした時間は本当に楽しかった。
ええ最高の日々でした。
さようなら。
食生活ジャーナリスト岸朝子さん。
本当に豊かな食とは何か。
その大切さを人々に伝え続けました。
俳優で演出家の熊倉一雄さん。
その声と演技で朗らかな気持ちを世の中に送り続けました。
ワハハハハ。
どんなもんでい!食そして笑い。
新たな仕事を切り開きながら私たちの人生に力を与えてくれた2人でした。
2015/12/29(火) 07:20〜07:45
NHK総合1・神戸
耳をすませば 第1回「熊倉一雄・岸朝子」[字]

「おいしゅうございました」の名文句で知られる料理記者の草分け、岸朝子さん。声優という分野を開拓した熊倉一雄さん。あらたな分野を切りひらいた2人の道を見つめる。

詳細情報
番組内容
「おいしゅうございました」の名文句で知られる料理記者の草分け、岸朝子さん。「命は食にあり」という信念を貫き、料理雑誌やテレビ番組で豊かな食生活の実現に力を尽くした。今年9月逝去。俳優、演出家としても活躍した熊倉一雄さん。声優という分野をあらたに開拓し、ヒッチコック、名探偵ポワロ、「ひょっこりひょうたん島」のトラヒゲ役で人気を集めた。10月逝去。あらたな分野を切りひらいた2人の道を見つめる。
出演者
【出演】俳優・演出家…熊倉一雄,食生活ジャーナリスト…岸朝子,【語り】加賀美幸子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
情報/ワイドショー – 芸能・ワイドショー
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論

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