教えて!お天気キャスター 地球温暖化でどうなる異常気象 2015.12.29


こんにちは。
NHK「ニュースウオッチ9」の気象キャスター井田寛子です。
TBS天気キャスターの森田正光です。
日本テレビお天気キャスターの木原実です。
という事で今日はですねなんと局の垣根を越えてお天気キャスター3人がNHKに集合しちゃいました!いや〜これすごいスリーショットですよね。
豪華ですよね。
(ななみ)ななな〜!3人だけじゃな〜い!待って待って!そらジローこんにちは!Boonaちゃんようこそ!ななみワクワク!
(内山)激レアですよねこちらね。
(木原)貴重かもしれない。
(森田)初めてだと思いますよテレビでは。
という事でさまざまな事があった2015年ですが今日は異常気象と温暖化そして未来の天気はどうなっちゃうの?といった私たちのさまざまな疑問に気象キャスターの皆さんが徹底的に答えていきます!お答えします。
答えますよ!答えますよ!最初からそろってないですね。
せ〜の…。
(3人)答えます!それでは早速まいりましょう。
「教えて!お天気キャスター」スタートです。
2015年今年も日本列島を異常気象が襲いました。
一晩で1m79cm積もった町も。
…が頻発しました。
7月は猛烈な暑さ。
東京では35℃以上の猛暑日が8日も続きました。
沖縄の石垣島では記録的な風を観測しました。
(男性)すごい風が吹いています。
猛烈な台風も直撃。
被害が相次ぎました。
そして…濁流の中に多くの人々が取り残され8人が死亡する大水害となりました。
今後地球温暖化が進めば異常気象はますます頻発すると予測されています。
という事で世界のお天気キャスターたちが立ち上がりました。
温暖化で異常気象はどうなっていくのか?どうやったら防げるのか?一緒に考えていきましょう。
すごいですね。
皆さんやっぱり異常気象が多いなという時代だと感じられてますか?雨の量でいうと明らかに30年ぐらい前に比べると1.5倍ぐらいになってんですね。
強い雨が。
僕29年ぐらい天気予報やってるんですけど始めた頃…こんなに毎年毎年異常気象とか災害を伝えるって事はなかったと思うんですけどね。
今年といえば9月の関東・東北豪雨ですけれどもなぜ起こったのか日本テレビの木原さんにまず分かりやすく説明して頂こうと思いますので。
いつもと違う環境でやりづらいですけど精いっぱい頑張ってやってみたいと思います。
今年の9月まだ記憶にも新しいでしょうけれども栃木県の日光市では総雨量600mmを超えるという大雨。
これ年間降水量の1/3に相当するような記録的な豪雨が発生したわけなんですけどもその時の気象状況を振り返って見ていきたいと思います。
ポイントとしては2つの渦というのがまずあります。
これが渦なんですが天気図上ですね低気圧があります。
これ台風18号から変わった温帯低気圧。
それからもう一つ台風17号という台風があります。
いってみれば2つ台風があったという事なんですがこの2つの渦が豪雨の原因の1つです。
どういう事が起きたかといいますとまずこの温帯低気圧の渦。
これがですね南海上から湿った暖かい気流暖湿気流ですね暖湿流。
これをどんどん関東平野に呼び込んだわけですね。
これが雨雲になって雨を降らせたんですが一般的に夏の夕立を考えても雨雲というものは止まってません。
上空の西風に流されて西から東へ雨を降らせながらやがて東の海上へ離れていく。
そういう動きをするもんなんですけれども今回の雨雲は動かなかった。
これはですね18号由来のこの渦これが持ち込んだ湿った空気雨雲これがですね17号の南を吹いてくる東風これによってブロックされたんです。
ここに空気の壁ができた。
それによってこの流れがずっととどまる事なく南北に続いてしまったという。
こういう現象が起きてます。
これをですね線状降水帯というふうに表してます。
(内山)「線状降水帯」…初めて聞きますね。
聞き慣れないですね。
要するにこれは普通だったら東へ離れていくんですがここに空気の壁がありますから南から入ってくる湿った空気が一本の川の流れのように鬼怒川の辺りにですね集まってきて雨を降らせたという事なんです。
こういう現象って稀なんですか?稀ですね。
ただ起きる時には起きます。
大島の土砂災害を呼んだ大雨の時ですね。
あの時もやはり線状降水帯が現れていました。
去年の広島の場合は東西に流れるような形で線状降水帯ができていました。
こういうものが起きてきている起きるだろうという事で10日には栃木県と茨城県に大雨に関する特別警報11日には宮城県にも特別警報が出されています。
特別警報ってどういうもんだか分かりますか?特別警報…なんかすごい必死に呼びかけるんじゃないですかね?それしか分からないですけど…。
実はそのとおりなんです。
そのとおりなんですね。
(木原)これ気象庁の必死な呼びかけなんですね。
今までも注意報警報というのはありましたけどその上の段階。
今災害が起きているかもしれないという状況。
そういう状況がせっぱ詰まった状況の時にこの特別警報が出されます。
いわゆる50年に一度というような大雨とか暴風つまり人間の寿命と比べて50年に一度の現象って生きてるうちに一度あるかないか。
つまり多くの人が経験した事がないような大雨大風それが特別警報の基準だと思って下さい。
今回の線状降水帯も実は前日に我々森田さんも井田さんもそうだと思いますがコンピューターのシミュレーションで実はあの線状降水帯は出てたんですね。
出てたんですか。
(木原)「気を付けて下さい」という事は言っていたんですが結果としてああいう大きな災害が起きてしまって我々もやっぱり力及ばずというかちょっと悔しい思いはしているんですけども。
(内山)よく地球温暖化で異常気象が増えるっていうじゃないですか。
今回の豪雨とか洪水もやっぱり温暖化が原因なんですか?う〜んまずですね地球温暖化気温が1℃上昇する。
そうしますと海から蒸発する水蒸気増えますよね。
あったかいわけですからお湯になっちゃいますからね。
そうすると1℃上昇で水蒸気は7%増加する。
(内山)そんな増えるんですか!
(木原)つまり雨の量に直結するわけですから地球温暖化と水蒸気量の関連というのはですね確かにあるわけですけど今回のじゃあ豪雨がこの影響だったかというとそうとはいえないわけですね。
もちろんその背景には温暖化があるという事はいえると思うんですけれども集中豪雨とかそういうものは局地的なもので切り取る時間長さが違うんですよね。
だから温暖化だっていうふうに完全には言えないけどもでも温暖化が全く関与してないともいえないというそういうのが今でしょうかね。
なんかちょっとモヤモヤするというかね…。
異常気象と温暖化の問題をどう分かりやすく伝えたらいいのかそんな悩みを解決するため世界各国の気象キャスターが集まるワークショップが先月東京で開かれました。
森田さん木原さんそして井田さんもそろって参加されたんですよね。
はい!それをその…。
はい!
(3人)ご覧下さい!そろわないな…。
先月中旬13の国から20人を超える気象キャスターたちが東京に集まりました。
主催は…気候変動の専門家から科学的な知識を学び人々の役に立つ情報を伝えるための力を身につけるワークショップです。
森田さん木原さんそして井田さんも参加しました。
インド国営テレビ局の気象キャスター…インドでは今年異常気象で大きな被害が出ました。
5月下旬首都ニューデリーなど各地を猛烈な熱波が襲いました。
この日の最高気温は47.6℃。
クーラーのない家に暮らす多くの人々が熱中症で病院に搬送され…過去25年間で最悪の被害となりました。
貧しい途上国は気候変動のより大きな影響を受ける事になります。
インドでは多くの人たちが田舎で暮らしていますから熱波や洪水など不安定な気候から身を守る事ができないのです。
2年前のスーパー台風で9mを超す津波のような高潮に襲われたフィリピンの専門家や温暖化による海面上昇に苦しんでいる太平洋の小さな島国のキャスターも参加しました。
もう既に海岸の土地が失われています。
私たち太平洋の小さな島国は国土がなくなれば行く所はありません。
海面上昇を目の当たりにしてニュージーランドに移住する人も出てきています。
影響は深刻です。
クックやサモアなど海抜が低い南太平洋の島々。
温暖化で陸地の氷が解け海面が上昇しているところに津波のような高潮が襲いかかると被害が大きくなります。
今年3月最大瞬間風速90mを超えるスーパーサイクロンパムがバヌアツを直撃。
およそ13万人が被災しました。
今後温暖化によってサイクロンの強さが増す事も心配されています。
中国・香港の気象キャスターも今年は大変だったといいます。
中国に大型台風9号が上陸。
上海南部浙江省を中心におよそ165万人が被災。
土砂崩れも相次ぎました。
こうした異常気象を報道する気象キャスターの悩みは温暖化との関係をどう説明するかです。
さまざまな要因が異常気象にはありますよね。
どの要因でそうなったというふうに視聴者に伝えればいいのでしょう?ワークショップは皆さん参加されてどうでしたか?すごく印象に残ったのがフィリピンで2年ほど前に台風30号ハイエンていうのが上陸したんです。
で7,000人以上の方が亡くなったんですよ高潮で。
その時に高潮が来るって事がみんな分かってたんですが気象的にはその方が正しいんですけども…だからその時に気象と違う現象でも……と言うと東日本大震災の時のああいうのを皆さんイメージしますからそうだ!って逃げる事になるんですね。
「津波」は国際語になってるんですよ。
どの国でも「津波」というとあの大きな波を想像する。
伝わるんですよね。
どこの国のキャスターもやっぱりその辺は共通してみんな悩んでいてでもすごく危機感は持っていてどうやって伝えたらいいかっていうのをみんなで共有し合ったという場ではありましたよね。
(吉木)今回のワークショップでもこの異常気象もやっぱり温暖化のせいなのかという答えとかはどうおっしゃってたんですか?ちゃんと最新研究のレクチャーを受けてきましたので。
井田さんよろしくお願いします。
(井田)はいお願いします。
(ななみ)井田さん頑張って〜!
(井田)ありがとうななみちゃん。
「ニュースウオッチ9」の気象キャラクターがいましてこれ「冬ちゃん」というんですけれども冬ちゃんと一緒にお伝えしたいと思いますね。
(ななみ)冬ちゃんも頑張れ〜!
(井田)異常気象というのは……起こるような極端な現象の事を異常気象というんですね。
ですからもともとは地球温暖化の影響がなくてもある程度の確率で起こる自然現象なんです異常気象というのは。
今年の冬は例えば暖かいですよ暖冬と言われていますけれどもこうした暖冬というのはいろんな原因あるんですけれども自然のゆらぎで何年かに一度ずつ巡ってくるんですよね。
暖かい冬ってありますよね。
これまで何度かありますよね。
ですからこのところ地球温暖化で何となく冬が暖かくなっているんじゃないかと思っていたとしても今年のこの冬の暖冬は地球温暖化によるものだというのは断言はできないんです。
できないんだ。
(井田)そうなんですよ。
という事で今世界中の科学者たちが科学的に地球温暖化と異常気象の関係というのを検証しようとしてるんですね。
それが……というものなんです。
イベント・アトリビューションを研究している…イベント・アトリビューションの「イベント」とは一つ一つの異常気象。
「アトリビューション」とは地球温暖化が異常気象にどのくらい関係しているのか寄与しているのかという意味です。
スーパーコンピューターを使ってこのイベント・アトリビューションの手法で分析すると異常気象への温暖化の影響が数字で見えるようになってきたのです。
例えば2010年の夏に起きたロシアの熱波。
モスクワで連日35℃を超えるなど平年よりも7℃以上も高い熱波が2か月も続きロシア各地で熱中症や干ばつ森林火災などが発生。
まさに異常なものでした。
渡部さんたちはロシアの熱波が起きた時の海の温度や二酸化炭素濃度などをスーパーコンピューターに入力。
大気の流れを少しずつ変化させて熱波の再現実験を行いました。
そして地球温暖化の影響がない条件の時と比較する事で熱波が起きる確率がどう変わるか計算しました。
すると2010年のロシアの異常な熱波の発生リスクは温暖化によって5倍高められていた事が分かりました。
もともと自然のゆらぎというのがたまに起きるものだからそれに対して温暖化が何%影響を与えたかという事はいえないとみんな考えていたんですけれどもこれのやり方をちょっと工夫する事によっていやいや温暖化の影響がこのぐらいはあったんだよという事が言えるようになってきたわけですね。
(井田)という事でVTRに出てきたロシアの熱波の例を見てみましょう。
2010年の夏の気象条件をスーパーコンピューターに入力します。
で再現実験を100回繰り返すんですね。
そうすると地球温暖化をしているもしくはそうではない地球温暖化していないというものが確率で変わっていたんです。
つまりですね地球温暖化によって熱波の発生確率なんと5倍増えているという結果がきちんと出てきたんです。
(吉木)ちょっと…何というか…5倍って確かにすごい事なんですけど…。
(井田)ここからはですねちょっと内山さんも好きそうなピンボールマシン…好きですか?ピンボールマシン…その質問初めてなので分かりませんけど多分好きでしょうね。
無理やりすいません。
いえいえ好きです好きです。
このピンボールマシンを使ってご紹介したいと思いますね。
例えばいつもの夏が平年並み普通なのか極端な猛暑になるのかもしくは冷夏になるのかというのを確率で見てみたいと思います。
ボールが上から落ちてきますね。
こういうふうに落とした場合に大体真ん中に落ちる確率が一番高いんですね。
ただたまにはこの端の方に行くボールもありますよね。
これが自然のゆらぎで起きてくる異常気象30年に1度地球温暖化の影響がなくても起こりうる異常気象ですね。
ただ一定の確率でしか起きません。
この前提をちょっと変えてみましょう。
前提の条件を変えてみます。
地球温暖化が出てきましたね。
このように台を少しだけ持ち上げて傾けていった場合にボールが…。
(内山)猛暑増えましたね!増えましたよね。
これが地球温暖化です。
台が持ち上がっているという状態が地球温暖化になるわけです。
前提条件が崩れたんですね。
こうして増えていくのが異常気象と考える事ができるという話なんですよ。
て事は温暖化がもっと進んだらもっと傾いていくって事ですよね。
かもしれないですね。
(森田)この説明すごく分かりやすいですね。
僕らが聞いてても。
そうなんですね。
なんかお二人がものすごい真剣に見てるなと思って。
(森田)だから次どこで使おうかなと思って。
(笑い声)
(木原)パクっちゃう。
これからピンボールを買い求めに行こうと思います。
実際にやってみてそうなったら子供たちはなるほどって分かりやすいですよね。
傾けて実際のボールでやってみるとより…。
(木原)今のはCGですからね。
でも実際にやって見せたら分かりやすいですよね。
さて世界のお天気キャスターの中には温暖化と異常気象の問題を分かりやすく伝えようと工夫を凝らしている人もいます。
取材しました。
ベルギーのテレビ局で長年気象キャスターを務めている…気候変動の問題を伝えるには毎日の天気予報で視聴者に身近な気象キャスターの役割が重要だと訴えます。
科学者の発言は複雑で一般の人には難しすぎる事もあります。
そこで私たち気象キャスターが難しい話を分かりやすい言葉にかえて伝えるのです。
お天気キャスターは地元ではレオナルド・ディカプリオより知られているんですよ。
ジルさんは天気予報の中で再生可能エネルギーの発電量も伝えています。
更に気候変動の影響を受ける世界の現場に出向き自分の言葉でリポートします。
ジルさんが気候変動の問題により積極的に関わり始めたのは2011年にベルギーで起こったある出来事がきっかけでした。
8月6万人が参加するベルギー最大の野外音楽フェスティバルの会場を突然ひょうを伴った猛烈な暴風雨が襲いました。
(悲鳴)突風によってステージが倒壊。
5人が死亡140人以上がケガをする大惨事となりました。
当時ベルギーの気象予報士たちはここまでひどい暴風雨が襲うとは誰も予想していませんでした。
気象予報士の責任を痛感したジルさんは以来気候変動の脅威と対策を訴え続けています。
ベルギーだけでなく異常気象に苦しむ途上国の実情も伝えます。
(叫び声)人々に温暖化対策のアクションを促す活動も始めました。
みんな頭では分かっていても行動に移さない。
そこが課題でまだ成功しているとは言えません。
人々にアクションを起こさせる事が一番のチャレンジです。
香港の気象キャスターライナス・イョンさんもユニークなやり方で気候変動の問題を伝えています。
毎日の天気予報の中では異常気象や温暖化についてメッセージを伝えようとしても十分な時間がないんです。
だから私たちは特別番組のシリーズを作ろうと考えました。
香港で毎週放送されているこの番組。
サングラスをかけた左の男性がライナスさんです。
同僚の科学者と共にユーモアを交えて温暖化について学んでもらおうというアイデアです。
気候変動に全く関心のない人たちもいます。
若者に興味を持ってもらうため私が黒いサングラスで「メン・イン・ブラック」のように登場しクールで面白くなるように工夫しています。
こうやってメッセージを伝えるのです。
(内山)やっぱり分かりやすくユーモアもね大事ですよね。
子供たちにね伝えるにはやっぱああいうユーモアも大事ですよね。
(井田)すごく思うのは皆さんはすごい毎日の気象にすごく興味あるんですけど気候変動って言葉を出した途端に急に遠い未来の事のようで急に離れてっちゃうんですね。
なんか難しい事言ってるなって。
温暖化はそのまま気候変動につながってくという事で温暖化イコール嵐干ばつ水害みたいなそういうふうにイメージして頂くといいと思いますけどもね。
(吉木)その温暖化とその水害っていうのが結び付かないですよねなかなか。
(井田)そうですね。
日本だけの規模の話じゃないですもんね。
もうやっぱ世界規模で考えないと。
(木原)地球規模ですよね。
だから大気には国境がないので中国の方からもね何かが飛んできたりするじゃないですか。
地球全体としてはつながってますんでそういう意味ではもう全体見て考えないと。
ではここからは来年のお天気は一体どうなるのか。
わあ聞きたかった。
ものすごく気になりますね。
実は今年はあのNASAやアメリカ海洋大気局などが過去50年間で最大のエルニーニョ現象が起こっていると発表しています。
で気象予報士の皆さんエルニーニョ現象って異常気象と大きな関係があるんですよね?
(森田木原)あります。
言い切っちゃっていいんですよね?はい。
(内山)もちろんエルニーニョ自体は知ってるんですけど今「エルニーニョって何だったっけ?」っていうね。
(吉木)でも今年すごいよく聞きますよねエルニーニョ。
TBSの森田さんに教えて頂きます。
よろしくお願いします。
Boonaっていつもは天気予報一緒にやってるんですけども一芸ができるんですよ何でも。
例えば「竜巻」。
(内山吉木)お〜!芸達者!一番得意技…「森田さん」。
(笑い声)
(木原)癖ですね癖。
(内山)モノマネもできるんですね。
(吉木)多才だな〜。
そこで立ってて。
(吉木)アグレッシブ!まずそれまでに何か物事を知るためには基礎的な事が分からないとついていけないんですよね。
だから今日はその基礎的なところから行きたいと思います。
まずこちらです。
「雲」という字。
もう小学校で習います雲。
この「雲」という字は大昔の人が一生懸命考えて作り出した漢字なんですよ。
まず2つに分解すると上の部分は雨が落ちてくる雨粒の形なんですねこれ。
雨粒。
で下のこのモヤモヤッとしたところこれは何かというと地面からフニャフニャフニャって上の方に上ってく空気の流れを表してるんですね。
上昇気流。
つまり「空気がモヤモヤと上の方に上がっていくと雨になる」という字なんですよ。
これがね気象学の基本中の基本。
簡単にいうと上昇気流。
空気が上に行くと雨が起こります。
反対に上から下に空気が降りてくると晴れます。
気象の世界はこの2つしかないんですね。
じゃあこちら。
「エルニーニョ現象」とは何か。
ここ日本列島です。
赤道があります。
東部太平洋の海水温が高い事を「エルニーニョ」といいます。
もともとは「神の子供」というような意味なんですがクリスマスの時にこの辺りが海水温が高くなる事がよくあったのでそれで「エルニーニョ」という言葉が付いたんですね。
それがですね今年はどうなってるかというと日本列島。
見て下さいここ。
ず〜っと海水温の高い所があるでしょ。
すごい規模がでかいのでこのエルニーニョは「ゴジラエルニーニョ」。
「ゴジラ」っていうのは「最大級」って意味でそういうすごいエルニーニョが今年は起きてますよっていうのが言われてるんですよね。
じゃあこのエルニーニョが起こるとどうなるかという事でこちら。
さっきどう言いましたか?暖かい所の空気が上昇するって言いましたね。
海水温が高いという事は海水温の上の暖かい空気はどうなります?暖められて上に行きますね。
上に行くという事は上昇気流ですから雨ですよね。
だからこういう南米なんかで大雨が降るんですよエルニーニョの時には。
もちろんこの辺りも大雨が降りますが上に行った空気はず〜っと遠くの方に行って降りてきます。
降りてくる所には空気がたまって高気圧晴れる所この空気が降りる所は干ばつになります。
同じようにず〜っとこちらの方にも空気が降りてくる所があってここも干ばつになるんです。
日本はというとその高気圧からまた周辺部を回ってくる空気がず〜っと湿ったのが入ってきて北側の冷たい空気と触れ合ってその上にまた上がってく。
そうすると大雨が降ったりとか冷夏になったりするんですね。
逆に冬ですと低気圧がすぐそばまでやって来て雨を降らせる回数が増えたりするんですね。
日本列島だけについていうと暖冬になる事が多いよと。
実際にどういう事が起こるかというとまず…今年遅れてましたよね。
(内山)遅れてますね。
更にこの前スキー場からは雪不足でなんとかして下さいというような悲鳴のような声も聞こえるし。
ふだんの冬型気圧配置よく見ますよね。
西高東低。
西に高気圧東に低気圧。
エルニーニョの時はどうなるかといいますと南側に低気圧が通るようになるんですね。
そのために降水確率が上がって雨とか雪が降りやすくなる。
でも太平洋側では突然大雪が降ったりとかそういう事が考えられますよね。
でそういう事が起これば野菜も高騰する。
鍋の一番いい季節にね野菜が高くなると…。
ちょっときついですよね。
だから今年の冬はエルニーニョが起きてるのでこのあと干ばつとか冷夏とかそういう事も警戒しないといけない年になると思いますね。
さて今年国連WMO世界気象機関の呼びかけで世界の気象キャスターが2050年の天気予報を行いました。
これには井田さんと木原さんも参加されたという事なんですよね。
作りましたよね。
もう既にですねVTRはウェブで公開しているので世界のキャスターの天気予報その一部をですねちょっとご覧頂きたいと思います。
世界の気象キャスターが伝える2050年の天気予報。
これらの予報は科学者たちの研究成果に基づいて作られました。
タイでは双子の気象予報士が異常気象による食糧危機を伝えました。
2050年の天気予報日本からも参加しました。
こんにちは。
気象予報士の井田寛子です。
お彼岸になっても厳しい暑さが収まりません。
仙台では32℃。
東京は8月に40.8℃を記録しましたがこれまでの真夏日日数は連続して50日以上。
熱帯夜は60日以上に達しています。
去年から参加している井田さん。
今年は東京湾から高潮と海面上昇の脅威についてリポートしました。
(井田)もしこのままのペースで地球温暖化が進行すればこの水門でも首都東京を守りきれないおそれが出てきているのです。
国連がまとめた世界の科学者たちの最新予測によると2100年に世界の海面水位は…しかし近年更に速いペースで南極やグリーンランドの氷が解けているという研究もあり2050年頃に60cm程度海面が上昇する可能性もあります。
それくらい大した事ないと思うかもしれませんが実はこれは…
(井田)現在の国の想定では東京湾では最悪の場合…中には5mも水につかったり2週間以上孤立する地域が出てきます。
更に将来より一層高潮の脅威を増してしまう事態が日本各地で進行しています。
(井田)80cmの海面上昇によって2100年日本の砂浜は91%消失してしまうという衝撃的な予測もあります。
既に海岸浸食が進んでいる世界遺産三保松原では海面上昇が追い打ちをかけ対策をとらなければ美しい砂浜と富士山の絶景が見られなくなるおそれもあります。
こんばんは〜!
(子供たち)こんばんは〜!はいありがとう。
僕たちはこうして毎日たくさんの子供たちと一緒に天気予報を伝えています。
今年でなんと28年目。
(一同)世界の皆さんこんばんは!そらジローぽつリンくもジロー今日はみんなで50年後の日本を見てみようか。
それ〜!
(木原)これが50年後の春だよ。
(そらジロー)あれ?桜が咲いてない。
(木原)入学式のシーズンにはもう桜は散っちゃってるんだ。
そして50年後の夏。
(ぽつリン)砂浜が無くなってる!
(木原)南極の氷が解けて海水が増えたから砂浜が沈んじゃったんだね。
そして50年後の秋。
(ぽつリン)紅葉になってないわ!
(そらジロー)まだセミも鳴いてる。
(木原)そしてこれが50年後の冬。
(くもジロー)やっと紅葉になったけど今度は雪が降ってないよ。
(ぽつリン)紅葉のクリスマスツリーって変な感じ。
(一同)こんなの嫌だ〜!木原さんどうすればいいの?ごみを減らしたりエネルギーを無駄にしない。
緑を大切にする。
みんなの努力で未来の環境は大きく変わっていくはずだよ。
2050年を待たずに僕たちは温暖化によって経験した事のないような異常気象に直面しています。
国と国とが互いに手を取り合って地球全体の環境を考え対策を進めていきましょう。
(内山)う〜ん。
いやぁちょっと海岸が無くなってしまうってもう考えられないですよね。
しかも91%が今無くなるんじゃないかと言われてるんですか?
(井田)もうほとんどですよね。
(内山)ほとんどだから無くなってしまうんですよね。
砂浜ってなだらかですからね。
少しの海水の上昇でもかなりの面積が波の下になっちゃうっていう事ですよね。
(井田)決して大げさに言ってる事ではなくてちゃんと科学的根拠に基づいて想定した天気予報ですからもうなりうるんですよね。
(木原)実際なってて12月にセミが鳴いてるってニュースがありましたね。
今月に入って。
それから本当にクリスマスのシーズンまで紅葉があったり。
そこにこう飾れば飾れちゃいますからね。
1か月もずれてるんですよ。
2050年待たずにね。
そうですよね。
(森田)一番怖いのは紅葉まだ遅れてもする場合はいいんですよ。
で木自体が滅びてしまうと例えば木って我々木だけだと思ってるけど木の根っこには小さな微生物がいっぱいいるんですよ。
バクテリアとか。
木が枯れるという事はバクテリアも死んじゃうって事なんです。
そうするとそれを餌にする昆虫も駄目になる。
更に昆虫を餌にする鳥も駄目になるっていう事で…だから温暖化というと気象の事ばかり皆さんね我々気象予報士だからそうなんですが気象だけではなくて実は生態系そのものが変わってくのが一番恐ろしいシナリオなんですよ。
生態系が変わってしまうという。
しかも取り返しがつかないというかある瞬間までは全然分かんないんですよ。
ある瞬間からトーンと…。
木が枯れ始めるとかね。
元に戻れないです。
温暖化の危機に世界はどう立ち向かうのか。
今月国連の会議COP21で18年ぶりに温暖化対策の国際合意「パリ協定」が採択されました。
画期的なのは気温上昇を産業革命前に比べて…今年の世界の平均気温は既にプラス1℃に達しCO2の削減は待ったなし。
目標の達成はとても険しい道のりですが人類は新たな一歩を踏み出したのです。
(森田)COP21ねほんと合意ができてよかったと思いますよね。
(井田)ほんとに歴史的なね。
(木原)先ほど森田さんおっしゃったようにある瞬間から歯止めが利かなくなるというのは例えばCO2だけが温室効果ガスじゃなくてメタンとかメタンガスとかありますよね。
泥の中にあるのが今はシベリアの方では凍ってますから放出されませんけど温暖化してきてツンドラが解けてくると沼とか泥の中からフツフツフツフツとメタンが湧いてくるともうそれ大変な温室効果ガスが出ちゃうわけですね。
今度人間が凍らせようと思っても凍らせる事はできないわけで戻れない点があるんですよ。
だからそこに行く前になんとか落ち着かせようと。
今回は「1.5℃」という数字を出してますね。
目標として。
1.5℃までの上昇に抑えようと。
これ非常に厳しい事であらゆる手を尽くさないと今現在の技術力ではなかなか難しいと思います。
国の事情もありますからね。
いまだに石炭を燃やさないと暖房が使えないという地域がいっぱいあると。
じゃあどうしようかという。
代わりのアイデアとかね技術を先進国が援助しなきゃいけない。
そういう枠組みも合意の中にはね入ってますから。
(内山)そうですよね。
じゃないと本当に国が海に沈んじゃう所も出てきたりするわけだしで今おっしゃったほんとに人間だけじゃなくて生物もねそういう被害に遭うっていう。
(吉木)いやでもほんとに災害っていうのはあとから後悔するっていうのはもう遅いじゃないですか。
時すでに遅しってなってしまったら元も子もないので。
そうですねほんとに。
だって僕40℃超えたらもうロケできないですよ。
(笑い声)もうグルメレポートできないですよ。
今生活してる私たちがどう生活するかで未来が変わっていく事を皆さん感じてもらいたいんですよね。
すごい遠い話のようですけれども本当に行動するチャンスをもらったと思って一つずつの行動をもう一回見直してもらいたいなという。
海外の人と話していると本当に地球温暖化の対策って前向きで楽しい事利益になる事って考えてるんですよ。
ただ日本人の場合ってやっぱり暗かったりつらいとか抑えなきゃいけないって。
やっぱりそこ根本的に変えて楽しみながら明るい未来を築いていこうって思いました。
「雨が降るとその雨を止める事はできないから天気予報は意味がないんじゃない?」って言う人が稀にいるんですよ。
雨が降る…しょうがないんだから。
だけども本当はそうじゃなくて雨が降るって事が分かったらその雨に対して対応できるわけですよね。
自分の行動を変えるわけですよね。
雨だったらあるいは台風が来るんだったらあした海行くのやめようみたいな。
だから天気とかは変えられないけども行動を変える事によって利益を得るというか命を守るという事ができるんですよね。
温暖化もそういうところがあって温暖化って止められないんじゃないのみたいなDialogue:0,0:42:432015/12/29(火) 12:15〜12:58
NHK総合1・神戸
教えて!お天気キャスター 地球温暖化でどうなる異常気象[字]

井田寛子・森田正光・木原実という人気お天気キャスター3人が、地球温暖化と異常気象について分かりやすく教えてくれる特番。世界の気象予報士が東京に集合、衝撃映像も!

詳細情報
番組内容
猛暑に鬼怒川決壊、エルニーニョと異常気象が頻発した2015年。井田寛子、森田正光、木原実の人気お天気キャスター3人が、地球温暖化と異常気象について分かりやすくプレゼン。▽パリ協定が採択されたCOP21のために世界の気象予報士たちが東京に集結!▽2050年の天気予報、温暖化の未来はどうなる?衝撃映像も▽そらジロー(日テレ)、Boona(TBS)、ななみも応援!冬ちゃんも!【ゲスト】内山信二、吉木りさ
出演者
【出演】気象予報士…井田寛子,森田正光,木原実,【ゲスト】内山信二,吉木りさ,【司会】西堀裕美
キーワード1
地球温暖化
キーワード2
異常気象

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 天気
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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