(美輪子)はい!引っ越し祝い。
おめでとう!ねっ?お姉ちゃま。
(富貴子)でもそれは。
急に一緒に住むってわけには…。
(美輪子)どうしてよ?どうして駄目なのよ?
(富貴子)美輪ちゃん。
赤ん坊のときから25年よ?その間あなたのこともお母さんのことも分からないままに生きてきて。
やっと血のつながりが分かったからって。
(美輪子)分かった以上は一緒に住むべきよ。
あなたは私のお姉ちゃまなんだもの。
(富貴子)そうはいかないの。
私だって都合があるし。
(美輪子)富貴子。
あなた今どこに住んでるのよ?どういうところにいるの?
(富貴子)マンションを借りてるのよ。
(美輪子)どこのマンションなの?
(富貴子)東急線沿いの小さな部屋なんだけど。
(美輪子)一人なの?
(富貴子)ええ…。
アメリカから帰ってきてずっとそこに。
(美輪子)だったらうちに来てうちからこのサロンに通えばいいじゃないの。
九品仏からすぐよ。
自転車でだって通えるわ。
ねえ。
そうしましょうよ。
お母さんだってどんなに喜ぶか。
富貴子。
お互いに今までばらばらに生きてきた分を取り戻さなくちゃ。
(富貴子)そうできればいいんだけど。
(富貴子)でも駄目なの。
そう簡単にはいかないのよ。
(美輪子)どうしてよ?どうしてそんな他人行儀なことばかり言うのよ?なぜ私の気持ちを分かってくれないの?私たちは正真正銘の姉妹なのよ?しかもあなたは亡くなったぼたんの生まれ変わり。
一緒に暮らさない方がおかしいわ。
ねえ。
お願い。
富貴子…。
富貴子。
私のそばに来て。
このままばらばらじゃ嫌。
さみしいわ。
せっかく巡り合えたっていうのに。
嫌…。
嫌。
お姉ちゃま!
(泣き声)美輪ちゃん。
諦めてちょうだい。
何も一緒に住まなくても会いたければいつだってこうして会えるのよ?ねっ?お互いの自由を尊重しましょうね?あなた一人で住んでるなんて嘘ね?えっ?誰かと一緒に住んでるんだわ。
それで都合が悪いんだわ。
じゃあそういうことにしておきましょう。
私よりも大事な人がいるってことね?本当にわがままなのね。
美輪ちゃんって。
そこがカワイイけど。
ごまかさないでよ!ちゃんと分かってるんだから。
・
(足音)・
(ドアの開く音)
(神崎)あっ…。
後でまた来ます。
待って。
私もちょっと用事が。
そっちに行くわ。
美輪ちゃん。
ごめんなさいね。
ふん。
そういうことなのね?ああっ!?このままでは済まさねえ!
(峰靖)いったいどういうことなんだよ?あれほど接近するなって言ってあったのに。
すみません。
(峰靖)危なかったんだよ。
向こうが気付かなかったからよかったようなもんだけど。
(伊佐子)何もわざわざ一番危険なところに行って地雷を踏むようなまねしなくたって。
最初は一目見たいと思っただけなの。
どうしても会いたくて。
あれが妹だと思うとたまらなくて。
じゃあ富貴子の方から?名乗るつもりはなかったのよ。
でも半年して向こうの方から私を捜し当てたの。
(伊佐子)恐ろしいもんだねぇ。
やっぱり魂が呼び合うのかねぇ?
(峰靖)あちらの家には行ったのかい?いいえ。
でも母親とは…。
(峰靖)えっ!?会ったのか?そんなつもりはなかったんだけど。
(伊佐子)駄目だ駄目だ。
そんなことしちゃもう駄目だ。
だってどうしようもなくて。
かわいそうなんです。
妹も。
私という姉とやっと巡り合えて。
「お姉ちゃま。
お姉ちゃま」って慕ってくるのに。
(伊佐子)でもねあの女さえいなけりゃ多摩留は死ななくても済んだんだよ?女子高生の分際で多摩留を誘惑してたらしこんですぐ嫌になって捨てようとするから多摩留だってストーカーになっちゃったんじゃないか。
だって私にとっちゃ妹は妹です。
(杉彦)母さん。
母さん。
お片付けは?
(伊佐子)はいはい。
こっちはわが子同然で育てたつもりでも悲しいよね。
やっぱり血は水よりも濃いってことかね?・
(眞澄)美輪子。
何を捜してるの?何かないの?何か。
(眞澄)何かって?この家には大工道具はないの?のこぎりとかないの?
(眞澄)のこぎりなら庭の物置小屋にあるわよ。
何に使うの?ねえ。
美輪子。
富貴子を連れてくるようにってパパが言ってるのよ。
富貴子を?
(眞澄)パパも会ってみたいんですって。
分かってるわよ。
必ず連れてくるわよ。
首に縄をつけてでも引っ張ってくるわよ!フフフ…。
フフッ。
フフッ。
ハハハ…。
・
(ドアの開く音)
(神崎)あっ。
いらっしゃい。
これ返すわ。
(一同)あーあ。
ハハハ。
あーあ。
(神崎)何だこれは?あなたが作ったんでしょう?世界に一つしかない手作りの作品。
富貴子にプレゼントしたんでしょ?
(神崎)何であんたが?富貴子が私にくれたのよ。
隣のかばん屋からプレゼントされたけどセンスが悪過ぎるから嫌だって言って。
(笑い声)えっ?富貴子さんが?そうよ。
でもね私だっていくらタダでもらってもこんなセンスの悪いもの恥ずかしくて持ち歩けないわ。
だからお返しします。
でも。
だからってどうしてここまでむちゃくちゃにする必要があるんだ?こんな汚らわしいポシェット徹底的に破壊してやんなきゃあなたはいつまでたってもいい気になって作り続けるでしょう?だから壊したの。
大変だったのよ。
女の細腕でここまで破壊するのは。
本当にバカみたいに頑丈にできてるんですもの。
(笑い声)こんな独り善がりなバッグいくら作り続けても世の中のためには何の役にも立ちやしないわ。
ねえ。
そう思わない?
(明子)どれもこれもださいわね。
(神崎)おい。
(明子)このげすな感覚。
(遥香)作り手の自己満足だけね。
(神崎)おい。
ちょっと。
(遥香)いやらしいナルシシズムがぷんぷんにおっちゃって救われないわ。
(冬美)こんなものが売れるわけないわね。
こんなちんけな代物。
(神崎)触るな。
出ていけ!言っときますけどね神崎さん。
これ以上姉に余計なものをプレゼントしないでもらえませんか?姉!?じゃあ…。
そうよ。
私たちはれっきとした姉妹なのよ。
誰がどう邪魔立てしようと切っても切れない絆で結ばれた姉妹なのよ。
そうか。
あんたは妹か。
こういう妹がいるってことあなたもよく認識しておいてちょうだい。
こんな迷惑なものはあまり作らないようにちゃんと反省するのよ?じゃあお邪魔しました。
(冬美)お邪魔しました。
(明子)お邪魔しました。
(遥香)お邪魔しました。
(笑い声)妹か。
あれが。
まだお仕事?
(神崎)いや。
暗いわね。
電気つけるわね。
はい。
差し入れよ。
そろそろおなかがすくころだと思って。
一緒に食べましょうね。
お茶を入れるわ。
やめてくれ。
えっ?どうしたの?今は食べられない。
おなかすいてないの?富貴子さん。
一人で食べてくれないか?そう。
いいわ。
篤さん。
体の具合でも悪いの?いいや。
だったらいいけど。
あら。
新しいバッグができたのね。
まあ。
とてもユニークね。
これ何の皮?若い女性向きね。
売れるといいわね。
売れやしない。
えっ?どうして?これは売れるわよ。
センスが面白いもの。
今どきの若い女の子って通り一遍のものじゃなくて人とは違ったものを持ちたがるのよ。
そういうものを自分で発見するのが楽しいのよ。
篤さん。
少し宣伝も必要かもしれないわ。
ネットで宣伝を立ち上げたらどうかしら?私がお手伝いしてもいいんだけど?・
(ドアの開く音)
(男性)神崎さんの店ですね?
(神崎)あのう。
どなたですか?
(男性)ニコニコ金融の融資のことですがどうしたんですか?電話しても居留守ばっかりじゃないですか。
(神崎)どうもすいません。
(男性)おい。
ふざけんなよおい。
(男性)利息も払い込まねえでお前こら。
どういうこったよ?
(男性)神崎さん。
うちとしては返済していただけることを前提にお貸ししてるんですよ。
お金をあげたわけじゃないんですからね。
篤さん。
警察を呼びましょうか?
(男性)篤さん?おい。
何だよ?この女。
(男性)奥さんですか?奥さんですよね?利息のことは相談させていただきますから奥さん名義で新たに借りていただいて返済していただくわけにはいきませんかね?えっ?私が?
(神崎)違う!違う!
(男性)おう。
体で払ってもらってもいいんだけどなぁ。
(神崎)この人は関係ないんだよ。
いいから行きなさい。
早く!
(神崎)くそ!やめろ!行きなさい!早く!払いたくても無いものは無いんだよ。
何でもいいから持ってけよ。
ほら。
これでも持ってってくれよ。
ほら!ほら!ほら!とっとともう帰ってくれよ!ほら!・
(男性)神崎よ。
借りたもん返すのが道理ってもんだろうが。
・
(神崎)無いものは無いんだよ。
・
(神崎)金が無いんだよ。
・
(男性)開き直ってんじゃねえよ。
・
(男性)この野郎。
あしたまでに用意しろっつってんだよ。
・
(神崎)無理だよ!・
(男性)うるせえ!・
(殴る音)・
(物音)やめて!何すんのよ!
(神崎)うおー!うおー!
(叫び声)篤さん!篤さん!やめて!お願い!んっ!キャッ!?こんな赤字の店どうにもならない。
壊せばいいんだよ。
いくら作ったって売れやしない。
やめて!やめてちょうだい!・
(機械音)あのう。
あのう!この店の人は?
(男性)知らないよ。
閉めちゃうんですか?この店。
(男性)あっ。
あの人に聞いてみな。
(女性)あら。
どうしたんでしょう?神崎さんは。
(女性)いなくなっちゃったのよ。
家主から頼まれたから取りあえず中を片付けて新しい借り手を見つけるつもりなんだけど。
どこにいるんでしょう?携帯に電話してもつながらないから心配してたんです。
(女性)私も連絡が取れないから困っちゃってんのよ。
借金取りから逃げ回ってどっかに失踪しちゃったんじゃない?いくら赤字だからってね。
おんなじように店を出してもあなたは立派にやってるのに。
あっ。
危ない。
大丈夫?やっぱり男って駄目ね。
はっ!?・
(ドアの開く音)・あら。
今日はお休みなの?あなたね?あなたの仕業ね?私が大切にしてこの壁に飾っておいたのにいつの間にかなくなってると思ったら。
どうしてよ?どうしてこんなひどいことをするのよ?だってこんなセンスの悪いポシェット富貴子に似合わないんですもの。
仕事だけが生きがいの人なのに。
篤さん。
これを見て自分自身がめちゃめちゃに壊されたと思ったんだわ。
私は許せない。
お姉ちゃまがこんなぶざまなもの肩からぶら下げてるなんてもうそれだけで犯罪よ。
絶対許せない。
何言ってるの?あなたのせいで篤さんは失踪したのよ。
失踪?どこかに行ってしまったの。
連絡も取れないの。
ふん。
そろそろ秋も終わりだしカマキリ野郎は雌に食い殺されていなくなってもしかたがないんじゃない?あなたっていう人は!んっ!いいわよ。
いくらでもぶてば?ぶちなさいよ。
気の済むまで殴りなさいよ。
お姉ちゃまが冷たいからよ。
実の姉妹なのにひどい。
どうしてうちに来てくれないの?なぜ一緒に住んでくれないの?死んだぼたんはもっと優しかったのに。
どうして?どうして富貴子は!好きだったのね?あんなカマキリ野郎を愛してたのね?許して。
許して。
お姉ちゃま。
許してちょうだい。
ごめんなさいね。
でも私たちは並の姉妹とは違うのよ。
お姉ちゃまはぼたんの生まれ変わり。
何でも私の言うとおりにしてくれなくちゃいけないのよ。
2015/12/29(火) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #22[字][デ]【愛の証をバラバラに…】
富貴子(黛英里佳)との再会を運命だと喜ぶ美輪子(逢沢りな)は、眞澄(伊藤かずえ)と会わせようとバラ園へ誘う。そうとは知らぬ富貴子は、眞澄と言葉を交わす事に…
詳細情報
番組内容
富貴子(黛英里佳)は、峰靖(安藤一夫)から美輪子(逢沢りな)と会っていることをとがめられる。富貴子に、どうしても実の妹や母への思いを捨てられない、と訴えられ何も言えなくなる峰靖だった。
美輪子が富貴子に、九品仏の家に引っ越して来て欲しいとねだってくる。さすがにそれは危険過ぎると、妹の頼みを断る富貴子だが美輪子は引き下がるつもりはなかった。
番組内容2
美輪子は、富貴子が営むネイルサロンの隣で皮革の工房を開いている神崎(内野謙太)こそ、富貴子の彼氏だと確信。富貴子が神崎から贈られ、ネイルサロンに飾っていたハンドメイドのポシェットを持ち去り、憎しみを込め切り裂いてしまう。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
西本淳一
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
ご案内
公式サイトやSNSなど、充実のウェブコンテンツは「昼ドラ」で検索!!
【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/botabara/
【公式ツイッター】
@hirudoraTokaitv
【公式LINE@】
hirudora
【YouTube】
東海テレビ公式チャンネルも好評配信中!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:38080(0x94C0)