今ここから脱出したい!そんな人々の心に眠る願望を体感できるゲームがあります。
制限時間内にチームワークを駆使していくつもの謎を解く。
知恵と体力を振り絞り閉ざされた空間を脱出した時の達成感が魅力です。
その快感は世界共通。
ブームはアジアから全米にまで広がっています。
大人をも夢中にさせる体感型ゲームを生み出したのが今回の先生加藤隆生さんです。
よろしくお願いします。
どうぞどうぞ。
世界中で熱狂を巻き起こすゲームは小さな事務所の一室から生まれます。
脱出の鍵となる謎はスタッフと共にテストを重ねて作り上げていきます。
すごくいい謎やからもうちょっとうまく隠したらそっちが大謎になるんじゃないかな。
もう一回それでやってみる価値はある。
物語に入ったみたいな感じになるっていう事とあと謎が解けた時の快感と解けなかった時の悔しさ。
なのでその3つがきちんとあるのかどうか。
常に謎作りに追われている加藤さん。
合間を縫って授業の打ち合わせです。
加藤さんがやるからこその授業ってどんな事がおもしろいかなと思ってて…。
リアル脱出ゲームを作りましょうって仮に言うとするじゃないですか。
例えばじゃあここが月面基地って事にしましょう。
仮になったとして。
今学校にあるものだけを使ってここが宇宙みたいに思わせるにはどうすればいいかな。
今どんな危機が起こってるのか酸素が…。
ヒットゲームを生み出し続ける加藤さんの頭の中はいつもさまざまなアイデアでいっぱいです。
加藤さんは大学卒業後夢を捨てきれず就職した会社を辞めてミュージシャンの道へ。
しかしなかなか芽が出ず30歳を前に猛烈な不安に襲われます。
周りのミュージシャン売れてる人たちはもうみんな学生時代からボ〜ンと売れちゃったりとか。
小中高大学の友達とかはみんないいところに就職したりとか結婚して子どもができたりとかしていくっていう20代の中で僕はず〜っと売れないミュージシャン。
そこで加藤さんはバンドの宣伝のためフリーペーパー作りを始めます。
人生はおもしろいもの。
読者を増やすため企画したおもしろイベントがバンドより世間の注目を集めます。
2年間イベント作りを続けた後体感型脱出ゲームを思いつきました。
参加者が熱狂する姿にかつてない興奮を覚えた加藤さん。
ゲームクリエイターとして生きる事を決心しました。
本当に一番何が違うかって…でもとはいえ何で選ばれる…。
少なくとも僕には資格があったと思ってて。
それはやっぱり動いたからだと思いますね。
加藤さんの母校京都市立光徳小学校です。
翌日に授業を控え28年ぶりにやって来ました。
6年2組が今回の舞台。
お邪魔します。
これが動くんですよね。
明日からの授業で後輩に何を伝えるのでしょう?テレビゲームとかそういうものだけが遊びじゃなくって自分たちで作り出す事がおもしろいっていう事がまずできるんだと。
遊びとか楽しいとかおもしろいっていう気持ちは今周りにあるものをササッと集めれば作れるんだっていう事が大切な事なんじゃないかな。
新たな遊びを生み出したゲームクリエイター加藤さんの授業が始まります!
(拍手)リアル脱出ゲームというイベントを企画されている…。
うっ…!先生先生!?先生先生!大変な事になってしまいました。
みんなの大好きな中村先生が死んでしまいました!でも安心して下さい。
まだ生き返らせる方法があります。
この教室には実はある謎が既に隠されています。
その謎を全て解き明かす事ができれば先生を生き返らすための薬が手に入ります。
実は加藤さん前日教室に謎を仕掛けていました。
最初の謎は皆さんの椅子の下に隠れています。
さあそれでは始めましょう!制限時間は15分です。
それではゲームスタートです!いつもの教室が楽しい遊びの空間に変わります!クラス全員で何かをやる時は名簿順に並ぶのが定番のようです。
そして次なる謎が!あった!あれ下げてみて。
下げんの?
(歓声)クーピーの中!中見て!あった〜!いくつもの謎を解いて薬を見つけ出しました!見つかりました!先生!先生生き返って下さい!やった〜!生き返った〜!なんとですね8分で謎が解けました。
(一同)イエ〜イ!つかみはバッチリ!さあいよいよ授業の本題です。
ゲームって何なのかっていうのを。
夢みたいな事を現実世界で体験する事をゲームと僕らは言ってます。
鬼ごっこって鬼に追いかけられるっていう夢みたいな事は普通できないじゃん。
鬼に追いかけられた事ある人いる?いないよね。
普通は鬼に追いかけられない。
でも鬼に追いかけられるみたいなヒリヒリした体験もしてみたいなって考えた人が昔いてその人が「あっ鬼ごっこだ」って思いついたんだよきっと。
このゲームすごく作るの難しそうじゃん。
そんなのどうやって作るんだろうと思うけど実は簡単に作れる。
今回はみんなの最近あった失敗。
最近じゃなくてもいいので失敗。
失敗した体験からゲームを作ってもらおうかなと思ってます。
(一同)え?失敗をゲームにする。
どんなふうに考えればいいのでしょう?おもしろ解決法を考えるってのがすごく大事な事で。
例えばリコーダーで上手に吹けなかったとする。
じゃあ解決策としては笛ともっと仲よくなるために何かぶつかっちゃ駄目なイライラ棒って分かります?イライラ棒みたいなやつをリコーダーでやってみようと。
それがうまくできたらもうリコーダーでは失敗しないっていうゲームにするという事でもいいんですね。
つまり失敗をして練習をするのは普通の解決法。
そうではなくおもしろ解決法を考えて失敗をネタにゲームを作るのが今回の授業なのです。
夢みたいな解決策を体験できるようなゲームを考える。
これができれば皆さんの人生は遊び心に包まれた退屈になったらすぐじゃあゲームでも作るかって思えるおもしろ人生がやって来ます。
ルールはこの2つ。
明日は全員でゲームの発表会をします。
失敗とおもしろ解決法を考え1人1つのゲームを作ります。
とむ君の失敗は大玉転がしで負けた事。
解決法はもう一度やり直す。
りょうたろう君の失敗はリレーで抜かせなかった事。
解決法は足を速くする薬。
…っておもしろ解決法になってる?先生…。
おっはいはい。
ピアノの発表会で失敗したゆうきちゃん。
考えたのは全ての鍵盤を7秒以内に弾くというゲーム。
7秒以内に弾くって。
7秒以内に弾けたらそれはもちろんうまくいくんだけどそんなに現実にとらわれなくてもいい。
これってさ…たいせい君は…。
一生懸命作った図工の作品を潰してしまったたいせい君。
解決法は強力な接着剤をつける事。
学校に来るまでの間のあの時間を思い出してそれをゲームだと思えば。
あの日の朝の事を君後悔してる訳でしょう?もっと上手に運べばよかったなっていう…。
それをもう一回再現するゲーム考えてみたらどうかな?できる?できそう?ちょっとやってみて。
考え方の糸口はつかめたかな?子どもたちの頭はなかなか普通の解決法から抜け出せないようです。
夢みたいな発想でゲームを作る。
少しハードルが高いのではないですか?
(チャイム)失敗までは書けるんだよね。
解決法だってある程度は書けるんだけど…。
それをゲームにするっていうのはムチャクチャな話だよね。
いやちょっとこれは…現実にとらわれ過ぎて夢のような発想へと飛躍できない子どもたち。
かつての自分が重なります。
うわ…懐かしい。
うわっ!ちんちくりんやん。
30年ぶりに見ましたね卒業アルバムというものを。
友達と少年探偵団を作り冒険を夢みていた加藤さん。
しかし現実の小学校生活は平凡な毎日の連続でした。
何かおもしろい事ないかなってずっと思ってた。
卒業の時に書いた作文です。
「ぼくはトムソーヤなどにあこがれこんな冒険の出来る事をずっと願っているがこんな都会で出来るはずがなく一番やりたいことが出来ないのに夢中になることなどあるはずないのである」。
冷めた子どもだったんじゃないかなあ。
どうせ駄目だろうと思ってたしどうせ作れないと思ってたし。
すごいものっていうのはすごい人が考えるんだと思ってたし。
すごい事っていうのはテレビの中でしか起こらないと思ってたし。
冒険がしたいけどできないからつまんねえって言ってたけどいやできるよと。
見方や考え方を変えるだけで「トム・ソーヤ」とか「ハックル・ベリー」とかの冒険って別にできるんだから。
それを何か今できる方法を考えてみたらって言いたいけど。
どうやったらもっとおもろなるかっていう事を必死で考えてほしいので。
あの質問がある人とかちょっと考えてるけどちょっと止まっちゃったとか「これで完成したけどどう思う?」みたいなのがあったらどんどん僕んとこに持ってきて下さい。
じゃ続けて下さい!失敗をもとに夢みたいな発想でゲームを作る。
しゅうけん君が書いたのはクレーンゲームの景品を取る時機械に腕が挟まり抜けなくなった事。
なんとランドセルを使って腕が挟まった状況を再現しゲームにするというのです!どんなゲームにするのかアイデアは?ハハハッ!あれムズイな。
挟んでみた?じゃあさ両手があったら簡単やけど片手やったらメッチャ難しい事って何?ええやんええやんええやん!紙破るってメッチャええアイデア。
それで一回考えてみてくれへん。
ありがとうございます。
アイデアを加藤さんから褒められしゅうけん君やる気モードです!おもしろくするためにもう一息!図工の作品を潰してしまったたいせい君。
あの日を再現するゲームは?OKや。
ええやん!作品を潰さないようにバランスを保つゲームを思いつきました。
学校にあるもので何か作れへん?もっとおもろいもん。
具体的にどんどん考えていこうぜ!邪魔するやつがいるとか。
途中で手を出してくるとか。
もっともっとおもろなるやろ。
そういう何を持つのかとか歩きながらどんな事が起こるのかっていうのをもっといろいろ考えてみようかいっぱい。
ちょっと考えてみて。
でもできてるよそれは。
せ〜の!
(手をたたく音)とことん子どもと向き合う加藤さん。
一人一人の発想を引き出していきます。
お願いします。
「ゲームではなくピアノの練習になっている」と駄目出しされていたゆうきちゃん。
代わりにピアノを弾いてくれる楽器ロボットを作るゲームを考えました。
あっいいじゃない?あとはどんなロボット作るかやな。
どうした?何でそんな不服そうなの?不安?できるかどうか。
考えても分からんへんこれは。
楽器がいっぱいある所行かんと。
今頭で考えてたって作れへんから。
楽器がいっぱいあるとこで考えてみよ。
いいよでも。
きっとおもしろくなると思う。
本当に。
不安そうやな。
大丈夫?はい。
じゃあ後で見に行こう。
ありがとうございます。
ゲームなんて頭の中で企画書書いたってそんなのもできてないのと一緒だから。
実際に空間で広げて遊んでもらって初めて100だから。
そうやってちゃんと遊んでもらえるっていう場所までなんとかして持っていくっていう事が今一番大事なんじゃないかなと思います。
ゆうきちゃんがやって来たのは音楽室。
実際に楽器を前にしてみたらロボットのイメージが少しずつ湧いてきたようです。
全員のゲームを完成させたい加藤さん。
アイデアを練り続けます。
これどういう事?どういう事?だからこれをとび箱の下を一番最後からローマ字にしていって…。
何かおもしろくなさそう。
ハッハッハッハッ!せやな。
今のままやとな。
あっという間に1日が終了しました。
疲れた。
どうしよ。
自分が何か教えてるってよりは今日は自分に向かってくるボールを打ち返し続けるっていう事にだいぶ必死になっちゃって。
明日実際にやってみて「本当だ作れた」ってみんな思うのかもしれないし。
「何だ作れなかったじゃん」って思うのかもなとかも思うんすよ。
それはやっぱ成り立ってないとかメチャメチャつまんないとかっていう事はありうるから。
もう祈るような…。
うまくいきますようにと。
お願いしますと。
ゲームの神様お願いしますと。
クラス全員が一生懸命考えたゲームを先生たちに遊んでもらいます!じゃあ先生チームに入ってきてもらいましょう!先生お願いしま〜す!校長先生を筆頭に教職員の皆さんがゲームに挑みます。
このゲームを作ってくれたのは誰ですか?はいたいせい君。
(拍手)このバランスとりゲームというものを作りました。
たいせい君が学校で見つけたアイテムはこれ!家から学校までの道を平均台に見立て工作が潰れた朝を再現します。
ピンポン球を落とさずに1分以内に運び切れれば成功。
じゃあ始めて下さい。
よ〜いスタート!おっと!友達がボールを投げて先生の行く手を阻む!制限時間内に渡りきれるのか?たいせい君プレッシャーをかけます。
(一同)8765432…。
イエ〜イ!
(拍手)あ〜ギリギリで成功です!作った本人もビックリするほどの盛り上がりでした!ハッハッハッすばらしい!成功です!はいゆうきちゃん。
ゆうきちゃんの番です。
それを型紙に合わして完成させて下さい。
よ〜いスタート!はいスタートです!体育館のどこかに隠された楽器を捜し出しロボットを組み立てるゲーム。
パズルのような設計図にはヒントが書かれています。
4と5の間や。
真っ先に動き出したのは校長先生!4と5って何?これか。
これか?あっタンバリンを発見!あったあったあった。
ありましたよ。
イエ〜イ!ゆうきちゃんが音楽室で生み出した楽器ロボットが少しずつ形づくられていきます。
残り時間は半分を切りました!楽器です。
楽器以外のものも混ぜて混乱させるゆうきちゃんのたくらみ。
こんなとこに隠す?あっこれや!987…完成?はい完成で〜す!おめでとうございま〜す!2分58秒で完成。
引っ掛けがあったので。
何に使うんや国語辞典っていう…。
そこがおもしろかったですね。
なかなかみんなアイデア出してますね。
きれいに紙を破らなければ手が抜けないルールにしたしゅうけん君。
えっ!?これアウト?メッチャシビアやなそこ。
加藤さんのアドバイスのあともずっと改良を重ねたんだね。
ゲームは思いがけないところにある。
何気ない日常もゲームと思えば楽しくなるかもしれません。
6年2組全員が失敗を楽しさに変えるゲームを作り上げました。
いやでもすごいですね!全部おもしろくなかったですか?本当に感動的なぐらい。
全部おもしろかったな。
みんな本当にみんなのゲームが全部本当に僕はすばらしいと思って。
計画書だけ書いてる時はこれどうなるだろうなと思ってたやつも実際にやってみたらおもしろくて。
先生たちに遊んでもらったら先生たちもすごく喜んでくれてみんなすごいなと思ってます。
それはどういう事かというとつまり…今までみんな人が作ったゲームで遊んでた。
人が頑張って考えたもので遊んでそれをおもしろいと思ったり夢中になったりしてた。
人が書いた本を読んだり人が描いた漫画を読んでた。
絶対に忘れてほしくないんだけど作れるって事。
(一同)はい。
苦労して出来たのを楽しんでやってもらったからうれしかった。
ゲーム以外にもいろいろ自分で考えて作っていきたいと思います。
人を楽しませるっていう事は相手も自分もすごく幸せな気持ちにさせてくれると思いました。
いやでも本当刺激受けたから。
あの子たちに負けないようにもっとどんどん作りたいですね僕は。
もっと作りたい。
本当世界中の人に楽しんでもらえるものを毎日作り出してないと。
加藤さんの授業を終えた子どもたち。
最後まで謎作りにこだわった加藤さんでした。
2015/12/28(月) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩〜センセイの頭の中〜「ゲームクリエイター 加藤隆生」[解][字][再]
世界中で話題の『リアル脱出ゲーム』を生み出した加藤隆生。その原点は小学生時代に憧れたトムソーヤーのような冒険!今回、挑戦するゲームのネタは失敗の体験?!
詳細情報
番組内容
今話題を集めている『リアル脱出ゲーム』を生み出した加藤隆生。彼の頭の中では、日常で体験するあらゆることがゲームのネタになるという。今回は“失敗”をネタにしてひとり一つの脱出ゲームを作る。まず計画書作りで、失敗した体験とそれの「おもしろ解決法」を書いていく。普通の解決法でなく夢のような発想で作っていくのだ。『失敗からの脱出ゲーム』、どうすればおもしろいゲームになるか、子どもたちは知恵をふりしぼる。
出演者
【出演】ゲームクリエイター…加藤隆生,【語り】本名陽子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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