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 タイヤ世界大手のブリヂストンは29日、著名な米投資家と争っていた米タイヤ小売り大手「ペップ・ボーイズ」の買収を、事実上断念した。両者は買収額のつり上げを続けていたが、28日に米投資家が提示した新たな金額に、対抗案を出さないと決めた。

 約800店を持つペップの買収によって米国内の販売網を広げ、ネット販売のノウハウも手に入れる予定だった。戦略の見直しを迫られる。

 ブリヂストンは10月下旬、株式公開買い付け(TOB)をして、総額8億3500万ドル(約1千億円)でペップを買収すると発表した。しかし、企業に経営改善を迫る「物言う株主」として著名なカール・アイカーン氏が12月に入り、より有利な条件での買収をペップに提案。ブリヂストンは24日に1株の買い付け価格を17ドルに引き上げるなどして対抗してきた。

 だが、28日にアイカーン氏が1株18・5ドルでの買収を提案。買収額が当初より2割以上膨らむ見通しになったブリヂストンは、31日までに対抗策を出すようペップに求められていた。改めて事業の採算性を検証し、対抗策を出さないと判断した模様だ。(伊沢友之)