ハートネットTV+ シリーズ戦後70年「福祉トーク“ぼくらのこれから”」 2015.12.28


ハロー!NHK特別解説員ふくにゃんよ。
突然だけど福祉ってどんなイメージ?う〜んそうよね〜。
課題は山積み。
「ハートネットTV」では今年日本の福祉の歴史をひもとく「シリーズ戦後70年」を放送してきたのよ。
70年間でたまった課題を知る事で未来へのヒントを探ってきたの。
そして今日は総集編。
特別なゲストに集まってもらったわ。
う〜んダンディー!75歳に見えない。
福祉の事は何でもお任せ!シリーズに何度も出演している藤井克徳さん。
人工呼吸器を使って1人暮らしをする自立生活のスペシャリスト海老原宏美さん。
そして最後は未来を担う…頑張って〜!よろしくお願いします。
お願いします。
さあいくわよ!こんにちは。
「ハートネットTV」キャスターの山田賢治です。
番組では今年一年かけて福祉の戦後70年について考えてきました。
戦後の混乱の中で始まった福祉は今さまざまなひずみが出ていましてまさに重要な局面を迎えています。
という事でですね今日は日本の福祉についてそして日本の未来について語るためにふさわしいメンバーにスタジオに集まって頂きました。
皆さんどうぞよろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
福君は今11歳小学校5年生で。
大人たちとたくさん仕事してると思うんですけど今日ちょっと何か雰囲気違うと思いません?はいちょっと…。
まず隣人工呼吸器をつけていますね。
こんにちは。
こんにちは。
どうですか?初めて?初めて見ました。
あんまり街の中にいないですもんね呼吸器つけてる人ね。
うん。
今ね空気出てないでしょ?ここにキスすると空気が出るようになってる。
(空気が出る音)本当だ。
すごい。
私旅行が趣味だから日本全国とか海外とかこの呼吸器と一緒に飛行機に乗って出かけたりしてます。
そしてね隣の藤井さんは視覚障害っていって目が見えないんですね。
どうぞよろしく。
(福)よろしくお願いします。
そして鳥越さんはこの中では唯一戦争を知る世代という事で今年戦後70年どんな思いで迎えてらっしゃいます?僕終戦の時5歳でした。
だから昭和21年に小学校に入ったので戦後第1期生なんですね。
だから戦後の70年間は全部覚えてるんです。
でやはり戦後というのは戦争を一度もした事がない平和であり続けた。
これがもう掛けがえのない最大の特徴だと思っています。
そして私たちのほかにふくにゃんもいますがふくにゃん起きて下さい。
ふわ〜い。
私来年は戦後71年キャラになるのかしら?それにしても福君。
(福)はい。
お名前に親近感感じちゃうわ。
ふく一緒。
よろしくね〜。
よろしくお願いします。
今日参加するのはね私たちだけじゃないのよ。
各地でいろんな人たちが座談会を開いていてそのみんなの意見も聞きながら徹底討論していきま〜す!ではまず児童養護子どもたちの戦後70年について振り返った回のダイジェストからご覧頂きます。
今から70年前戦争が終わった直後の映像です。
街には戦争で親を亡くした子どもたちがあふれていました。
お寺の縁の下や焼け跡などで夜を過ごしたこの子どもたちは食べ物を求めて泥のようにその日その日を暮らしています
こうした子どもたちは戦争孤児と呼ばれ12万人を超えていました。
その一人の話です。
戦争孤児たちへの対応から日本の児童養護は始まりました。
1947年児童福祉法が出来ます。
家庭や親に代わって国が責任を持って子どもを育てる養護施設が制度として確立。
孤児の多くが施設に保護され集団生活を送りました。
時代は進み高度経済成長期になると児童養護の対象は戦争孤児から親と暮らせない子どもに移ります。
70年代に入りそれを象徴する出来事が起きます。
コインロッカーに生まれたばかりの赤ん坊が置き去りにされる事件が相次ぎました。
経済成長の陰で貧困に陥る家庭が増え親が育てられず保護される子どもが急増したのです。
一方で施設の体制は変わらず人手不足などもあって職員による虐待事件が明るみに出ます。
心に傷を負っている子どもたちにきめ細かく対応する環境はなかなか整いませんでした。
動きがあったのは90年代。
世界では子どもの人権を守る機運が高まります。
子どもの権利条約が採択され「どんな子どもも施設ではなくより家庭的な環境で育つ権利がある」と宣言されました。
こうした流れを受け日本の施設も少しずつ変わってきています。
どうぞどうぞ。
ここでは一つの家で幼児から高校生まで6人が家族のように一緒に生活しています。
以前は許可がないと開けられなかった冷蔵庫も今では自由。
子ども同士関わりながら育っていく環境を目指しています。
今後国はこうした少人数の施設グループホームそして自宅で子どもを引き取って育てる里親を増やしていこうとしています。
しかしまだ整備が進んでいないのが現状です。
頂きます。
(一同)頂きます。
各座談会ではみんなVTRを真剣に見ているわ。
ボランティア部の高校生たちどうでした?こちら介護を中心に新しい福祉の形を模索する福祉業界の風雲児たち。
里親制度は身近じゃないかな〜?あそうなんだ。
福君はどう思った?何か道路とかで寝てたりとかしてたのがすごいかわいそうだったしでそこから今みたいに6人で暮らしてるっていうのもお母さんたちと一緒に暮らせないのはちょっと嫌だろうけどそういうのが何かいっぱい出来たらみんなもすごいかわいそうな思いする人がほとんどなくなるんじゃないかなって思いました。
ところで福君。
はい。
今何らかの理由で親と暮らせない子どもって日本にどのくらいいると思う?う〜ん…どうだろう?何万人とか?う〜んそうね〜。
5万人とかかな?福君すご〜い!さすがドラマで演じたからかしら?今施設や里親のもとで暮らしている子どもたちはおよそ5万人。
おっ当たってた。
やった〜。
ちょっとこのグラフを見てほしいんだけどVTRの最後にもあったような少人数の施設はまだ少なくてね子どもたちが20人以上で生活をしている児童養護施設が今も半分を占めるの。
施設ではなく里親のもとで暮らす子どもは更に少なくて日本では16%。
国連からもっと増やしなさいって何度も注意されてるのよ。
ふ〜ん。
この割合はねヨーロッパやアメリカっていうのは逆なの。
里親が多いんですか?そう。
里親が8割。
もう多い国だと9割を占めていて全く逆なんだよね。
里親制度ってすごくイメージとして印象としてハードルが高い。
日本では。
そうですね。
健全な家庭で平和な感じで愛情をたくさん注げるおうちで健康でみたいな条件がすごくあると思うので多分障害者だと日本の子どもたちの里親になれない。
でも障害もった人で海外から子どもを譲り受けて育ててる人っているんですよね。
それが何で日本の中でできないのかなって思ったりする事はあって里親が増えないっていうのは制度上の不備というかもっと整えていけば進められる事もあるんじゃないかなっていう事は思っています。
僕も現実に里親制度を取材した事ありますのでよくは知ってるつもりですけども。
制度としてはあるんですよ。
だけどやっぱり社会全体の中に余裕があるつまり人を助ける余裕がある人が困っている人に手を差し伸べてお互いに助け合っていこうというような助け合いっていうかな…。
福祉って助け合いだと思いますけどもそれが別に普通の事だというふうになかなか日本ではなってこなかったというのがね背景にあるように思うんですね。
未来の大事な資源を日本という国がどう育てていくかっていう少し大きな視点で考えていく必要っていうのもあると思いますよね。
そうですね。
社会全体で考えるって事ね。
それって施設にいる子どもたちに対してだけじゃないと思うの。
今ね家庭があってもそこに居場所がないって感じてる子どもがたくさんいるのよ。
こちらはそういう子どもが一時的に身を寄せるシェルター。
集まったのは親との関係が悪いなどの理由で居場所をなくした少女たち。
そして彼女たちを支援する仁藤さん。
仁藤さんは3年前から夜の街に出て助けを求めている少女たちに声をかけているの。
こちらの高校生は母親との関係に悩んで児童相談所に相談したのに親に連絡されちゃったそうなの。
耳が痛いですけれどもね海老原さん。
考えようによっては本当に今の…戦争直後の子どもたちに比べたら恵まれてる訳ですよね。
恵まれてるんだけれども逆にいろんな問題が噴出してきてるっていうのがその豊かな社会の一つの病理みたいになってますよね。
だからそれはねどうやって解決するかって僕もちょっとよく分からないんですよね。
非常に難しいですね。
福君はどうだった?今出てたのは中学生や高校生大学生ってちょっと上の世代でしたけどもね同じ子どもとしてどんな事を感じましたか?仁藤さんが自分たちの気持ちを分かってくれるみたいな感じがあったから僕はそういうのがないけどある人にはすごくうれしいんじゃないかなと思いました。
そうだね。
あと何か夜にそういう出歩いてる人たちを見つけたら声をかけてあげるっていう活動もすごいなって思いました。
今の仁藤さんは自分もね高校生の時に同じような状況だったから気持ちが分かるよっていう事でみんなの声を受け止めているんだけどそういうふうに聞いてくれる場所人がたくさんいるっていうのがもっともっと必要なんではないかな。
今非常に例えば相談体制とかですねそれからさまざまな社会的な仕組みが出来上がってるように見えるんだけども結果としてですねそこに持ち込みづらいっていうか非常に縦割りであったり。
私は例えば時間にしても5時でおしまいですよだとかね本当にその人の生活とかニーズに合わせてというふうになってない。
海老原さんだったらああいった子が来たらどうされます?もうひたすら「そうなんだ。
大変だったね」って話を聞くしかないと思いますね。
アドバイスができる訳ではないし回復する力とかそれを乗り越える力というのはきっと本人が持っていてそのタイミングが来たら乗り越えられるんだと思うんですよね。
でも大人からこう虐げられている状態って自分の存在価値にすごく自信がなくなると思うのでそんな事ないよっていう事は伝えたいなって。
うんうん。
子どもたちの声もっと受け止めなきゃね。
こちらセクシャルマイノリティーの人たちもいい話してるわよ。
彼らの子育て法にヒントありよ!なるほど。
子どもにとってもいろんな逃げ道があるっていいわよね。
さてお次は日本の福祉最大の課題高齢化問題よ。
高齢者の健康と暮らしをどう守ってきたか。
「ハートネットTV」では戦後の70年を振り返りました。
高齢化対策の始まりは1960年代。
まず国民皆保険が達成されます。
日の当たらぬ場所のお気の毒な方々には国家の温かい手を一日も早く差し伸べて真の意味における完全雇用と福祉国家を作ろうというのであります。
いつでもどこでも誰でも医療が受けられるようになりました。
しかし当時の自己負担は5割。
医療費のかかる高齢者にとっては大きな負担でした。
73年国は70歳以上の人を対象にした老人医療費無料化を決定します。
すると病院は高齢者であふれかえります。
治療の必要がないにもかかわらず長く入院するいわゆる社会的入院が増加。
その結果医療費が膨張。
老人医療費無料化は10年で廃止される事になりました。
(一同)543210!2000年国は新たに介護保険制度を立ち上げました。
高齢者を病院ではなく住み慣れた自宅で暮らしていけるようにするため介護のためのさまざまなサービスを利用できるようにしました。
しかし今増え続ける高齢者に対応するための施設や人材の不足が問題となっています。
介護保険もこのままでは破綻する危険性があるとされています。
こうした状況にとっても危機感を持っているのはこちらの座談会の男性たち。
家族を介護する人たちとそれを支援する「やろうの会」の皆さん。
今のとこ自分ではそういう事は感じてます。
廣瀬さんは53歳。
お母さんの介護のため正社員として勤めていた職場を退職。
今はパートタイムで働いているそうなの。
本当に皆さんの話聞いてるとこれが日本の実態というか実情でね。
これがまだ進むんですね。
これで終わりじゃないんです。
これからですもんね。
これからもっと本格的になっていくんです。
本当に愚痴もこぼせない待ったなしの状況にこれからなってくるんだという事を僕は言いたいですね本当に。
ちょっとデータを出していきたいと思うんですが2045年をちょっと見ていきたいと思います。
福君今ね顔写真が出てますけど2045年になるとプラスまあ大体30年ですから…。
(福)41歳。
41歳だね。
福君が働き盛りの頃には65歳以上の割合がおよそ4割になるといわれているの。
だからねそれを支える人の負担もどんどん増えているのよ〜。
介護保険制度が始まった2000年ごろは大体4人で1人のお年寄りを見るおみこし型だったのが今から30年後の2045年には1対1の肩車型になっちゃうのよ〜。
福ちゃんが一番これから先大変なんじゃないかなこの中では。
その今だけでも大変な…大変っていったらおばあちゃんたちおばあちゃんおじいちゃんがかわいそうだけどその僕たちが大きくなる頃には計算上ではこうなってるけど…。
そうだね計算上っていうのがね。
(福)計算上っていう中で僕たちがおじいちゃんになって死んじゃう頃にはもう日本終わっちゃうくらい人数が少なくなっちゃうのかなって。
2050年60年ぐらいかな日本の人口自体がね減っていくんですね。
恐らく1億切って8,600万人ぐらいまでなっていくといわれて統計上ですよ。
予算の組み方を考えて例えば高速道路を造ったり新幹線造ったりするのはもういいからやめちゃえと。
そういうのは…コンクリートはもう要らないから人にお金かけましょうというふうに発想を変えないと恐らく高齢者問題は解決しないんですよね。
10年後には38万人の介護人材が不足するのではないかっていうようなね。
38万人!?私介護してもらえるのかしら…。
その深刻な介護の人材不足について福祉業界の風雲児たちがちょっと興味深い事を話しているわ。
そんなあんの!?
(笑い声)人が足りないから…今の話の中に「介護職あり」という人が25%いるという話は出てきたけれどもじゃあ実際に介護職に就いて実際に人並みにね例えば結婚して子どもをつくって介護士として生きていけるかというとできないようになってるんですよ。
つまり介護士の給与が低いんですよ。
一般のサラリーマンよりも10万円ぐらい低いんですよ。
そうするとこれじゃ自分の生活できないと作れないという事で離職する人。
でほかの仕事へ行っちゃう。
10人に2人は辞めてるんですよ。
そういう状況がある限りは25%ありと言っても僕は信用できないですね。
待遇は大事よね〜。
あとはねさっきの風雲児たちなんだけど介護の仕事を身近に感じてもらうための新しい取り組みもしているのよ。
例えばこれ。
老人ホームでフリークライミングをやっているの。
(鳥越)老人ホームでやってるの?これ。
そうなのよ〜!地域の人や子どもたちが来るの。
(藤井)あっなるほどなるほど。
お年寄りも元気になるし地域の理解も広がって介護の仕事をやりたいって人も出てくるかも。
一石二鳥でしょ。
一方こちらは島根県の隠岐の島の海士町。
スローガンはなんと生き生きと死ねる島!どこでどういうふうに最期を迎えたいか一人一人の希望を聞いて向き合ってるそうなの。
今は船の上で死にたいという漁師の人の思いをどうしたらかなえられるか地域のみんなで考えているんですって。
おばあちゃんたちを介護施設とかに入れなくても元気でいられるためにお仕事自分のやりたいお仕事におじいちゃんおばあちゃんたちも入れてあげたらいいんじゃないかなって思います。
僕75ですけどまだ働いてますよ。
そうですよね。
で僕は恐らく80でもまだ働いてると思いますけども。
さっき生き生きと死ねるっていうスローガンがありましたけど生き生きと死ねるっていう事はイコール生き生きと生きれるっていう事なんですよね。
だから生きてる間にやっぱり自分が本当にやりたい事を実現できるような自分の能力を最後まで生かしきれるような生活の環境っていうのを作っていくのがすごく大事なんだなっていうふうに思います。
何か…。
うんいいよ。
何かその役割があった方が生きがいがあるから何かすぐに死んじゃわないかなって思います。
つまり役割がある事によって力が衰えないってやつだねむしろね。
そうなるとさっき計算上1対1ってなったけどあれは1対1じゃない。
1対1の下に65歳がいてもいいんじゃないかなって思う。
さすがそうだね。
皆さ〜ん。
はい?あれ?ふくにゃんいない。
こっちこっちよ〜。
福井に来ちゃった。
番組を見てお便りをくれた学校があってね。
こちら仁愛女子高校の3年生。
スタジオにいる藤井さんが出演した「障害者と戦争ドイツナチス編」を真剣に見てくれていたわ。
第2次世界大戦中ナチス・ドイツによって行われたユダヤ人の大虐殺。
それより以前回復の見込みがないとされた病人や障害者が殺されていました。
殺害を進めていたのは医師などの医療関係者。
障害者は生きているだけでかわいそうと安楽死の名のもと殺害しました。
この夏藤井さんは障害者が殺されたガス室を訪ねました。
(女性)ここにガスの管がつけられていました。
(藤井)多い時には一日どれくらいの人を殺害したんでしょうか?
(女性)120人です。
それが毎日です。
今の映像中福君が「ひどい」ってね言ってましたけどどうでした?何かもしかしたら死にたくない人もいるかもしれない。
ちょっとはつらいかもしれないけどでも生きたい人もいると思うからその生きたい人まで殺しちゃうっていうのはひどい。
それに駄目なんじゃ…駄目っていうか…。
物を主張できない物言えない知的障害とかね精神障害の人たちに絞って実験にしたんですよね。
問題はそれはもちろんヒトラーの政権の下でやったんだけどもそれに精神科医があるいは医者たちが加担してしまっただけでなくて家族まで加担したって事が分かりまして戦争の持っているものすごい恐ろしさっていう事をね改めて実感したしもしかしたらこういう問題っていうのは現代でも時間空間を超えてねなくはないんじゃないかって事を感じて帰ってきました。
これはなにもドイツだけじゃなくて日本でもきっとそういう考え方としてはね。
つまり経済成長というのが第一であると。
生産が第一であると。
お金が第一である経済が第一であるというような考え方でほかの事はどんどん犠牲にする。
例えば高度経済成長の頃日本は成長第一のために環境を犠牲にした訳ですね。
もう川がドロドロの川になったし海も汚れたし空気も汚れた。
それは環境を殺しちゃった訳だけども人間を殺すという事もある意味では共通してる訳ですね。
つまり経済のためにはほかのものは犠牲にしようという事ですね。
そういう考え方がある限り僕はやっぱりそういう事はまた年取って認知症になって全く役に立たないからねこの人たちにはね安らかに亡くなって頂きましょうと。
言葉はきれいだけども現実には殺人行為をねひょっとしたら行われるかもしれないなというちょっと怖いところを僕は思いましたね。
その辺りいかがですか?はい。
ちょっとその前にリセットボタン押していいですか?どうぞどうぞ。
西さん。
ちょっと何か変な音してない?呼吸器。
大丈夫?ピーピーってさっきから。
さっきからいってるよね。
充電ないです。
あ〜そうなのか。
バッテリー替えてくれる?交換しま〜す。
「レンタル」って書いてある。
そうこれも業者さんからレンタルされてるやつ。
自分で買わなくてもこれ貸してあげますよって。
(藤井)これお金かかるんですか?
(海老原)これかからないです。
診療報酬の中に入ってます。
1個だけ?1個だけレンタルしてくれるの。
もっと欲しかったら買って下さいねって言われて。
OK?はいどうも。
どうでしょうか?はいすみません。
大丈夫です。
(海老原)私は人工呼吸器も使っていて本当に今はたまたま仕事をできてますけれども呼吸器を使ってる仲間の中には病院の中にしかいれない人とか家の中で外になかなか出れない人もたくさんいますけれどもそういう人たちの存在がかわいそうだというふうに社会が勝手に決めつけていってそういう力が強くなればなるほど当事者たちがいや自分はそうじゃなくてこういう生活ができたら幸せなんだけどなっていう事を言えなくなってしまうんですよね。
福君知ってる?出生前診断。
知らない?おなかにね赤ちゃんができるでしょお母さんが。
そのおなかの中にいる赤ちゃんに障害があるかどうかというのを血液検査とかで分かるようになってきたのね。
で自分のおなかの中にいる赤ちゃんが障害があるって分かったお母さんたちの90%以上の人がおろしちゃって生まれないようにしてるのね。
それは生まれてきてもかわいそうだって思ってたりするとかお母さんがそういう赤ちゃんが生まれてきた時に自分が育てる自信がないとか怖いなとかきっと差別されたりいじめられたりするかなって思って殺しちゃう。
周りの人たちはきっと障害があったらかわいそうだってだから殺してあげましょうっていうふうに言うんだよね。
福君ね障害者ってどれくらいいるかっていうと人口の15%。
だから6人か7人に1人は障害をもってる人。
これは医学が進歩しても昔も今も変わってない数字らしいんです。
そうすると誰かが障害をもったそういう人間として社会に生きていくんだ。
仮にですね障害者がどうも兵隊さんになれないしね働く力弱いから消えてもらいましょうってなったとしますよね。
次に今度はまた別な弱い人を探しましょうっていうんで今度は女性で病気もった人さっきの高齢者の人邪魔っ気だってなっていく。
次の弱い者探し始まっていくんで一旦障害をもった人のことでストップをかけておかないとどんどん広がっていくという点も心配なんだよね。
社会的弱者っていうのはどういう場所にもいるんですよね。
必ずいるしまた新しい弱者を探し出していくっていう事になっていく。
尊厳死についても今本当に議論されているところですね。
尊厳死…尊厳死知ってる?そんげん?尊厳死。
例えば治らない病気。
私は呼吸器使ってるでしょ。
自分の力だけでは呼吸が足りないから呼吸器使ってるんだけれども呼吸器を使っても自分で呼吸する力って治らないんだよね。
これ使ってないと呼吸ができないよね。
回復しないでしょ。
そういう回復しない病気がある事がつらいからもうこういう器械使わないでこのまま死なせて下さいって。
呼吸器使って生活しているといろんな人に手を借りなくちゃいけないし医療のお金もかかるしいろんな事大変だから私はもうそういう生活嫌ですっていった時にじゃああなたは呼吸器使わないで死んじゃってもいいですよっていうふうに法律でそういうの守りましょうっていう事を議論してるんだよね。
簡単に言うとそういう事が尊厳死なんだけど…。
福君今回海老原さんのような呼吸器ユーザーの皆さんも尊厳死について話をしているから聞いてみましょう。
集まったのは筋力が徐々に弱くなる病気のために人工呼吸器をつけている皆さんよ。
僕自身は自分で尊厳死を選びたいと僕自身は思ってますけど。
まあ延命治療でもう元に戻らないのに無理やり生かすって今の医学できる訳ですね。
そういう延命治療は僕はやめてほしいというふうにまだ物が言える間に言っとこうと思ってるんです。
ただ尊厳死法というふうに法律化して何か法律で全部人の生き方を決めてしまうという事はやっぱりそれは違うだろうな。
ともすればそういう…さっきの話じゃないですけども経済性とか安全性便利とか社会的にそういう価値観だけが通ってきて障害をもってる人とか元気に…もう一回元気になるような状況を望めない人はもう駄目なんだと。
だからもう死んだ方がいいんだというふうな考え方をするのはこれは命というものの尊厳を無視する事になるのでこれは駄目だと。
本当に今鳥越さんおっしゃったように法制化の是非っていう点でやっぱり考えていかないといけないなと思っていて。
尊厳死自体はねあると思うんですよ。
自分はもうここまでで十分生き切った自分を出し切ったって思う人がそこで自分の意思で自分の命を閉じるっていうのは尊厳死だと思うんですよね。
やっぱり生きてるのつらいなって思う事はあるんですよ。
でもそれを理解してくれる人がいたりだとか「いやでもあなたがそこにいてくれるだけで周りはうれしいんだよ」って言ってくれる人がいるかどうかとかいいドクターに巡り会えてるかとかそういう環境要素によって自分の気持ちって今日も明日も変わるんですよね。
その揺れ動く気持ちっていう事を大事にできる社会っていうのが福祉の豊かな社会なんじゃないかなって尊厳の一つなんじゃないかなっていうふうには思いますね。
私は尊厳死って言葉自体は本当はどうかなと。
つまり社会的ないわば殺す状態をね尊厳って二文字でかぶしておいてある面ではカムフラージュって感じがする。
今一億総活躍という言葉も出ています。
この言葉についてはどんなふうに感じてらっしゃいますか?その国民一人一人が活躍してるかどうかというのを誰が判断するんでしょう?国もしくは安倍首相なのか分からないですけどその人たちがこの国民はOKこの国民は活躍してないから駄目っていうふうに判断していく危険性がすごくあるなというふうに思っていてそれってやっぱり国のコントロールに入っていく訳ですよね。
私なんかはその活躍という言葉を聞いた時に自分の年齢で言うと仕事をしなくちゃいけない。
今女性もどんどん社会に出ていこうという圧力もあって女性も働かなくちゃいけないっていう何々すべきっていう論が強すぎてしまう。
じゃあそれができなかったらあなた社会の中から排除すべき存在なんじゃないのっていうレッテルが貼られてしまう。
僕が一番心配なのは日本は戦前そうだったんですけどやっぱり大きい声の人がこう言うとね国が全部一色に染まってしまう傾向にあるんですよ。
日本戦後もそういう傾向が結構いろいろあってね。
ちょっと違う意見を言いにくいという住みづらいような社会…ともすればなりがちなとこがあるんですよ。
だからそういうふうにならないようにいろんな個性とかいろんな障害とかいろんなものをもっている人でも生きていけるような社会をそれが本当に一億総活躍社会だと僕は思うんですね。
私はこれからキーワードは子どもでもあるいは高齢者でもね障害者でも参加って二文字。
つまり自分がですね参加をしていくっていう。
例えば政策決定に参加をするとなればね一緒に作ってくと。
あらゆるもちろん社会福祉事業でもね決定する場には障害者が参加するとか高齢者もね。
その参加って事をもっともっとこの国はねやっていくべきじゃないかな。
それが本当の意味での主人公でありそれが実感できればね多少僕はお金がなくてもねまた違った流れが出来上がってくるんじゃないかと思うんです。
本当にね多分一緒に過ごす一緒に生活をするっていう事さえ実践していけば多分全ての問題っていうのはうまく解決していけると思うので。
それをちょっとでも進めていきたいなって思うしこういう福祉をどうしたらいいかって議論するようなテレビ番組が早く無くなる事を祈っております。
(笑い声)福君はどんな事を感じましたか?何かあの…。
いろんな考え方があるんだなっていうのが分かりました。
僕が大きくなった時の事とかあとはどうすればその問題が解決するかとか命の大切さもそうだし…。
いろんな人が人のために頑張らなきゃいけないというのも分かりました。
う〜ん福君頼もしい!座談会のみんなも未来の福祉をよくするためのキーワードを考えてくれたわ。
(掛け声)
(一同)イエ〜イ!番組に参加してくれた皆さんありがとう!私からもメッセージ。
ジャン!「ぼくらのこれからは押しつけられるもんじゃない。
ぼくらで作る!」。
戦後71年以降私もまだまだ頑張っちゃうわ!2015/12/28(月) 01:10〜02:10
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV+ シリーズ戦後70年「福祉トーク“ぼくらのこれから”」[解][字][再]

ハートネットTVで今年放送してきた「シリーズ戦後70年」の最終回。番組を振り返りつつ、過去の教訓を踏まえ、私たちの未来に向けて必要なことは何か当事者たちが提言!

詳細情報
番組内容
座談会スタイルで集まるのは、男性介護者、家や学校に居場所をなくした経験のある少女たち、人工呼吸器ユーザー、性的マイノリティー、福祉業界で働く風雲児、ボランティア部の高校生たち。それぞれが歯にきぬ着せぬトークで現状の問題を告白し、いま福祉に必要なことは何かを語る。スタジオゲストたちも参加、ちまたで言われる「一億総活躍」って何?誰しも尊厳を持って生きられる社会はどうしたら作れるか?など徹底議論する。
出演者
【出演】鈴木福,日本障害者協議会代表…藤井克徳,社会福祉士・障害当事者…海老原宏美,ジャーナリスト…鳥越俊太郎,【キャスター】山田賢治,【語り】ブルボンヌ,河野多紀

ジャンル :
福祉 – 社会福祉
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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