Amazon CloudWatchの得意なこと苦手なこと:これからAWS監視を始める人へ その2
CloudWatch
2015.08.04
Amazon CloudWatchをどうやって活かすか?
前回の記事では、AWSの運用監視にAmazon CloudWatchを利用することは最も一般的なケースということを書きました。(前回:Amazon CloudWatchとは:これからAWS監視を始める人へ)
かといって、監視ツールはCloudTriageを選んでおけばよい、と単純に断じてしまうのはよくない。実際に、AWSの監視も可能なツールは多く存在します。
ということで、分かりやすくするため、他の監視ツールと並べて比較してみました。
EC2を監視する場合
監視項目 | CloudWatch | Zabbix | cacti | Hinemos (standard版) |
---|---|---|---|---|
Ping | ▲ カスタムメトリックス |
○ | ○ | ○ |
詳細(内部監視) | ○ 基本メトリックス |
○ Zabbix agent |
× | ○ Hinemosエージェント監視 (真偽値) |
Cpu使用率 | ○ 基本メトリックス |
○ Zabbix agent SNMP |
○ SNMP |
○ Hinemosエージェント SNMP |
メモリ使用率 | ▲ カスタムメトリックス |
○ Zabbix agent SNMP |
○ SNMP |
○ Hinemosエージェント SNMP |
ディスク使用率 | ▲ カスタムメトリックス |
○ Zabbix agent SNMP |
○ SNMP |
○ Hinemosエージェント SNMP |
ネットワークトラフィック | ○ 基本メトリックス |
○ Zabbix agent SNMP |
○ SNMP |
○ SNMP |
ログ監視 | ○ CloudWatchログ |
○ Zabbix agent |
× | ○ Hinemosのシステムログ監視 |
○=可能
▲=基本機能では不可だが、オプションなどによって可能
×=不可
監視方法の違いなどに多少の差はあるものの、基本的な項目はどのツールを使っても監視できるようです。
なお、ここでは比較にEC2を使いましたが、内部にエージェントを入れられないRDS、ELBなどのインスタンスを内部から監視できる点はCloudWatchの強みです。エージェント型の監視を行うツールはこれらのインスタンス監視にはSNMPなどを使わざるを得ず、閲覧できる情報が制限されてしまいます。
では、どれを使っても同じなのでしょうか。
ここで別の角度から比較してみます。
監視項目以外の比較
項目 | CloudWatch | Zabbix | cacti | Hinemos (standard版) |
---|---|---|---|---|
GUI | ○ | ○ | ○ | ○ |
グラフ・レポート | ○ | ○ | ○ | ○ |
閾値アラート | ○ | ○ | ▲ (要プラグイン)thold |
○ |
データの保存期間 | 2週間 | 設定により長期間保持可能(デフォルト365日) | 設定により長期間保持可能(平均取得間隔ごとに期間を設定可能) | システム要件やサーバスペックに合わせて設定 例)イベント履歴31日 |
利用料金 | 有料(無料枠あり) | EC2の利用料金 | 無料 | 無料(Enetrprise版は有償) |
イベント通知方法 | Amazon SNS | メール、SMS、Jabberチャットメッセージ | メール ▲(要プラグイン)settings |
メール システムログ |
イベント通知時のコマンド実行 | × | ○ | × | × |
監視範囲 | AWSサービス | エージェント ネットワーク SNMP 他 |
SNMP | エージェント ネットワーク SNMP 他 |
AWS以外を含めた統合監視 | × | ○ | ○ | ○ |
CloudWatchの苦手なことを中心にした表なので若干偏った見方ではありますが、これを見てもCloudWatch自体は決して最良の監視ツールというわけではありません。
例えば長期間の監視データを保管する必要がある場合など、他のツールを使う方が良い場面もあるでしょう。特徴を理解し、目的に合わせて選択することが大切です。
AWS運用の成否を分けるポイント
- ユーザー体感品質やアプリケーションパフォーマンスでサービス品質を確認する仕組みを利用すること
- パフォーマンスボトルネックを特定し、改善・効果測定を繰り返すこと
これらを実現するためには仮想基盤上で発生した問題だけでなく、基盤自体のパフォーマンスの監視も重要です。そのためにはクラウドの内部からの監視以外に別の手法も必要となります。
CloudTriageを用いてクラウドマイグレーションを成功に導くための4つのメリットをご紹介。
AWSのパフォーマンスの変化に気づくためには、AWSの外側からリソースを把握する必要があります。AWS、CloudWatchのご利用をお考えなら、こちらも是非ご覧ください。
Amazon CloudWatchの良いところ悪いところ
前回の内容も踏まえて、Amazon CloudWatchの良い点、悪い点を挙げてみます。
Amazon CloudWatch良い点、得意なこと
- 12ヶ月の無料枠があり、超えた分も使用している内容に応じた課金となる(単価は大きくない)
- 他のツールではエージェントが入れられないRDS、ELBも内部から監視可能
- 時系列でモニタリング情報を保存できる
- APIで情報取得、コントロールできる
- スケーラブル(増えたら増えた分だけ監視対象を増やせる)
Amazon CloudWatch悪い点、苦手なこと
- AWSの中しか見られない
- モニタリング情報のデータ保存期間は2週間
- メトリックスの監視間隔を分単位より細かく設定できない
※有料:1分間隔、無料:5分間隔 - Amazon SNSからの通知内容のフォーマットを変えられない
- メモリ使用率などの値を見るにはカスタムメトリクスの設定が必要
単体としてはAmazon EC2を始め、ネットワーク、ストレージ、データベースなど、AWSで提供されているインスタンスの様々なリソースを監視することが可能です。
CloudWatchの最大の強みはやはりAWS標準という点です。他のツールではエージェントを入れることのできないRDSなどのインスタンスも内部から詳しい情報をモニタリングできます。
一方で長期間の監視情報保存ができないこと、一般の監視ツールなら当たり前ともいえる一部の監視メトリクスが用意されていないことなどの欠点もあります。
まとめ
AWS上のリソースの値を確認することだけであれば、Amazon CloudWatchだけでも十分な機能を持っています。ただし単体ですべてをカバーできるわけではありません。
上手に運用していこうと考えるなら、むしろ他のツールと連携した使い方が必要になるでしょう。
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